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ノバルティス SIGN研究社外調査委 東大担当MRの労務提供が公競規違反と指摘

公開日時 2014/04/03 03:52

MRなどの製薬企業社員が医師主導臨床研究にかかわった問題で、「慢性骨髄性白血病治療薬の医師主導臨床研究であるSIGN研究に関する社外調査委員会」(委員長:原田國男氏)は4月2日、調査報告書をまとめ、東大病院担当のMRなどが複数の医療機関に対し、継続的または過大な労務提供を行ったとして、医療用医薬品製造販売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(公競規)違反を指摘した。同研究をめぐっては、重篤な副作用報告を怠ったことによる薬事法違反、患者情報を知りえたことによる個人情報保護法違反などの可能性があることも指摘した。


原田委員長は同日開かれた会見で、「(SIGN研究について)多くは、ひとりのMRが中心となって全体を企画指示し、実施させていた」とした上で、事実を把握していたブロックマネージャーをはじめ、組織としての関与を指摘した。また、研究の企画立案段階から研究の全般をノバルティス社の社員がサポートしていたとして、「製薬企業丸抱えの研究と言っても決して言い過ぎではない」と批判。ノバルティスは、シェア獲得で苦戦していた東京エリアでの“販促目的”で試験の実施に関与していたと指摘した。一方で、医師側も製薬企業のサービスに期待を寄せていたとし、「医師と製薬企業が一体化した現れというべきもの。倫理上不適切だという批判は免れない」と述べた。


◎副作用グレード評価をMRが代筆 薬事法違反の可能性も


調査委がSIGN研究をめぐり指摘した問題行為は、20項目にのぼる。会見の冒頭で原田委員長は、「アンケート用紙等の運搬やSIGN研究のインセンティブ問題程度かと思っていたが、調査を進めるにつれ、問題行為の範囲も規模も拡大し、実態にたじろぐほどだった」と問題の大きさを強調した。

調査委は、特に大きな問題を含んだ行為として、①グレード評価の代行記入②データ解析、スライド作成③プロモーション動画の作成・使用――の3点を挙げた。

特に問題視したのが、タシグナ(一般名:ニロチニブ)の副作用についてのグレード評価を、医師に代わりひとりのMRが記入していた点だ。副作用の評価自体をMRが行っていたとの証言もあったが、MRと2名の医師に聞き取り調査を行ったところ、評価そのものは医師が行い、MRはその結果を代筆したに過ぎないと供述が一致した。また、ほかのMRからも同様の供述があったことなどから、調査委では、「MRがグレード評価を代行していたというところまでは認定できないと判断した」(原田委員長)。ただし、「本来医師が作成すべき患者の診断にかかわる書類の一部を代筆することは倫理的に不適切」と指摘した。また、仮にMRが評価を行っていたとすれば、「全体のデータの優位性にかかわるため、全体的に薬事法違反も視野に入ってくる可能性がある」と述べた。


データ解析、スライド作成については、東大病院のMRなどがアンケート用紙を回収、保管していたことからそれを基にメディカル・サイエンス・アソシエイトが社内にデータベースを構築。入力・集計作業後にMRが協力し、入力ミスのチェックも行っていた。日本血液学会で報告された同試験の中間解析結果についても、社内のデータベースを活用して行われた解析結果から作成した抄録案・スライド案を医師に提示していた。ただ、ディオバン問題後、東大病院などの医師側が、製薬企業が解析したデータを学会発表に用いることを問題視。東大病院に構築されていたデータベースを活用し、解析を行ったといい、最終的には1枚のスライドを除き、医師側のスライドを用いた発表が行われている。そのため、調査委員会では、「ノバルティス社の解析が中間発表を不当にゆがめたとは言えない」とし、データの改ざん等については否定した。

プロモーション動画の作成・使用については、データの改ざんなどがなかったことから、「虚偽または誇大な情報を含むものではなく、薬事法および不正競争防止法による広告規制との関係では、特段の問題を生じない」とした。


◎重篤な副作用報告されず 薬事法に抵触も


一方、公競規違反については、少なくとも3施設で継続的または課題な労務提供がなされたと調査委は判断。労務の具体的な内容は、アンケート用紙の運搬や原本管理、症例登録票の作成、進捗状況の管理や、研究事務局としてのサポート業務などとした。ただ、医師側も「労務提供のことを当然として期待し、これを受け入れたという実態」について「規範意識の鈍麻が見られる」と指摘した。


また、重篤な副作用については、製薬企業が知りえた場合、厚生労働大臣に報告義務があるが、発生した4項目(患者2名)について報告がなされていないことも明らかになり、薬事法に抵触する可能性も指摘された。


そのほか、調査過程で、研究に関与したMRやメディカル・サイエンス・アソシエイトが研究関連の資料や電子ファイルを削除や自宅へ持ち帰るなど証拠隠滅を図ったことも明るみとなった。ブロックマネージャーのひとりは、データの消去を指示し、資料の隠ぺいを黙認している。この行為は、2013年12月24日以降、本格化したとしている。


◎「ディオバン問題の反省が生かされなかった」


調査委では、一連の問題が起きた背景として、数年前までは医師主導臨床研究をめぐって製薬企業と医療機関が協力し合う関係が存在し、奨励された時期があったと説明。「時代が変わり、医師主導臨床研究の客観性、中立性を保つために両者は距離をおくことの必要性が認識される中で、ノバルティスはこの変更への対応が不十分だった」とした。その上で、「ディオバン問題の発生を受けて、即時に全社的な調査を実施し、適切に対応していれば、今回のような事態に至らなかった可能性がある。反省が十分に生かされなかったことは残念といわざるを得ない」と述べた。
 

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