米FDA GIST治療薬Ayvakitを承認
公開日時 2020/01/22 04:50
米食品医薬品局(FDA)は1月9日、米Blueprint Medicines Corporation社のキナーゼ阻害剤Ayvakit(avapritinib)について切除不能もしくは転移消化管間質腫瘍(GIST)の適応で承認した。適応は、血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)エキソン18変異を持つGISTで、エキソン18変異において最もよく見られるPDGFRA D842V変異を持つGISTを含む。同剤は、キナーゼ阻害剤。
副作用は、腫脹、悪心、疲労感、食欲不振、下痢、腹痛、便秘、眩暈など。このほか、頭蓋内出血、認知障害、睡眠障害、言語障害、幻覚などが発現する可能性がある。さらに、妊婦に対しては、胎児・新生児に障害をもたらす恐れがあり、医療者に患者にその旨伝えるよう呼びかけている。FDAは、同剤に対して、画期的新薬(BT)、迅速審査および希少疾病薬の指定を行った。
同剤を開発したBlueprint社のJeff Albers CEOは、「フェーズI試験NAVIGATORの確固たるデータに基づきフルに承認されたことは、我が社にとって信じられないほどエキサイティングなマイルストーン。さらに重要なことは、新たな治療選択肢を待っていたPDGFRAエキソン18変異を持つGIST患者にとってもエキサイティングなマイルストーンだということだ」とコメントした。同社は、希少疾患、がん免疫療法などの分野におけるキナーゼ阻害剤の開発に特化したバイオベンチャー企業。
NAVIGATOR試験の責任医師であるMichael Heinrichオレゴン健康科学大学医学部教授は、「GISTの分子基盤の理解が深まりつつあることをベースに、このマイルストーンは、GISTにおけるプレシジョンメディシンの新時代を切り開いた」と述べた。そのうえで、「FDAの承認は、臨床ガイドラインで推奨しているように、GISTの患者全員にキナーゼ阻害剤の治療を開始する前に遺伝子変異の検査を行うことを求めている。それによって、患者はこの有望な新薬によるベネフィットを実現化できる」とプレシジョンメディシンのメリットを訴えた。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究拠点センター長兼腫瘍疾患部長代理は、「PDGFRAエキソン18変異を持つGISTは同疾患に対する標準治療が奏功しない。しかし、本日承認した薬剤は、特にエキソン18変異を持つGISTのために承認された初の薬剤である」と述べたうえで、「臨床試験では、この標的治療薬によってほぼ85%の患者が腫瘍の縮小を経験する高い奏効率を示した」と同剤のメリットに言及した。