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【速報】中医協総会 ゾルゲンスマ点滴静注の薬価1億6707万7222円を了承 予定販売額は42億円

公開日時 2020/05/13 11:35
中医協総会は5月13日、再生医療等製品のゾルゲンスマ点滴静注(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク、ノバルティスファーマ)について、1患者当たり1億6707万7222円で薬価収載することを了承した。脊髄性筋萎縮症(SMA)を効能・効果としており、ピーク時の予想投与患者数は25人、予想販売額は42億円。国内で最高の薬価となる。薬価収載は5月20日の予定。

同剤は、SMAの原因遺伝子であるヒトSMN遺伝子を搭載した非増殖性組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を成分とする再生医療等製品。従来治療では長期間にわたり、治療薬の投与を継続することが求められていた。同剤は1度の投与で根治に至る可能性があり、これまで治療法のなかった患者とって新たな選択肢を提供する臨床的な意義が指摘されていた。一方で、米国では2億3000万円の薬価となるなど、一度に高額な薬価となることについて注目が集まっていた。

◎類似薬効比較方式(Ⅰ)で算出 

同剤は、SMA治療薬のスピンラザ(一般名:ヌシネルセン、バイオジェン・ジャパン)を比較薬に類似薬効比較方式(Ⅰ)で算出された。海外の臨床第1相試験で投与を受けた患者を追跡調査した観察試験を基に、「投与から、当該観察のデータカットオフまでの日数又はヌシネルセンナトリウムの初回投与日までの日数のうち、短い方の日数の平均を用いて比較薬の薬剤費を算出し、本剤の薬価を算定した」としている。ノバルティスファーマは不服申し立てで、「ヌシネルセンを投与した患者のみを考慮した薬剤費ではなく、 ヌシネルセンの投与が不要であった患者も考慮した薬剤費と比較すべき」と主張したことを踏まえたもの。

◎有用性加算Ⅰを40%から50%に引き上げて決着

不服申し立てを受け、「原理的には根治の可能性もある新規作用機序であり、臨床上特に有用であると評価する。さらに、ヌシネルセンは導入時に頻回の負荷投与を行い、さらに4ヵ月に1回繰り返し髄腔内注射を行う必要がある一方、本品は1回の静脈内注射で投与が完結して患者負担が軽減される」として、有用性加算Ⅰも40%から50%に引き上げることで決着した。

◎費用対効果評価に議論が集中

同剤は、費用対効果評価でH3(著しく単価が高い品目など、中医協総会において必要と判断された品目)に該当している。この日の中医協では、費用対効果評価に意見が集中した。また、費用対効果評価は医療費削減効果が明確になれば価格が引きあがることも盛り込まれている。診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は上市後に薬価が引きあがる可能性があることや、比較薬であるスピンラザが費用対効果評価の対象品目ではないことを指摘。「どう評価されるのか、費用対効果評価の真価が問われる。企業には検討に資する客観的なデータを提出するよう、厚労省も働きかける必要がある」と述べた。

支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は原価計算方式で算定すれば、「2億3000~7000万円」となったのではないかと指摘。肝機能障害などが患者リスクとなる可能性を指摘した。

薬価算定組織は、治験にかかわった医師から、これまで首が座らなかったり、歩けなかったりした患者にも治療効果が見られていることを説明。「追加で投与が必要だった患者も治療が不要になるだろうというプレゼンをいただいた。継続的な治療が必要なくなれば真の費用対効果評価が受けられる」との見解も示した。肝障害についても国内では報告件数が少なく、「効果が副作用を上回っているということで判断した」と同剤の有用性を強調した。

また、先駆け審査指定制度加算を10%取得したことに対しても、診療・支払各側が疑問を投げかけた。同加算は世界に先駆けて日本で早期開発・申請される品目となっているが、米国で世界初の承認となっていることや、国内で臨床試験を実施していないこと、臨床試験データに改ざんがあった。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「欠格事由があるにもかかわらず先駆け審査指定制度が取り消されなかったことはおかしいのではないか。加算の対象としないことが適切ではないか」と指摘。支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も、「賛成できない。審査期間が1年4か月もかかったのは患者家族にとっては命にかかわること。企業の不手際で遅くなったにもかかわらず、10%も加算されるのは理解できない。一企業に対して再発防止を伝えるのではなく、こういうことがあったら加算はしないということを先に伝えておく必要がある」と指摘した。

ゾルゲンスマ点滴静注(オナセムノゲン アベパルボベク、ノバルティスファーマ)
効能・効果:脊髄性筋萎縮症(臨床所見は発現していないが、遺伝子検査により脊髄性筋萎縮症の発症が予測されるものも含む) ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る
薬価:1患者当たり1億6707万7222円
市場予測(ピーク時2年度):投与患者数25人、販売金額42億円
ヌシネルセンナトリウム(バイオジェン・ジャパン)を比較薬に類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定。
加算:有用性加算(Ⅰ)(A=50%)、先駆け審査指定加算(A=10%)、新薬創出等加算
有用性加算(Ⅰ)(A=50%):理由「本品は正常な遺伝子を細胞に直接的に導入するという原理的には根治の可能性もある新規作用機序であり、臨床上特に有用であると評価する。さらに、ヌシネルセンは導入時に頻回の負荷投与を行い、さらに4ヵ月に1回繰り返し髄腔内注射を行う必要がある一方、本品は1回の静脈内注射で投与が完結して患者負担が軽減されること等から、加算率を引き上げることが妥当と判断した」
先駆け審査指定加算(A=10%):理由「本品は先駆け審査指定制度の対象品目に指定されているが、日本における承認の基礎となった主たる臨床試験を本邦で実施していないこと等から限定的な評価とした」
新薬創出等加算:主な理由「希少疾病用再生医療等製品として指定」
費用対効果評価(H3)
脊髄性筋萎縮症(SMA)の原因遺伝子であるヒトSMN遺伝子を搭載した非増殖性組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を成分とする再生医療等製品。患者の運動ニューロンや筋細胞に感染し、本品に搭載された遺伝子発現構成体が細胞の核内にエピソームとして留まり、ヒトSMN遺伝子は長期間安定して発現する。SMAの原因であるSMN1遺伝子の機能欠損を補い、発現したSMNタンパク質によって筋細胞の死滅を防ぎ、神経や筋肉の機能を高めることで、SMA患者の生命予後の改善が期待される。
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