EMA ロシュへの罰金を検討開始:安全性報告問題
公開日時 2012/10/26 04:00
欧州医薬品庁(EMA)は10月23日、今年6月にスイス・ロシュが安全性報告を適切に行っていなかったことが明らかになった問題で、ロシュ・レジストレーションに対して、欧州委員会(EC)の要請に基づき、同社にEC規制の違反がなかったかを調査する「違反手続」(infringement procedure)を開始したと発表した。
この問題は、EMAが、今年5月に英国医薬品庁(MHRA)からロシュに対する安全性報告システムについての査察で、米国における約8万例について適切に評価がされなかったことが判明したとの報告を受けたもの。8万例のなかには、15161例の死亡例があることも判明した。同死亡例が疾患の進行による自然死か医薬品との因果関係によるものかは不明。医薬品は、ロシュの主力品である、抗がん剤アバスチン、同タルセバ、同ハーセプチン、抗インフルエンザ薬タミフルなど19品目に及んでいる。
EMAの「違反手続」の執行は、EC規制(Commission Regulation)No.658/2007に基づき、EMAがロシュは規制違反を犯したと認定するとロシュに対して、欧州売上の5%の罰金を科せられることになるという。米ロイター通信によると、ロシュのEU域内の売上128億スイスフラン(138億ドル)の5%で、6億4000万スイスフランになる見込み。
EMAでは、ECに対して調査結果を報告することになるが、結果についての予断はもたないとしている。
また、安全性報告が適切に行われなかったことによる、公衆衛生全体への影響については今後も監視を続行することを明らかにしている。
EMAは、ロシュ、EC、EU加盟各国保健当局に対して、「違反手続」を開始したことを通知した。