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中医協 20年度薬価制度改革骨子了承 次なる焦点は薬価毎年改定 業界は早くも牽制

公開日時 2019/12/23 04:51
中医協薬価専門部会・総会が12月20日開かれ、2020年度薬価制度改革の骨子を了承した。薬価制度改革が固まったことで、21年度から導入が予定される薬価毎年改定(中間年改定)に焦点は移る。日本製薬団体連合会(日薬連)の手代木功会長が同日付で発表した声明では、「薬価改定は 2 年に1回の頻度で実施されることが基本」とし、「通常改定とはその位置づけが異なると認識している」と牽制した。通常改定の狭間の中間年改定は、「価格乖離の大きな品目」に限定するよう、製薬業界は求めている。ただ、議論が本格化する20年を前にして、実質的に薬価毎年改定となることを懸念する声がすでに製薬業界からはあがっている。

薬価制度改革骨子(本誌既報)では、新薬創出等加算の品目要件に先駆け審査指定制度品目が拡充され、企業要件も見直されるなど、製薬業界の要望が一部反映されたものとなった。また、類似薬効比較方式Ⅰで算定される新薬で新薬創出等加算の要件を満たさない場合は、収載後3回目の改定で加算分を控除する。ただ、製薬業界が当初要望していた企業要件の撤廃には至らず、限定的なものとなった。長期収載品の引下げ前倒しや、再算定の拡大なども盛り込まれ、薬価制度改革の手綱は緩むことなく進められることになる。一方、後発品をめぐっては初収載の薬価は0.5掛けを維持したほか、製薬業界の意見を反映し、価格帯の集約により改定前より薬価が引きあがることを抑制するため、低価格帯でも価格帯の集約で改定後薬価が引き上がる品目は別途加重平均することが盛り込まれた。

日本製薬団体連合(日薬連)、日本製薬工業協会(製薬協)、日本ジェネリック製薬業界(GE薬協)はそれぞれ、会長名で声明を発表した。内容は以下の通り。

◎日薬連 類似薬効Ⅰでの加算控除「我々の主張も受け入れられた」 

日本製薬団体連合会 手代木功会長(塩野義製薬代表取締役社長)

新薬創出等加算は、革新的新薬を継続的に創出するために不可欠な制度だ。2018年度薬価制度抜本改革から一定の改善が図られたものと認識しているが、今回の見直しの影響等を踏まえ、イノベーションが適切に評価されるよう引き続き改善に向け検討していただきたい。類似薬効比較方式Ⅰの加算控除については、現状からの後退とはなったが、我々の主張も受け入れていただいた点は評価している。

再算定については、市場拡大再算定の特例や四半期再算定など改定の度に新たな算定ルールが導入されている。ルールの導入は、薬価の予見性を著しく低下させるとともに、効能追加の開発意欲を低下させることにつながるのではと強く懸念している。

長期収載品の G1/G2 ルールの適用においては、前回改定と同様に円滑実施措置を行うことについて、個別品目や企業への影響緩和という観点から評価する。

◎製薬協 新薬創出等加算の影響「引き続き注視」 22年度改革に向け医薬品の多面的価値訴え

日本製薬工業協会 中山讓治会長(第一三共代表取締役会長)

新薬創出等加算は、企業要件・品目要件ともに改善方向への見直しとなったものの、その内容は限定的なものとなった。制度の見直しが、各企業における研究開発投資の促進に資するものかどうか、引き続き注視していく必要がある。

治療上の負担軽減・リスク低減による治療の質向上に資する医療的価値は、有用性加算「ハ.治療方法の改善」に相当する事例として、加算で評価されることが明確化され、我々の要望が一定程度認められたと認識している。比較薬の選定については、制度の見直しには至らなかったが、臨床的位置づけ等の医療実態が類似している事例を集積した上で検討することとなった。薬価算定の透明性・納得性を高める観点から、業界としても事例集積には積極的に取り組む。

再算定の強化については、企業におけるビジネス全体の予見性を著しく低下させるとともに、効能追加への開発意欲低下につながることが懸念される。革新性・有用性の高い効能追加を促進していく観点からも、薬価収載後のイノベーション評価の充実については、更なる改善が必要だ。

2022年度薬価制度改革に向けて、医薬品の多様な価値を適切に反映させるための「新薬の加算体系の再編」とともに、国民の薬価に対する納得性を高めるための「国民に分かり易い評価システムの確立」についても、検討を進める。

◎GE薬協 GE80%時代で安定供給の責務果たす 企業間競争で産業構造転換を実現

日本ジェネリック協会 澤井光郎会長(沢井製薬社長)

今回の骨子は私どもの要望も反映された内容で、ジェネリック医薬品産業に対し深いご理解をいただいたことに感謝を申し上げる。

私どもの産業は後発品80%目標達成後も引き続き多くの製品の長期にわたる安定供給を担う責務を有している。新たな薬価制度のもとでこの責務を果たすことで、国民の皆様の負託に応えていく。より適切な企業間競争により結果的に産業構造の転換につながるものと考えている。医療の質を下げずに医療資源の有効活用に寄与するジェネリック医薬品の供給、さらに次世代に向けた取組を通し、国民の医療を守る社会保障制度の持続性に貢献することを謳った次世代産業ビジョンの実現を目指す。

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