学校教職員による児童生徒へのインシュリン注射は違法ではない 米国高裁判断
公開日時 2013/08/29 03:52
カリフォルニア州高裁は8月12日、糖尿病患者の児童生徒へのインシュリン注射を、看護師でない、ただし適切な訓練を受けた学校教職員が実施することはカリフォルニア州法に抵触しないとの判断を示した。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
高裁は、看護協会及び一部教育関係者の間から出されていた「安全性への懸念」について、事実関係を検討した結果、安全性を懸念すべき理由はないとして、これを退け、さらに、カリフォルニア州法には看護師以外の学校教職員がインシュリン注射を実施することを禁止する条項はないとの判断を示し、医師及び保護者の同意があれば、看護師以外の教職員が駐車をおこなっても差し支えないとした。
訴訟のきっかけは2007年にさかのぼる。当時、カリフォルニア州の文部当局が、糖尿病の児童生徒へのインシュリン注射を、特にトレーニングを受けた学校職員(看護師でない)に実施させようと企図したところ、カリフォルニア看護師組合がこれを阻止しようとしたのが発端だ。
カリフォルニア州の公立学校には、推定1万4000人の糖尿業の児童生徒が在籍している。ところが、カリフォルニアには児童生徒2200人に対して1人しか看護師がいないのが現実で、これは全米でも最低の比率となっている。子どもの安全確保のためには、「看護師でなければ」の規定は意味をなさないというのが糖尿病の子どもを持つ親たち:原告側の主張であった。
看護協会は連邦最高裁への上告を検討していると報道されている。