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日本調剤 標準フォーミュラリをオープンソース化 地域版への展開で保険者・地域薬剤師会をサポート

公開日時 2019/06/25 03:52
日本調剤は6月24日、“標準フォーミュラリ”を作成し、全国の医療機関や保険者に提供する仕組みの事業化に着手する方針を明らかにした。標準フォーミュラリでは、PPIやARBなど生活習慣病治療薬を皮切りに薬効群ごとに、有効性・安全性・経済性を評価し、一般名で標準薬を明記するもの。外部委員で構成する第三者委員会で標準フォーミュラリを作成し、中立性を担保するのが特徴。作成後はオープンソース化(公開)し、保険者や地域薬剤師会が策定する地域フォーミュラリへのカスタマイズをサポートする。この日は、製薬企業向けの説明会を開催し、標準フォーミュラリ策定に向けた新薬ヒアリングを行うことを周知した。この日の会議には製薬企業54社、約85人が参加し、注目度の高さがうかがえた。

「標準フォーミュラリの策定や更新に当たり、製薬業界からの情報提供が不可欠だ」―。説明会の冒頭で挨拶した同社の三津原庸介専務取締役は、保険薬局として“国内初”となる新薬のヒアリングを行うことへの理解を求めた。標準フォーミュラリ作成に向けて日本調剤がまず進めるが、製薬企業から情報収集できる環境整備だ。

◎まずは3月26日以降の承認新薬およびバイオシミラーの情報提供求める


この日の説明会で、日本調剤は2019年3月26日以降に承認された新薬およびバイオシミラーについて情報提供を求めた。具体的には、①配布資料、②添付文書・インタビューフォーム、③製品情報概要、医薬品リスク管理計画書、適正使用ガイド、④患者(または医療従事者)向け説明資料、5剤型見本―のほか、同社の作成した新薬ヒアリング確定シートの提出を依頼する。確定シートに記載するのは、粉砕や簡易懸濁、保存の安定性・貯法、配合変化、フィルターの通過性、在宅自己注射の有無、代替薬の有無、納品制限などだ。

製品説明会の日程調整については、Dr.Joy/Pr.Joyシステムを活用する。説明会は製品説明20分、質疑応答10分間。いわゆる病院内の薬事審議会と同一の内容を求める考えだ。日本調剤は適応外薬を含めた医薬品を評価できる“高度DI”機能の発展も目指す。説明会後に本誌取材に応じた同社フォーミュラリ事業推進部の上田彩部長は「効率的に情報発信できる場所がある」と製薬企業側のメリットを強調した。

◎標準フォーミュラリ 中立性を担保する「第三者委員会」で作成

日本調剤が作成を目指す標準フォーミュラリは、すべての同種同効薬を薬学的知見に基づき、推奨順位を決める。ポイントは中立性を担保することだ。このため医師3人、薬剤師1人、看護師1人、保険者1人、他分野の専門家3人の外部委員から構成される第三者委員会で標準フォーミュラリを作成する。有効性・安全性に加え、薬価を中心に経済性を評価する。

上田部長は、「中立性を担保しないと事業が成り立たない」と強調する。現在一部医療機関で運用されている院内フォーミュラリは、あくまで採用薬を評価したもの。必ずしも他医療機関での処方実態や採用薬と合致しないケースもある。すべての同種同効薬の推奨順位を示した標準フォーミュラリを策定してこそ、「エリアごとにカスタマイズできる」(上田部長)との考えだ。

すでに日本調剤は協会けんぽ静岡支部から18年度に「協会レセプト分析による地域フォーミュラリ策定に向けたデータ作成業務」、19年度に「地域フォーミュラリ提案に向けたデータ作成と事例創出に向けた支援事業」を受託。地域基幹病院を中心としたフォーミュラリ導入に向けて取り組んでいる。さらに、こうした標準フォーミュラリを広くオープンソース化(公開)することで、全国的な普及を目指す。

◎エリア特性に応じた地域フォーミュラリへのカスタマイズを支援

現実は、ステークホルダーが多い“地域”に対し、フォーミュラリを一気呵成に拡大するには難しさもはらむ。そのため、まずはDPC病院や保険者を皮切りに、フォーミュラリを導入。次のステップとして地域薬剤師会や地域病院薬剤師会への声掛けを通じた連携を図り、当該地域・エリアの特性や各種データとのマッチングなどを行いながら地域フォーミュラリの策定をサポートすることも視野に入れる。深井克彦常務取締役は、「薬剤師会にとって継続的な維持・管理が重荷になっていくようであれば、私共がサポート、もしくは連携していく」とも述べた。

フォーミュラリをめぐっては、中医協の「2020年度診療報酬改定に向けた検討項目と進め方」に盛り込まれており、今後改定の焦点となると想定される。2018年11月に国内初の地域フォーミュラリとして、日本海ヘルスケアネット(山形県酒田市)の運用がスタートした。6月21日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2019にも、「生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方」について引き続き検討することが明記されている。超高齢社会に突入するなかで、地域で薬剤費をコントロールする必要性も高まっている。医療現場が地域医療構想を通じ、医療従事者自らが病床転換を選択するのと同様に、医療現場で医師・薬剤師ら多職種が集い、最適な薬物治療を地域に広めることによる薬物治療効率化への期待も高まっている。

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