大塚製薬のサムスカ 「肝硬変における体液貯留」の効能で追加申請
公開日時 2012/08/02 04:00
大塚製薬は8月1日、バソプレシンV2-受容体拮抗剤サムスカについて、7月に国内で「肝硬変における体液貯留」の効能追加申請を行ったと発表した。水利尿薬として同適応症での承認申請は世界で初めて。
国内の肝硬変の患者数は約27万人。肝硬変が進展し、肝臓の機能が低下すると、様々な合併症が発生する。なかでも浮腫(むくみ)や腹水(お腹に水がたまった状態)などの体液貯留を抱える患者は約10万人おり、肝硬変患者の約3分の1を占めるとされる。
これらの患者の治療は、水分・塩分制限に加え利尿薬が使われる。利尿薬が効きにくい場合は、薬剤の量を増やしたり、別の種類の利尿薬を加えるなどの治療が行われるが、それにより電解質のバランスが崩れる、腎機能が低下する、効果が減弱するなどの懸念がある。
そのため、既存の利尿薬とは作用機序の異なる新規の利尿薬の登場が望まれているという。サムスカは新規機序の利尿薬として、電解質を出さずに、水だけを出す作用を持つという特徴がある。
国内の既存の利尿薬の市場は約300億円。サムスカは国内で10年12月に「心不全における体液貯留」の適応症で発売された。海外では低ナトリウム血症の治療薬として、09年6月に米国、同年8月に英国、ドイツなどで販売がスタートし、現在13カ国で発売されている。国内の売上高は非公表だが、全世界では67億円。