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薬食審・第二部会 新薬6製品の承認了承、3成分配合喘息薬など 初のヒュミラBS登場へ

公開日時 2020/05/29 04:51
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は5月28日、Web会議で新薬6製品の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。この中には、ICS/LAMA/LABAの3成分を配合した気管支喘息薬エナジア吸入用カプセルがある。ICS/LAMA/LABA配合薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の適応で承認されている薬剤はあるが、エナジアが正式に承認されれば、喘息適応の3成分配合薬は同剤が初となる。順調にいけば6月に正式承認される。

また、この日の部会では、報告品目のひとつに自己免疫疾患用薬ヒュミラのバイオシミラー(BS)があった。報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもので、事実上、初のヒュミラBSが登場することになる。順調にいけば6月に承認され、同BSは11月頃に薬価収載されるとみられる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

イルミア皮下注100mgシリンジ(チルドラキズマブ(遺伝子組換え)、サンファーマ):「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤。同剤が結合するIL-23(インターロイキン-23)は自己免疫性炎症疾患に関与する17型ヘルパーT細胞の維持及び活性化に関与するサイトカイン。同剤がIL-23に結合することでIL-23とIL-23受容体との結合を阻害し、炎症性サイトカイン及びケモカインの遊離を抑制する。同種同効薬にはヤンセンファーマが製造販売元のトレムフィア皮下注などがある。海外では18年3月に米国で、同年9月に欧州とオーストラリアで承認済。

フルティフォーム50エアゾール56吸入用、同50エアゾール120吸入用(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物、杏林製薬):「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作用型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。

吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の吸入配合薬(ICS/LABA配合薬)。海外では小児に対する適応で、19年5月現在、欧州を含む14の国・地域で承認済。

アテキュラ吸入用カプセル低用量、同カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ):「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品および新医療用配合剤。再審査期間は8年。

長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)で、同剤はICS/LABA配合薬。3規格ともインダカテロールは150μgを含有する。そして同カプセル低用量は、モメタゾンとして80μg、同カプセル中用量は同160μg、同カプセル高用量は同320μg――が含有されている。通常、成人は同カプセル低用量を使用するが、症状に応じて中用量、高用量を使う。3規格とも1日1回、専用の吸入用器具を用いて吸入する。

海外で承認されている国・地域はない。

エナジア吸入用カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ):「気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤及び長時間作用性吸入抗コリン剤との併用が必要な場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品および新医療用配合剤。再審査期間は8年。

長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。既承認成分のグリコピロニウムは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)。同剤はICS/LAMA/LABAによる3成分配合吸入薬。1日1回、専用の吸入用器具を用いて吸入する。2規格ともインダカテロール150μg、グリコピロニウム50μgを含有する。そして、同カプセル中用量はモメタゾン80μg、同カプセル高用量はモメタゾン160μgを含有する。

COPD適応のICS/LAMA/LABA配合吸入薬はビレーズトリエアロスフィアとテリルジーがあるが、気管支喘息適応ではエナジアが初となる。

エナジアは、海外で承認されている国・地域はない。

サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

CD38 受容体の特異的なエピトープを標的とするモノクローナル抗体製剤。多発性骨髄腫(MM)細胞の細胞膜上に発現するCD38に結合し、MM細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)活性ならびにアポトーシスを誘導することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。ポマリドミド、デキサメタゾンと併用して使う。なお、CD38を標的とする抗体製剤にはダラザレックスがある。

海外では20年3月現在、再発又は難治性のMMの効能・効果で米国のみで承認されている。

タブレクタ錠150mg、同錠200mg(カプマチニブ塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ):「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

経口MET阻害薬。MET(間葉上皮転換因子)のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することで、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんに対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんの国内患者数は約5000人と推測されている。同種同効薬にはテプミトコ錠がある。

海外では20年2月末時点で、承認された国・地域はない。

■ヒュミラBS 協和キリン富士フイルムバイオロジクスが1番手

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ボシュリフ錠100mg(ボスチニブ水和物、ファイザー):「慢性骨髄性白血病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(24年9月25日)。

現在は、「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」を効能・効果としているが、このうち「前治療薬に抵抗性又は不耐容の」を削除し、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病にも使えるようにする。海外では20年2月時点で、初発の慢性骨髄性白血病に関する効能・効果で、欧米を含む40か国以上で承認済。

アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.4mL「FKB」、同皮下注40mgシリンジ0.8mL「FKB」、同BS皮下注40mgペン0.8mL「FKB」(アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続1]、協和キリン富士フイルムバイオロジクス):「関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、既存治療で効果不十分な▽多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎▽尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬▽強直性脊椎炎▽腸管型ベーチェット病――、中等症又は重症の活動期にあるクローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。

先発品ヒュミラの初のバイオ後続品(BS)となる。同BSは、先発品が持つ潰瘍性大腸炎や化膿性汗腺炎などの一部の効能は含まれない。海外ではEUで承認済。
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