処方変更・提案は現行制度下でタスク・シフト可に 厚労省・リストを提示
公開日時 2019/11/12 03:50
厚生労働省は11月8日、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」に「タスク・シフト/シェア可能」とされた業務内容について、現行制度上での実施が「可」「不可」「不明確」で整理した資料(リスト)を提示した。薬剤師のかかわる「事前に作成・合意されたプロトコールに基づく、含量規格や剤形等の処方内容の変更」や、「抗菌薬の治療コントロール処方の提案」などは、現行制度で「可」とされた。
リストは、医療関係団体からのヒアリングで医師から既存職種へタスク・シフト/シェア可能とプレゼンテーションされた項目を対象に、厚労省が上記3分類に整理したもの。看護師や薬剤師を移管先とする業務の大半が「可」(看護師は特定行為として「可」を含む)に分類された。一方、現行制度上で実施できない業務は、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士を移管先とする業務が多かった。
例えば、薬剤師がかかわる業務として「処方確認・処方変更・処方提案等」の分野では13のすべての業務が現行制度下で実施可能としている。▽事前に作成・合意されたプロトコールに基づく、含量規格や剤形等の処方内容の変更▽抗菌薬の治療コントロール処方の提案(医師の包括的指示と同意がある場合には医師の最終確認・再確認を必要とせず実施)▽術後痛評価・鎮痛薬調製提案・術前中止薬再開確認▽入院、外来における患者面談情報(服用中の薬剤情報、副作用や残薬の有無等)に基づく処方支援(処方の提案や仮オーダー入力)──など。
◎在宅医は訪問看護師の薬剤使用を要望 包括的指示がどこまで及ぶかが焦点
看護師にタスク・シフト/シェアする業務についても「特定行為として可」とされるものを含めれば、ほぼ実施可能とされた。ただ、「療養上の世話をタイムリーに行うための薬剤の処方(排便コントロール(下剤・浣腸剤・止痢剤・整腸剤など)スキンケア(軟膏・ドレッシング剤・目薬など)疼痛緩和(湿布・麻薬以外の鎮痛剤)など)」は、医師法第17条(医師でなければ、医業をなしてはならない)に触れるとして、現行制度下で実施できない業務に分類された。
これに対して、在宅医の永井康徳構成員(医療法人ゆうの森理事長たんぽぽクリニック)は、「在宅やプライマリケアの現場では、これらの業務がシフトすると大変助かる。ぜひ検討していただきたい」と要望。続けて齋藤訓子構成員は、「そもそも当協会が提案した際は処方という言葉は使っていない。医師の指示を待つのではなく、看護師の判断で薬剤を使用できるようにするということ」と述べ、現行制度下でも実施可能との考えを示した。例えば、医師の包括的指示のもと、訪問看護師が在宅や施設であらかじめ用意された薬剤を自身の判断で使用するなどをあげている。一方、日本医師会常任理事の釜萢敏構成員は、「医師と看護師の信頼関係が構築されている院内では問題ないが、包括的指示は在宅や施設まで広げた概念ではないと捉えている。これはしっかりとした議論が必要」と指摘し、慎重な構えをみせた。
厚労省は、現行制度下で実施可能な業務、および不明確な業務は、内容を整理したうえで通知等により明確化し、具体策を検討していく方針。現行制度で実施できない業務については、優先順位をつけたうえで政令や省令、法律の改正で対応する考え。