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小野薬品・相良社長 新型コロナでの訪問自粛 長引くと「新製品の市場浸透に遅れ」

公開日時 2020/05/13 04:51
小野薬品の相良暁社長は5月12日に大阪本社で開いた2020年3月期(19年度)の決算説明会で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるMRの医療機関への訪問自粛が長引いた場合、「新製品のプロモーションができず、市場浸透が遅れることもある」との認識を示した。同社は20年度に4つの新製品の上市などを計画している。新型コロナ収束後のMR活動のあり方については、デジタルを軸とするのか、対面訪問を軸とするのかなど今後のスタイルを評価中だとし、「結論的なところまでは、まだ早いと思っている」と述べた。

同社は、現時点で5月末までMRによる訪問活動を自粛する方針。相良社長は訪問自粛の影響について、「今のところ、目に見える影響は出ていない」としたが、自粛期間が長期化すると新製品の浸透などに影響が出るとの考えを示した。市川弘・営業本部長は、「新製品もある。デジタルを利用した安全性を含めた情報提供活動を滞らせずに進めていく」と説明した。

■デジタルとリアル両面に利点 「しっかり評価し、最適な体制つくる」

今後のMR活動について相良社長は、「『デジタルでなかなかいけるじゃないか』ということを我々を含めて経験しており、構造的な改革につながっていく可能性はある」と話したものの、「ひざを突き合わせて実際にやり取りするのも大事という話が出てくることもある」と述べ、デジタルとリアルの両面に良さがあると指摘した。その上で、「我々としてはしっかり評価し、最適な体制をつくっていきたい。どのような方向にするか、よく見て、よく評価しないといけない」と語った。

■20年度上市計画 抗パーキンソン病薬オピカポン、がん悪液質用薬アナモレリンなど

20年度に上市予定の新製品は、▽中枢神経系原発リンパ腫治療薬ベレキシブル(一般名:チラブルチニブ)▽抗パーキンソン病薬オピカポン▽がん悪液質用薬エドルミズ錠(一般名:アナモレリン)▽変形性関節症治療薬ONO-5704(開発コード)――の4つ。このうちベレキシブルとオピカポンは20年度上期に、ほか2製品は下期に上市する計画だ。20年度に4製品合計で50億円の売上を見込む。本格的な業績への寄与は21年度からとなる。

20年度に効能追加の承認取得を計画しているプロジェクトも複数ある。例えば、がん免疫療法薬オプジーボと同ヤーボイとの併用で▽非小細胞肺がんの1次治療▽MSI-Highを有する結腸・直腸がん――を追加することや、BRAF阻害薬ビラフトビとMEK阻害薬メクトビとの併用での結腸・直腸がんの効能追加の取得を計画。また、小野が販売し、アストラゼネカが製造販売元で、両社で情報活動しているSGLT2阻害薬フォシーガの慢性心不全の適応追加の取得も期待しているという。

■19年度連結業績 売上、利益とも過去最高

19年度の連結業績は売上2924億円(前年度比1.3%増)、営業利益796億円(同22.3%増)――と増収、各利益段階で増益となった。売上、利益とも過去最高を更新した。

製品売上は2056億円(1.6%減)の減収となったが、オプジーボやキイトルーダなどに係る「ロイヤリティ・その他」の収入が868億円(8.9%増)と伸びたことで、連結業績全体を押し上げた。ブリストル・マイヤーズからのオプジーボのロイヤリティ収入は616億円(前年度585億円)、メルクからのキイトルーダのロイヤルティ収入は193億円(同128億円)だった。

製品ごとに売上をみると、抗リウマチ薬オレンシアは198億円(13.8%増)、糖尿病薬フォシーガは181億円(24.7%増)などと伸びる一方で、最主力品のオプジーボは競争激化などにより873億円(3.6%減)、長期収載品も2ケタ減収となるなどした影響が大きかった。

■オプジーボ 消化器がんで巻き返しへ

相良社長は抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体で構成される免疫チェックポイント阻害薬の国内市場のシェアについて、5割をキイトルーダが占め、残り5割のうち7割をオプジーボ、3割をテセントリクが占める状況だと説明した。そして、「キイトルーダとオプジーボは勝負あったとみられているが、我々はそうは思っていない。挽回したい」と強調し、日本や韓国など東アジアに多い消化器がんの領域で巻き返す考えを改めて示した。

オプジーボは日本で今年2月に、免疫チェックポイント阻害薬として初の食道がんの適応を追加したほか、前述の通り20年度に複数の効能追加も見込む。オプジーボは20年度に売上900億円(3.1%増)を目指す。

■慢性膵炎等治療薬フオイパン 新型コロナに対する有用性の臨床試験を検討

慢性膵炎などの治療に用いる経口蛋白分解酵素阻害薬フオイパン(一般名:カモスタットメシル酸塩)が新型コロナの治療薬候補となっていることについては、「基礎の論文だけであり、ヒトに効くのかどうかとの問題がある」と指摘した。同剤の製造販売元であり、世界中で新型コロナに対する取り組みを進めていることから、「効く、効かないの判断を、我々は持っていた方が望ましい」として、臨床試験を検討中と説明した。薬価は1錠21.50円で、後発品も参入していることから、「全く採算ベースにはのらないと思うが、我々の責任として(有用性の情報を)もっておくべきこと」と話した。

【19年度連結業績 (前年同期比) 20年度予想(前年同期比)】
売上高2924億2000円(1.3%増) 3030億円(3.6%増)
営業利益774億9100万円(25.0%増) 800億円(3.2%増)
親会社帰属純利益597億400万円(15.8%増) 610億円(2.2%増)

【19年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 20年度予想、億円】
オプジーボ 873(906)900
グラクティブ 261(269)250
オレンシア 198(174)215
フォシーガ 181(145)225
イメンド/プロイメンド 107(106)70
リバスタッチパッチ 85(89)85
オパルモン 83(104)50
パーサヒブ 71(57)75
カイプロリス 60(49)65
リカルボン 60(73)20
オノアクト 49(46)60
オノンカプセル 35(44)30
ステーブラ 31(37)-
オノンドライシロップ 22(27)-
20年度新発売見込品 -(-)50
*いずれも仕切価格(出荷価格)ベースでの売上収益

ロイヤルティ・その他 868(797)
*BMSからオプジーボに係るロイヤルティ収入が18年度585億円、19年度616億円――、メルクからキイトルーダに係るロイヤルティ収入が同128億円、193億円――がそれぞれ含まれる。
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