協和キリン・16年~20年の新中計 後半に急成長描く 国内は新薬重点 エリア戦略強化 BS、AG投入も
公開日時 2016/02/01 03:51
協和発酵キリンは1月29日、2016年~20年までの5カ年中期経営計画を発表した。薬価改定の影響などで大きな成長が望めない前半は、米国の自販体制など販売インフラ構築などを進める「投資フェイズ」と位置付け成長基盤を整え、2018年以降の後半を「飛躍フェイズ」として急成長させる計画を描いた。国内事業は、持続型G-CFS製剤ジーラスタなど新薬に重点を置いた営業資源投入、エリア重視戦略を強化することで成長図る。最終年度までにはグローバル品により海外事業の拡大を進め、海外売上高比率を50%(現在約30%)まで引き上げ、コア営業利益を15年段階からほぼ倍増の1000億円以上とする目標を掲げた。
同社は、目標売上高はミスリードにつながるとして示していない。今回の中計は「グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍」(GPS)がテーマで、海外事業強化によるグローバル競争力の向上が大きな柱のひとつ。国内事業はGPSの基盤との位置づけ。
国内 MSL新設へ
国内事業強化のため、ジーラスタほか、糖尿病に用いるDPP-4阻害薬オングリザ、パーキンソン病治療薬ノウリアスト、乾癬治療薬ドボペットほか、16年中の承認が見込まれる抗体の乾癬治療薬ブロダルマブ(一般名、「KHK4827」)など新薬に重点を置いた営業資源の戦略的活用を進め、売上拡大を図る。その営業体制は、地域の医療提供体制の変化に合わせ、担当別営業所制から二次医療圏単位で推進される病診連携などに的確・迅速に対応できるようにする。一方で、高度専門情報に対するニーズに応えるためMSLを新設する。配置人員数など詳細は明かしていない。
バイオシミラー(BS)、オーソライズドジェネリック(AG)の投入も視野に入れる。BSについては、サンドが開発するリツキシマブについて、協和キリンが国内販売するライセンス契約を締結している。同社によると、BSを事業の柱とするのではなく、がんや免疫など重点領域との相乗効果を見込める場合において、ポートフォリオ拡充の一環として取り組む。
AGは腎性貧血治療薬ネスプについて検討する。2019年に物質特許が満了する(その後も製剤特許は存続)が、現在500億円以上の売上があり、その資源を特許切れ後も生かすのが狙い。同社によると、AGもBS同様に事業の柱としては位置付けることは想定しない。
海外事業については、希少疾患の遺伝性低リン血症の治療薬「KRN23」、拡大するがん免疫療法薬の併用薬として期待する抗がん剤ポテリジオ(日本名)、パーキンソン病治療薬ノウリアスト(日本名)をグローバル戦略品と位置付け、欧米発売を実現することで成長を図る。