年頭所感 日薬連は「従来の枠組みにとらわれない制度改革」の重要性強調 業界団体が抱負や決意
公開日時 2026/01/06 04:49
日本製薬団体連合会(日薬連)と日本製薬工業協会(製薬協)、日本医薬品卸売業連合会(卸連)は2026年の年頭所感を会長名でそれぞれ発表した。日薬連の安川健司会長は、「今こそ、従来の枠組みにとらわれない大胆な発想で官民一体となって制度改革を進め、日本を魅力ある市場とすることで、未来の医療と国の持続的な成長をともに支える体制を築くことが重要だ」と強調。製薬協の宮柱明日香会長は「国民の健康と経済安全保障を支える基幹産業・成長産業としてこれまで以上に責任ある対応が求められる重要な局面にある」との認識を示した。卸連の宮田浩美会長は平均乖離率約4.8%となった25年度薬価調査の結果を振り返り、「もはや毎年の改定によって、薬価を引き下げるような環境、経済状況にはないという一つの証だ」と訴えた。
◎日薬連・安川会長 薬価制度改革「今後も継続した議論が必要」
日薬連の安川会長は25年について、創薬力向上のための官民協議会の開催や創薬・先端医療を17の戦略分野の一つに位置付けた日本成長戦略本部の設置など、「創薬力強化への機運は着実に高まった」と振り返った。一方、米国の関税政策や最恵国待遇などの影響、国内の物価上昇や経済安全保障リスクなどは「医薬品産業にとって大きな脅威」となった。
国内外の環境が変化する中、医薬品産業は「日本の基幹産業として国民の命と健康を支える国家のインフラであり、原薬・原材料の生産体制を含むサプライチェーン強化など“危機管理・安全保障”を支える上で不可欠な産業」だと主張。安定供給と革新的な新薬へのアクセスを確保しつつ、国民の健康に寄与するという使命を果たすために「継続的な投資を可能にする魅力ある市場とイノベーションが正当に評価される制度的な土壌があることが前提」になるとし、「世界の製薬企業が日本を重要な市場だと認識しない限り、新薬による国民のアンメット・メディカルニーズは満たされず、結果的に国民が世界の最先端医療を享受できないという状況になりかねない」と警鐘を鳴らした。
制度改革を着実に進める上では、業界による取り組みに加えて国民の理解と共感が不可欠との認識を示し、「社会保障制度の持続可能性という共通の課題について幅広いステークホルダーとともに理解を深め、建設的な議論が進むよう、引き続きアドボカシー活動を通じた情報発信と対話に努める」とした。
また、26年度薬価制度改革においては、物価・賃金上昇分として約5%の薬価ベースアップや制度構築などを訴えてきたが、「要望は実現されず今後も継続した議論が必要」との認識を示した。
◎製薬協・宮柱会長 社会保障の国民会議「アクセス確保の視点が重要」
製薬協の宮柱会長は、国内外の課題に触れつつ、「日本がこれからも新薬を創出し続けるためには、既存の枠組みを見直し、新しい発想を受け入れ、果敢にイノベーションを起こしていくことが不可欠だ」と訴えた。
特に薬価制度に対しては、中間年改定の廃止など「海外からも魅力ある市場と評価されるよう、予見性と透明性の高い制度の構築が必要だ」と主張。社会保障制度の給付と負担のあり方をめぐる議論に向けて、高市早苗首相が設置を表明している国民会議に触れ、「社会保障財政の持続性に加えて、イノベーションへのアクセスを確保する視点が重要であり、業界としても建設的な提言を行っていく」と前を見据えた。
◎卸連・宮田会長 流通改善ガイドライン改訂は「コスト意識高める大きな前進」
卸連の宮田会長は、薬価調査において平均乖離率が約4.8%と過去最小値となったことや、25年度補正予算に医薬品卸業者を対象とした安定供給支援措置が盛り込まれたことなどについて、「医薬品卸の価値、医薬品の安定供給の重要性が再認識された証」と振り返った。
厚労省の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」において流通不採算や逆ザヤの実態が議論になったことにも触れ、「流通改善ガイドラインを再度改訂することで、流通コストの意識を高める方向性が示されたことは大きな前進だ」と歓迎。今後は「単品単価交渉の定義の明確化」や「総価交渉の解消に向けた取り組み」などを課題とし、「引き続き古い商慣習からの脱却を目指していく」との決意を示した。