中医協 薬価算定基準見直しを了承 最低薬価は3.5%引上げ AG先発と同薬価は10月収載から
公開日時 2026/01/19 04:52
中医協は1月16日の薬価専門部会、総会で、2026年薬価改定に係る薬価算定基準の見直しを了承した。最低薬価については一律3.5%の引上げを行う。ただし、24年度の最低薬価品の平均乖離率である12.1%超の品目は対象外とした。新たに最低薬価の区分に加わった外用塗布剤は日本薬局方収載品が10.80円/g、その他の医薬品については6.30円/gと設定した。AGについては先発品、バイオAGについてはバイオ先行品の薬価と同額とするが、26年10月以降に薬価収載された薬価収載された品目から適用する。業界代表の藤原尚也専門委員(中外製薬執行役員渉外調査担当)は「いわゆる共連れルールの廃止、最低薬価の引上げ等について、業界の意見を反映いただいたものと認識をしており、経営の予見性向上につながると考えている」と述べた。
最低薬価については、局方品について錠剤、カプセル剤を10.40円/1錠・カプセル→10.80円/1錠・カプセル、散剤・下流剤を7.70円/1g→8.00円/1gとするなど、3.5%の引上げを行った。このほか、点眼剤について「点眼・点鼻・点耳液を含む」として、点眼剤の最低薬価を適用した。
◎不採算品再算定 全ての既収載品の平均乖離率を超える品目は対象外
不採算品再算定について26年度薬価改定においては、▽基礎的医薬品と同一の既収載品、▽重要供給確保医薬品である既収載品、▽安定供給の確保が必要な既収載品であって、特定の企業からの供給が途絶えたときに代替となる医薬品の供給を確保することが困難な既収載品-のいずれかに該当する既収載品のうち、製造販売に要する原価等が著しく上昇したと認められるものに限り適用するとした。原価計算方式で算定するが、「営業利益率は、製造販売業者の経営効率を精査した上で、100分の5を上限する」とした。ただし、組成、剤形区分及び規格が同一である全ての類似薬の乖離率の平均が全ての既収載品の平均乖離率を超える品目は不採算品再算定の対象外とする。
「(当該既収載品と組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬がある場合には、全ての類似薬について該当する場合に限る。)」の要件は削除し、該当する類似薬のシェアが5割以上であって他の要件を満たす場合は、不採算品再算定の対象とすることも明確にした。
◎AG・バイオAGは「組成、剤型及び製法が新薬と同一」 先行品と同額に
AG・バイオAGについては、「組成、剤型及び製法が新薬として薬価収載された既収載品と同一」と定義。「新規後発品として薬価収載された既収載品」から除外した。薬価算定については「特例」として、適切な競争環境を形成・維持することから、AGについては先発品、バイオAGについてはバイオ先行品の薬価と同額とする。ただし、対象は、「26年10月以降に薬価収載されたものに限る」と明記した。製薬業界が経過措置を求める中で、6月収載品の適用は見送った。
◎共連れ適用廃止 四半期再算定に類似品の「年間販売額150億超、2倍」に追加
新薬創出等加算については「革新的新薬薬価維持制度」、市場拡大再算定の特例(特例拡大再算定)を「持続可能性特例価格調整」に名称を変更した。
市場拡大再算定と持続可能性特例価格調整の類似品についてはいわゆる“共連れ”の適用を廃止。項目は削除した。一方で、市場拡大再算定、持続可能性勅令価格調整対象品目については、効能追加の有無によらず、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)により使用量を把握し、薬価改定以外の機会も含め、市場拡大再算定又は持続可能性特例価格調整を実施する。
このため、薬価改定以外の再算定の対象品目に、「市場拡大再算定対象品又は持続可能性特例価格調整対象品の薬理作用類似薬である既収載品」を追加。「年間販売額が150億円を超え、基準年間販売額の2倍以上となるもの」について再算定を行う。26年度薬価算定以降に再算定が実施された市場拡大再算定・持続可能性特例価格調整対象品の薬理作用類似品に適用する。ただし、中医協であらかじめ特定した領域は除外することも明確化された。なお、24年度薬価制度改革から免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1阻害薬)とJAK阻害剤の2領域が除外されている。
◎類似薬効比較方式での比較薬、市場性加算と小児加算の併算定、標準治療となった既収載品の対応など
類似薬効比較方式における比較薬についても改める。比較薬が補正加算(市場性加算Ⅰ・Ⅱ、特定用途加算、小児加算、先駆加算、迅速導入加算)の適用を受け算定された既収載品である場合は、加算額に相当する額を控除して得た額を比較薬の薬価とみなす。そのうえで、新薬の一日薬価合わせを行うとされた。
成人と小児の同時開発を促進するため、市場性加算Ⅰと小児加算の併加算を可能とすることも盛り込んだ。ただし、対象となる疾病や効能・効果が小児のみの希少疾病用医薬品を除くことも明確にした。また、市場性加算Ⅰの加算率は10~20%とされているが、希少疾病用医薬品の指定基準の該当性の内容に応じて、「例外的に5%を下限」とすることとした。
既収載品の薬価改定時の加算としては、「市販後に国内の標準的治療法となった既収載品」を追加。「市販後に診療ガイドラインの記載から、薬価収載時の主たる効能・効果に対する対象疾病となったと薬価算定組織が認めた既収載品」と定義し、収載時に標準療法に関する補正加算を適用していない場合は、薬価改定時に加算を適用する。
◎診療側・森委員 不採算品再算定で「単品単価取引推進含めた流通改善とセットで対応を」
中医協薬価専門部会では、「これまでの議論を積み重ねてきた内容を具体的に記載されたものと理解しておりますので、特に異論ない」(診療側・江澤和彦委員(日本医師会常任理事))、「お示しいただいた事務局案に異論はない」(支払側・松本真人委員(健康保険組合連合会理事))と診療・支払各側が了承した。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も「異論はない」としたうえで、不採算品再算定について指摘。「安売りをしているものを評価するということは、あってはいけないことだと思うが、流通上の問題で大きな乖離となってしまうことがある。この問題に関しては、単品単価取引を含めて流通改善に取り組むこととセットで進めていくことが必要だ」と強調した。
業界代表の藤原尚也専門委員(中外製薬執行役員渉外調査担当)は、「今回、イノベーションの推進と安定供給の確保という観点から、いわゆる共連れルールの廃止、最低薬価の引上げ等について、業界の意見を反映いただいたものと認識をしており、経営の予見性向上につながるものというふうに考えている。私ども製薬産業といたしましても、更なるイノベーションの推進と医薬品の安定供給確保に尽力する」と述べた。
◎清原薬剤管理官 医薬品の安定供給は不採算品再算定で対応
総会では、公益委員の飯塚敏晃氏(東京大大学院経済学研究科教授)が最低薬価について「この薬価が本当に製造原価を反映したものか、あるいは最低限の利益を保障するものなのか、必ずしも明らかではない。(医薬品の供給不安が)最低限の薬価が保障されていないということに起因する可能性も十分あり得る」との考えを示し、厚労省に検討を求めた。
これに対し、厚労省保険局医療課の清原宏眞薬剤管理官は、供給不安が起きた品目については、不採算品再算定で対応していることを説明。「ご指摘いただいたのは(最低薬価ではなく)不採算品再算定で個別品目について安定供給が確保できるような形で、条件に合ったものは薬価を引き上げている。一方、最低薬価については、各剤形でさすがにこれぐらいはなければいけないだろうということで、全体平均的なものとして算定している」と説明した。