大日本住友 自社創製のFAAH阻害薬 日米での制吐剤の開発・販売権を丸石に導出
公開日時 2017/09/07 03:50
大日本住友製薬と丸石製薬は9月6日、大日本住友が創製したFAAH(脂肪酸アミド加水分解酵素)阻害薬について、日米での悪心・嘔吐を対象とした独占的な開発・製造・販売権を丸石製薬に導出する契約を締結したと発表した。丸石は契約一時金や開発マイルストン、販売後は販売額に応じたロイヤルティなどを支払うが、具体的な金額は開示していない。
大日本住友が2015年にアカデミアを対象としたオープンイノベーション活動「PRISM」で同剤の新規開発適応症を公募したところ、この公募内容が丸石の目にとまり、丸石から制吐剤で開発したい旨の話があって今回のライセンス契約に至ったという。
大日本住友は、「周術期領域に強みを持つ丸石製薬とのライセンス契約により、本剤が制吐剤として開発・上市され、医療に貢献できることを期待している」としている。
FAAH阻害薬は非臨床段階の化合物。ニューロンに発現するFAAHは、神経活動において重要な役割を担っている。同剤はFAAHを阻害することでアナンダミドをはじめとするエンドカンナビノイドの分解を抑制し、エンドカンナビノイドがカンナビノイド受容体のひとつであるCB1受容体シグナルを活性化することで制吐作用を示すと考えられている。
エンドカンナビノイドは、カンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対して結合活性を持つ内在性因子の総称。主に神経系で発現しているCB1受容体を介したシグナルは制吐、鎮痛、神経保護作用など多面的な作用を示すことが知られている。