中外・14年度通期決算 国内製品売上6.2%増 がんのほか骨・関節、感染症領域も好調
公開日時 2015/01/29 03:51
中外製薬が1月28日に発表した2014年12月期(1~12月)決算は、国内トップシェアのがん領域に加え、骨・関節、感染症領域の主力品、新製品が好調だったことにより薬価改定の影響を吸収して、国内製品売上高(タミフル除く)は3495億円、6.2%増となった。期初計画を4.1%上回った。
がん領域の製品売上高は1889億円、9.6%増。同領域で最も売上高の大きいアバスチンが9.2%増だったことに加え、乳がん治療薬では、ハーセプチンが奏功しなくなった患者向けのパージェタ、カドサイラが計画の約2倍売り上げたことが寄与した。
骨・関節領域の製品売上高は696億円、14.9%増となった。骨粗鬆症治療薬のエディロールが28.0%増になったことに同治療薬の13年8月に発売された新製品ボンビバが34億円が加わった。さらに関節リウマチ治療薬アクテムラの皮下注製剤が14年6月に長期処方が解禁されたことで同剤全体の売り上げが18.1%増となったことも、領域全体を押し上げる要因となった。
移植・免疫・感染症領域の製品売上高は208億円、10.8%増となった。伸長の要因は、C型肝炎の3剤併用療法の普及で、ペグインターフェロン製剤ペグイントロン、抗ウイルス剤コベガスが売り上げが大幅に増えたため。しかし、15年度はインタフェロンフリー療法が実施されることから、大きく売り上げを落とす見通し。
業績全体では、新製品、主力品の売り上げ増で8.8%の増収、円安による原価率の悪化、研究開発費の増加で3.7%の営業減益となった。15年度は、がん、骨・関節領域の製品成長で増収、営業増益を見込む。
国内営業の強化 エリア戦略 eプロモーションとMR活動の連携推進で
小坂達朗社長は同日の決算発表会見で、エリアを重視した営業体制の推進も業績好調の背景にあるとし、引き続き取り組む姿勢を示した。地域医療を重視した医療行政により「都道府県単位で医療提供体制、医療連携が進められ、特に医療圏がハイライトされている。従って、製品戦略は本社でしっかり指示していくが、顧客政策、流通政策は、都道府県によって(事情が)全然違うので、支店単位で、都道府県単位で戦略を立てて展開していく力を強くしていく。支店の戦略立案機能、展開力を強化し、そのための人材を充てていくことにより、生産性が上がっていくと考えている」と説明。戸早正昭専務執行役員は「(エリアに即して)考える営業をしようと、権限を徹底して現場に移し、予算の立案も通年にするなどして、昨年は効果が出てきた」と話した。
15年度の方針について加藤進常務執行役員営業本部長は「エリアの特異性に応じた分析力を支店長が身に着け、エリアの中で最適な成長機会を見つけて投資するといった戦略をもって、生産性を高めていく」と説明した。
また、小坂社長は、eプロモーションとMR活動の連携も営業力強化の一環で引き続き推進するとし、eに対する医療従事者からのレスポンスに対しMRがフォローしたりする取り組みを進めるとした。
【14年度連結実績(前年度比)15年度予想】(国際会計基準)
売上高 4611億900万円(8.8%増)4865億円
営業利益 758億5900万円(3.7%減)850億円
*15年度営業利益予想はCoreベース
【主要製品の国内売上(前年度実績) 15年度予想、億円】
がん領域 1889(1724) 2043
アバスチン 823(754) 882
ハーセプチン 312(309) 296
リツキサン 262(262) 279
タルセバ 115(104) 141
ゼローダ 104(113) 100
ノイトロジン 59(81) 47
パージェタ 91(24) 99
カドサイラ 40(-) 88
アレセンサ 14(-) 52
骨・関節領域 696(606) 759
アクテムラ 241(204) 263
エディロール 192(150) 212
スベニール 107(119) 108
アルファロール 49(64) 42
ボンビバ 34(5) 49
腎領域 447(489) 443
ミルセラ 226(225) 245
オキサロール 122(122) 117
エポジン 66(105) 52
移植・免疫・感染症領域 208(188) 130
セルセプト 65(72) 64
ペガシス 70(55) 21
コペガス 31(13) 11
その他領域 256(286) 235
シグマート 64(86) 47
海外 743(611) 925
アクテムラ 557(432) 757
ノイトロジン 157(147) 140
アロキシ -(-) 2
タミフル 130(110) 74
うち行政備蓄等 2(9) -