オバマの医療改革法、僅差で合憲判決
公開日時 2012/06/29 11:00
米国最高裁は28日オバマ大統領の医療改革法に僅差で初の「合憲」判断をくだした。判決は、2011~12年度に上下両院を通過し、すでに大統領も署名して2014年の全面施行に向けて動き出している医療改革法について、個人に対する医療保険購入の義務づけなどいくつかの点で憲法に違反しているとして、フロリダ州知事をはじめとする州知事グループなど、複数のグループによって最高裁に提訴されていた違憲審査請求に対するもの。判決では連邦政府—州政府の共同事業であるメディケイドの施策に関する大統領陣営の主張を違憲であるとして退けただけで、医療保険改革法案には違憲性はないとの判断を示した。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
医療改革法は、この秋に迫った大統領選挙でも大きな争点となっており、オバマに対抗する共和党候補のロムニーは「(大統領に当選したら)最初の仕事は医療改革法の廃案」とまで明言してきた。そのため5:4という僅差での合憲判断は、民主・共和両党関係者だけでなく、各方面にさっそく大きな波紋を広げている。
全国紙は一面トップで「最高裁はオバマを支持」と大きく報道。
http://www.nytimes.com/2012/06/29/us/supreme-court-lets-health-law-largely-stand.html?_r=2&hp
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304898704577480371370927862.html?mod=WSJ_Home_largeHeadline
さらに、選挙民にわかりやすい解説をQ&Aで提供。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304870304577486332188975276.html?mod=WSJ_hpp_LEFTTopStories
人気のインタ-ネット新聞であるフィントン・ポストは最高裁の判断を詳細に解説。
http://www.huffingtonpost.com/2012/06/28/individual-mandate-supreme-court-obama-congress_n_1634233.html
しかし、民主党陣営も決して手放しで勝利を喜んではいない。
実際、オバマ大統領が28日に「合憲」判決を受けて彼の“barackobama.com“サイトの読者(筆者もその1人)に送ったeメールには、書き出しこそ「医療改革法を必要とする数千万のアメリカ国民にとって、今日は佳い日(Good Day)になりました」と合憲判断を喜ぶ文面であったものの、続くフレーズには「最高裁の支持は得られました。しかし、共和党勝利の暁には医療改革法を廃案に追い込むと主張しているロムニー氏をはじめ、議会の共和党陣営がこの最高裁判断を素直に受け入れることはないでしょう」 と綴られ、「だから、なんとしても次の選挙には勝利しなければなりません」と結ばれていた。
最高裁の合憲判決を国民一人一人が理解するにはやや時間がかかるもの予想されるが、最終的に選挙民がこれをどう受けとめ、それが大統領選挙にどう影響するか?今後の動向が注目される。