日本新薬 デュシェンヌ型筋ジストロフィーに用いる核酸医薬ビルトラルセン 20年度に発売予定
公開日時 2019/11/07 03:51
日本新薬は11月6日、専門誌・紙を対象とした2020年3月期(19年度)第2四半期(4~9月)の決算会見で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象疾患とする核酸医薬品ビルトラルセン(一般名、開発コード:NS-065/NCNP-01)について、20年度に発売を予定していると説明した。19年9月に承認申請した。厚労省から15年に先駆け審査指定制度の対象品目として指定を受けたほか、今年、希少疾病用医薬品の指定と、条件付き早期承認制度の対象品目としての指定を受けた。
DMDは、筋肉細胞の骨組みを支えるジストロフィンタンパク質の遺伝子変異が原因で、正常なジストロフィンタンパク質が産生されないことにより筋力が低下する遺伝性筋疾患。DMD の進行を遅らせる治療法としては現在、ステロイド剤以外に確立されていない。
ビルトラルセンは同社と国立精神・神経医療研究センターが共同で見出した、モルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸と呼ばれる核酸医薬品。DMD 患者の筋肉中のジストロフィン遺伝子のエクソン 53 を迂回して、機能のあるジストロフィンタンパク質を産生することによって、疾患の進行抑制と病態改善を期待する薬剤。
同社はビルトラルセンを含む複数の開発品で、DMDの約40%の患者の治療に貢献することを目指している。ビルトラルセン以外の開発品は開示していない。
■自社創製の肺動脈性肺高血圧症用薬ウプトラビ 国内外で好調
同社の19年度第2四半期の連結業績は、売上573億円(前年同期比7.3%増)、営業利益110億円(45.7%増)と増収増益だった。医薬品事業は売上498億円(8.1%増)と好調で、特に自社創製の肺動脈性肺高血圧症治療薬ウプトラビ、骨髄異形成症候群治療薬ビダーザ、前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬ザルティアの2ケタ成長や、18年8月から中外製薬と共同販売を始めたCD20陽性濾胞性リンパ腫知慮薬ガザイバの売上貢献が、業績全体をけん引した。
ウプトラビは海外売上に伴うロイヤリティ収入も拡大。工業所有権等収益74億円(18.5%増)の「大半」(同社広報部)がウプトラビ関連の収益だとしている。
【連結業績(前年同期比) 19年度予想(前年同期比)】
売上高573億8700万円(7.3%増) 1160億円(1.1%増)
営業利益110億2500万円(45.7%増) 210億円(1.7%増)
親会社帰属純利益82億9100万円(37.3%増) 165億円(1.2%増)
【主要製品売上(前年同期実績) 19年度予想、億円】
ビダーザ 78(67)154
ザルティア 66(57)130
トラマール・ワントラム 36(36)71←修正前75
ウプトラビ 32(22)73
アドシルカ 28(26)54
シアリス 22(23)39←修正前37
ガザイバ 20(1)42←修正前35
ルナベル 11(26)19←修正前20
アズノールうがい液 9(9)20
エビプロスタット 9(11)17←修正前18
エリザス 6(7)27
工業所有権等収益 74(62)164←修正前168
注)1億円未満切捨て