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18年度改定 後発医薬品調剤体制加算は3段階に 「地域支援体制加算」新設で薬剤師は安全性の要

公開日時 2018/01/25 03:52

2018年度診療報酬改定は、医薬品の安全性、経済性の両面から適正使用を推進する。高齢化が進み、向精神薬をはじめとした多剤併用が社会問題化する中で、医師、薬剤師、看護師、介護職が多職種連携を通じ、適正使用を推進する絵を描く。薬物治療の要を担うのが薬剤師だ。薬局の地域医療への貢献を評価して新設される「地域支援体制加算」では、薬物療法の安全性向上に資する事例の報告や副作用報告体制の整備を施設要件とする。後発品の処方が増加し、医療従事者からの自発報告の重要性も高まる中で、薬剤師としての職能を明確化した。後発品80%目標達成に向けて、後発医薬品調剤体制加算は75%、80%、85%に引き上げられる見通し。複雑化する地域医療の現場で、薬剤師の本来の職能である安全性と、後発品使用促進などを通じた医療費の適正化の役割も担う。これまで製薬企業のMRが担ってきた面も少なからずあった医薬品の安全対策も新たな局面へと突入する。

高齢化が進む中で、重複投薬や多剤併用、残薬などが社会問題化してきている。特に高齢者では6剤以上服薬している患者も少なくないという。多剤併用の背景にあるのは、高齢者が複数の疾患を合併し、複数の医療機関を受診していることだ。解決のためには、医療機関同士、さらには医師、薬剤師、看護師、介護職など多職種間、病診薬連携による適正使用推進が不可欠だ。18年度改定では、薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携した保険薬局について、調剤報酬上で「服用薬剤調整支援料」を新設する。また、地域包括診療料・加算を算定する、かかりつけ医が、連携先の病院や介護施設と医薬品の適正使用で連携した場合に算定できる「薬剤適正使用連携加算」も新設する。一方で、多剤併用の原因として長期処方が指摘されるなかで、紹介率の低い大病院の 30 日以上の処方減算を適正化する。

◎向精神病薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬の適正使用で減算ルール新設

最も多剤併用のリスクが高いと指摘されている向精神病薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬の適正使用をめぐる評価も新設する。一定期間以上ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬を長期にわたって継続して処方している場合の処方料・処方箋料について、低い点数を新設する。逆に、多剤併用状態にある患者について減薬した上で、医師が薬剤師または看護師と協働して症状の変化などの確認を行っている場合の評価として、「処方料 向精神薬調整連携加算」、「処方せん料 向精神薬調整連携加算」を新設する。

そのほか、抗菌剤の適正使用推進の観点から、薬剤耐性(AMR)についても多職種からなるチームで教育・啓発などに取り組んだ場合の評価として、「抗菌薬適正使用支援加算」を新設する。

◎基準調剤加算は廃止 分割調剤推進で処方箋様式を見直し

新設する地域支援体制加算では、重複投薬・相互作用防止加算のほか、かかりつけ薬剤師指導料や在宅薬剤管理の実績などを求めた。施設要件としては、一定時間以上の開局や医薬品の備蓄品目数、後発品の目標値に加え、薬物療法の安全性向上に資する事例の報告や副作用報告体制の整備を要件とする。これに伴って、基準調剤加算は廃止する。

服用後の患者の状況を把握することも求められる中で、分割調剤について追加するよう処方箋様式を見直すほか、あらかじめ医療機関と合意した方法で残薬調整について行う疑義紹介についても取り扱いを明確化することも盛り込んだ。

◎医薬品流通 未妥結減算見直しで単品単価契約率報告へ 後発品シェア低率で調剤基本料減算も

医療費の観点や流通面での適正使用でも、保険薬局の担う役割も大きくなる。薬価毎年改定が2021年度からスタートする中で、薬価調査を適切に実施する目的から、未妥結減算を見直す。これまでの妥結率50%未満に加え、「単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していない」保険薬局・医療機関は調剤基本料、初診料・再診料を引き下げる。

これに伴って、調剤基本料を簡素化し、原則5段階に見直す。▽処方箋回数と集中率などからなる大型門前薬局への減算(調剤基本料2)、▽同一グループ内の保険薬局、いわゆる大手調剤チェーンに対する減算(調剤基本料3)―があるが、調剤基本料3を処方箋回数で2段階に分類。これに、敷地内薬局などが対象となる、最も点数の低い「特別調剤基本料」の5段階となる。さらに、新たなルールとして、後発品の調剤数量が著しく低い薬局については、それぞれの点数からの減算を導入する。調剤基本料2については、処方箋回数2000回以上の保険薬局について、特定の医療機関からの処方箋の集中率を厳格化する方向で見直される。また、大型門前薬局では減算を免れるために、近隣に保険薬局を新たに設けるケースも少なくなかったが、こうしたケースも減算の対象となるよう見直される。現行制度では、かかりつけ薬剤師指導料の実績要件をクリアすることで、減算措置を免れることができたが、これも廃止する。調剤チェーン、大型門前にとっては大きな影響となりそうだ。

◎後発医薬品調剤体制加算は75%、80%、85%の3段階へ

後発品数量シェア80%目標が示される中で、後発医薬品調剤体制加算は現行では65%、75%の2段階だが、後発品80%目標を見据え、新たに最も高い点数を新設し、75%、80%、85%となる見通し。新設される地域支援体制加算や、調剤基本料の減算ルールにも後発医薬品の数量シェアが盛り込まれる。医療費適正化のひとつの指標である後発品使用促進は、地域の保険薬局がカギを握ることとなりそうだ。

 

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