ノバルティスとGSK 3事業の交換終了 日本でも抗がん剤6製品を移管、専門MRも
公開日時 2015/03/04 03:52
ノバルティスとグラクソ・スミスクライン(GSK)は3月3日、日本法人を通じて、GSKのがん領域事業のノバルティスへの移管など、3事業の移管手続きを2日付で完了したと発表した。これにより日本でも2日付で、GSKが販売していた抗がん剤ヴォトリエント(一般名:パゾパニブ)など計6製品がノバルティスに移るとともに、GSKのがん領域担当MRもノバルティスに同日付で入社した。入社人数は開示していない。
ノバルティスとGSKは14年4月に、全世界で、▽GSKのがん領域事業のノバルティスへの移管(GSKは総額160億ドルで売却)▽ノバルティスのインフルエンザワクチンを除くワクチン事業の移管(GSKは52億5000万ドルを支払い、さらに最高18億ドルを支払う可能性がある)▽コンシューマーヘルスケアの合弁会社設立(GSKが株式の63.5%所有)――との事業移管を行うことを発表していた。これらの移管が完了した。
これによりノバルティスは、がん領域などの医療用医薬品、アイケア、ジェネリックで主導的地位を確立することに注力する。GSKは、医療用医薬品事業の柱の呼吸器領域とHIV領域、コンシューマーヘルスケア、ワクチン事業でのリーダーを目指す。
■日本市場 抗がん剤の製造販売承認の承継まで数か月
ノバルティスが有害事象の収集・情報活動、GSKが製造・流通など担当
日本市場を見てみる。まず、がん領域事業について、GSKは▽ヴォトリエント▽タイケルブ(一般名:ラパチニブ)▽レボレード(エルトロンボパグ オラミン)▽アーゼラ(オファツムマブ)▽アラノンジー(ネララビン)▽ゾフラン(オンダンセトロン)――の6製品をノバルティスに移管した。ただ、各製品の製造販売承認の承継には今後数か月がかかる見込み。このため、承継が完了するまで、ノバルティスは譲渡された製品の製造販売後安全管理に係わる有害事象の収集や情報提供活動を行い、GSKは製品の製造と流通、製品の問い合わせ対応を行う。
GSKが進行中のがん領域の臨床試験についても、「当面の間、GSKが試験依頼者として引き続き業務を継続する」としている。
ノバルティスには2日付で、GSKのがん領域担当MRが入社した。入社後のノバルティスのがん領域担当MRの人数は開示していない。なお、14年末で400人体制となっており、慢性骨髄性白血病治療薬グリベックや同タシグナなど主要8製品にリソースを集中している。
コンシューマーヘルスケアの合弁事業については、日本でも、GSKのコンシューマーヘルケア事業とノバルティスのOTC事業を併せた合弁会社「グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社」が2日付で発足した。社長の就任など体制はこれから検討する。合弁会社の株式所有率は、グローバルと同じく、GSKが63.5%となる。
ワクチン事業は、ノバルティスが日本で製造販売承認を取得したワクチンがないので、日本での影響はない。