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中医協 16年度診療報酬改定答申 大手チェーン薬局迫られる経営転換

公開日時 2016/02/12 03:52

中医協(田辺国昭会長・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は2月10日、2016年4月実施の診療報酬点数について取りまとめ、塩崎恭久厚労相に答申した。改定は、2025年に到来する超高齢化社会に向けた地域包括ケアシステム実現に向けたマイルストーンに位置づけられる。入院医療の機能分化・強化に向けた急性期病院の要件厳格化、かかりつけ薬剤師の創設などの施策を診療報酬、調剤報酬の点数として示した。高齢化が進み、“かかりつけ機能”が重視される中で、調剤報酬では、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握、服薬指導する「かかりつけ薬剤師指導料」、「かかりつけ薬剤師包括管理料」を新設する。一方で、大型門前薬局について鋭い切り込みが入り、月4万回超のグループに属す処方せん集中率95 %超の保険薬局などでは、調剤基本料(41点)を半分にあたる20点まで引き下げる。塩崎厚労相は「病院の前の風景を変える」と語ったが、それが現実になる時も近い。大型門前薬局を多く抱えるチェーン薬局は、いままさに経営転換を迫られている。


◎“医薬分業元年”はラストチャンス? 薬剤師の職能も正念場


「明治時代の医制発布以来から何度目かの医薬分業元年ということになる。今回は最後のチャンスに近いのではないか。調剤薬局では薬剤師の職能全体が正念場を迎えている」。支払側の花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は中医協後の会見で、こう自身の見解を語った。

医薬分業をめぐっては、昨年の規制改革会議の議題に取り上げられ、8月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)にも“患者本位の医薬分業”が明記された。結果的には医科、歯科、調剤の配分を守った上でのプラス改定となったが、調剤報酬は「2年間大変厳しい調剤批判の中で進んだ改定だった」と日本薬剤師会の山本信夫会長が会見で語った通り、強い逆風が吹く中での改定となった。調剤医療費のうち、技術料で6割を占める調剤料・製剤加算について内服薬の15日分以上の調剤料や一包化加算が引き下げられた一方で、薬学管理料に手厚い配分を行った。これまで調剤偏重と言われていた“対物業務”を“対人業務”へと大きく舵を切る強いメッセージを発信したものと言える。

こうした流れを象徴するのが、かかりつけ薬剤師指導料(1回につき70点)、かかりつけ薬剤師包括管理料(1回につき270点)の新設だ。患者自身が“かかりつけ薬剤師”を選択し、患者の服薬状況を一元的・継続的に行った上で服薬指導を行ったことを評価する点数だ。患者の署名付きの同意書を作成して初めて算定できる。24時間相談にのることや、調剤後の服薬状況などを把握し、処方提案することも求められる。「今までにない概念に基づく点数だ。薬局、施設以外に調剤料以外薬剤師の点数で、明確に評価項目に挙がったのは初めてだと認識している」と山本会長も会見で強調した。医薬品の安定供給が求められ、施設要件に評価の重点が置かれてきた調剤報酬だが、薬学的知見に基づき、薬剤師がいかに職能を発揮できるか。重複投薬・相互作用防止加算への手厚い評価や、残薬の日数調整について処方せん様式を変更するなど、薬剤師の疑義照会を後押しし、職能を発揮しやすいような仕組みも導入する。今後は、正確さに代表されるような画一的なサービス提供だけでなく、薬剤師個々の資質が問われる時代に入る。


◎岐路に立たされる調剤チェーン 調剤基本料引下げ、基準調剤加算見直しで



こうした中で岐路に立たされているのが、大手調剤チェーンだ。調剤基本料(41点)は、処方せん回数と集中率で引き下げられる特例(25点)があるが、その範囲を拡大。処方せん受付回数月4000回超かつ集中率70%超、処方せん受付回数2500回かつ集中率90%だったが、処方せん受付回数2000回、集中率90%まで拡大した。特定の医療機関からの処方せん受付回数が月4000回を超える場合は集中率にかかわらず、特例対象とすることも新たに盛り込まれた。さらに、特例よりも点数が低い20点という点数を新設した。処方せん回数が月4万回超のグループに属する保険薬局のうち、①処方せん集中率が95%超、②特定の医療機関との間で不動産の賃貸取引がある―薬局が対象になる。さらには、どの点数も未妥結減算でさらに引き下げられる。

特例の適応から除外されるための要件は、24時間開局が廃止され、▽勤務する薬剤師の5割以上がかかりつけ薬剤師指導料又は、かかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合した薬剤師であること、▽かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料にかかる業務について相当な実績を有していること――が新たな要件となった。2017年4月1日からは、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、重複投薬・相互作用防止加算、在宅患者訪問薬剤管理指導などを1年間一定数算定していない保険薬局では、調剤基本料を半分に引き下げる。

調剤基準加算は32点に一本化され、かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の届出や、かかりつけ薬剤師の勤務実績などの要件、特定の保険医療機関の集中率が90%超の保険薬局では後発医薬品の調剤割合が30%であることなどが算定要件とされた。調剤基本料の引下げを受けている保険薬局では算定することができない。

一時期浮上していた20店舗以上の保険薬局に対する調剤基本料の減算は盛り込まれなかったが、日本保険薬局協会(NPhA)の南野利久副会長(株式会社メディカル一光)は、「結果的にはほぼ同じだった」と述べ、大手だけではなくて、中小のチェーン薬局でも厳しいマイナスになると見通した。さらに、「調剤基本料も基準調剤加算、(後発医薬品の)シェア率もある。シェア率の努力が難しい」と述べた。こうした中で、かかりつけ機能を果たす、在宅薬剤管理指導業務への参画などでハードルをクリアすることが必須との見方を示した。

厚生労働省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、「かかりつけ薬局しか生き残れない」と昨年の日本在宅医学会で語ったが、多くの保険薬局が経営の転換を迫られることになる。ただ、大手調剤チェーンの中には、調剤基本料が引き下げられることで安さにより患者を集客し、薬価差益に重きを置く保険薬局もあるとの声もある。スケールメリットを求めて、合併や買収が加速するとの指摘もある。こうした中で、在宅やかかりつけ業務にシフトする保険薬局との二極化を懸念する声もすでにあがっている。次回改定までの二年間に、保険薬局が生き残りをかけてどのような姿になるか、注目されるところだ。


◎後発医薬品 診療所での評価を新設 80%目標達成に向けギア



そのほか、後発医薬品数量シェア80%目標が示される中で、診療所における後発医薬品を評価する「外来後発医薬品使用体制加算」の新設、一般名処方加算の見直しなど、さらなる促進に向けた施策が盛り込まれた。外来後発医薬品体制加算は数量シェア70%の場合(体制加算1)は4点、60%の場合(加算2)は3点が算定できる。一般名処方加算では、後発医薬品が存在するすべての医薬品が一般名で処方された場合の点数を新設、これまでの2点より高い3点を算定できる。後発医薬品使用体制加算も新指標に値を変えたうえで、後発医薬品70%以上とする基準を新設。新指標で数量シェア70%以上(後発医薬品使用体制加算1)は42点、60%以上(加算2)で35点、50%以上(加算3)で28点を算定できる。DPC病院でも機能評価係数Ⅱの評価上限を70%に引き上げた。

薬局でも後発医薬品体制加算をこれまでの55%、65%から10%ずつ引き上げ、65%以上(18点)、75%以上(22点)とする。
 

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