日本医療研究開発機構(AMED)はこのほど、臨床研究や治験のプロトコル、データ解析などを行う生物統計家を育成するため、東京大学と京都大学の大学院を育成拠点に選定したと発表した。より質の高い臨床研究、治験を行える環境整備の一環。同機構によると、大学院に「生物統計講座」を設置し、2018年度から学生を受け入れを開始。2年間の教育ののち、修士をそれぞれの大学院から年10名以上を育成、即戦力として臨床研究中核病院などへの配属を目指す。
AMEDが10月4日に発表したこの取り組みは、日本製薬工業協会加盟の製薬企業の個別寄付と国の研究資金による16年度から5年間の産学官共同事業。事業規模(上限額)は、16年度2億円、17年度3億円、18年度以降4億円を計画する。
各大学院は独自のカリキュラムを策定し教育を行う。併せてそれぞれが連携病院とともに育成拠点を形成しOJT研修も行う。具体的には東京大学大学院は「東京大学医学部附属病院」「国立がん研究センター」と、京都大学大学院は「京都大学医学部附属病院」「国立循環器病研究センター」と連携して育成する。
AMEDは、「生物統計家の人材不足が昨今相次いだ臨床研究における不正の一因とも指摘されている。これらのことから、実務家としての生物統計家を育成し、臨床研究実施機関に送り出すサイクルを早急に確立することが求められている」としている。