大塚製薬 「フレイル予防支援VR」を自治体・介護施設等に提供 疑似体験で気づきを与え行動変容促す
公開日時 2025/12/03 04:50

大塚製薬は12月2日、「フレイル予防支援VR」のサービス提供を開始したと発表した。加齢による体力や気力の低下であるフレイル(虚弱)の兆候をVRで疑似体験し、早期の気づきを促すことで健康維持と介護予防を支援する。同社ポートフォリオマネジメント室DXアライアンス担当プリンシパルの大西弘二氏は同日開催したメディアセミナーで、「一般生活者に新たな気づきを与え行動変容を促す情報を提供することで、より一層社会や生活者への貢献を目指していく」と強調した。「フレイル予防支援VR」は、VRトレーニングプログラム・FACE DUOを活用し、自治体や介護施設などへの展開を予定している。
フレイル予防支援VRは、加齢とともにみられる握力低下や誤嚥、脚力低下といった「見過ごしやすいフレイルのサイン」を、バーチャルリアリティを通じて疑似体験できるというもの。普段の食事で不足しがちなタンパク質の摂取量についてVRを通じた食事風景から気づくなど、栄養・身体活動・社会参加という「フレイル予防の三本柱」の理解を促す構成になっている
◎大西氏「VRの特性を生かし、気づき、興味喚起、最終的には行動変容を目指した」
大西氏は開発の背景として、「弊社のプロジェクトメンバーが様々な自治体とディスカッションしたところ、フレイルは病気ではなく状態のため気づきが生まれにくいことと、活字中心の啓発資材ではなかなか行動変容が起きないという意見があった」と説明。「現実では起こりえないことを安全に疑似体験できるVRの特性を生かし、気づき、興味喚起、最終的には行動変容に至ることを目指した」と語った。
同社ではこれまでにジョリーグッドとの共同事業であるVRトレーニングプログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」を活用した認知症ケア支援やひきこもり家族支援などのプログラムを提供しており、今回のフレイル予防支援は5つ目となる。ひとつの事業所あたり月額3万円から利用可能。「すでにFACE DUOは全国200弱の施設に入っており、今後自治体を中心に増えていくのではないか」と大西氏は見通した。また、「予防の3本柱を広く伝えることで、生活者のウェルビーイング実現に貢献することができると考えている」と意欲を示した。
◎身体的・社会的・心理的認知的フレイルの3要素が影響 未来ビジョン研究センター・飯島教授

同プログラムを監修した、東京大学高齢社会総合研究機構・機構長で未来ビジョン研究センターの飯島勝矢教授は、フレイルについて筋肉の衰えなどの「身体的フレイル」、人のつながりの欠如など「社会的フレイル」、認知機能の低下など「心理的認知的フレイル」の3つの要素が大きく影響し、負の連鎖で自立度の低下が起こっていくと説明した。
飯島教授はまた、フレイルのリスク、身体活動・文化活動・ボランティア、地域活動の3つの要素との関連性を比較した研究結果(自立高齢者4万9238人を対象に実施)を紹介。3つの活動を全て行わない高齢者のリスクは、全て行う高齢者と比較してフレイルリスクが約16倍になると報告した。さらに、「運動習慣だけがあり、他の活動をしない」人は「運動習慣がなく、他の活動をする」人に比べ、リスクが約3倍高いという結果も示した。
飯島氏は、VRの活用について、「フレイルの初期の頃、すなわちプレフレイルの兆しをこれで気づいてほしい。気づき、学びがあるからこそ日常生活に反映できると思う」と期待を込めた。