大塚製薬 nAMD、DMEの遺伝子治療薬候補「4D-150」 米バイオ企業から日本などの開発販売権獲得
公開日時 2025/11/04 04:49
大塚製薬は10月31日、米バイオ企業4D Molecular Therapeutics社(4DMT)が創製した眼科遺伝子治療薬候補「4D-150」について、日本を含むアジア・オセアニア地域(APAC)における網膜血管疾患に対する独占的な開発・販売権を獲得するライセンス契約を締結したと発表した。4DMTは現在、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)を対象疾患に開発している。
4D-150は、新規のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いることで網膜細胞に複数の治療用遺伝子を導入し、より広範に4種類のVEGFファミリーを抑制するとともに、一度の硝子体内投与により長期に効果を持続させることを目的とした遺伝子治療薬。これまでの臨床試験では、最長で130週間の効果の持続が確認されているという。
契約に基づき、大塚製薬はライセンス対象地域での承認申請と商業化活動を主導する。4DMTはAPAC地域を含む全世界におけるすべての第3相試験を引き続き主導する。nAMDを対象としたグローバル第3相試験(4FRONT-2)は、年内にAPACで、2026年1月には日本でも臨床試験施設の追加が行われる予定になっている。
大塚製薬は4DMTに契約一時金8500万ドルを支払う。また、それぞれの開発目標達成および売上高の達成目標に応じたマイルストーンを支払うとともに、売上高に応じた段階的ロイヤルティを4DMTに支払う。「今後の特定の研究開発費」は大塚製薬が負担する。
◎大塚製薬・井上社長 「生涯に一度の投薬により視力低下を防ぐことを目指す」
大塚製薬の井上眞代表取締役社長は、nAMDやDMEは視野の欠損や視力低下を来すことで日常生活に深刻な影響を及ぼす疾患であることから、「依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い領域」との認識を示した。そして、「現在の標準療法は長期的な治療継続が難しく、今回4D-150を日本・アジア・オセアニア市場に導入することで、生涯に一度の投薬により視力低下を防ぐことを目指す」とコメントした。
新生血管型の加齢黄斑変性に対しては近年、この新生血管の形成に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑制する抗VEGF薬を、患者の硝子体内に約4~16週間ごとに投与する方法が標準的な治療法として確立されている。しかし、この治療は長期間にわたり継続することが困難で、その結果、病態の進行を十分に抑制できないという課題が指摘されている。より長期的に効果が持続する抗VEGF薬の開発が求められている。