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ノボ ベック社長 オゼンピック上市で「適正使用に注力」 リベルサスも同日承認で成長に意欲

公開日時 2020/06/30 04:51
ノボ ノルディスク ファーマのオーレ ムルスコウ ベック代表取締役社長は6月29日の年次社長記者会見で、大型化が期待される経口GLP-1アナログ製剤・リベルサス錠(セマグルチド)が承認されたことを明らかにした。同日は、GLP-1アナログ製剤のオゼンピック皮下注(一般名:セマグルチド)も発売した。新型コロナウイルス感染症が完全に収束していない段階での発売について、「新しい製品を出すのに最適なタイミングとは言えないが、患者さんのために早く上市していきたい」と意欲を語った。MRが医療機関を訪問することが難しいなかで、専門医によるウエブ講演会などを通じ、「医師が適正使用を学べる環境を提供する必要がある」と述べ、デジタルも活用してまずは適正使用に関する情報提供に注力する姿勢を強調した。

◎19年国内業績 前年比1.4%増885億円

同社の2019年の国内業績は、前年比1.4%増の885億円だった。成長ホルモン市場などが伸長したものの、屋台骨の糖尿病領域が1%減となった。国内の糖尿病市場では19年にSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が伸び、5%成長したことを照らし、「満足のいく結果ではなかった」とベック社長は述べた。

背景には、国内のインスリン市場の縮小がある。バイオシミラーの登場など市場競争が厳しいなかで、インスリン市場は金額ベースで、過去2年間で14.0%縮小した。持効型インスリン市場ではトレシーバが44.6%、ライゾデグは混合型インスリン市場で46.5%といずれも市場シェアを拡大したが、薬価制度改革の影響もあり、金額ベースでは持効型で1.6%減、混合型で7.7%減となった。一方で、19年9月にゾルトファイ、20年2月にフィアスプを上市するなど、ポートフォリオの拡充も図ってきた。

◎経口薬登場で「受け入れが高まる」ことに期待感

さらに同日、発売したオゼンピック皮下注に加え、GLP-1アナグ製剤であるリベルサス錠など、ポートフォリオの拡充による成長に自信をみせた。特に、注射剤を嫌う傾向のある日本市場に経口薬を投入するメリットを強調した。国内では、糖尿病の治療目標を達成している患者は4割にとどまっていることを示し、この背景にインスリンやGLP-1受容体作動薬などの注射薬を嫌う傾向があることを指摘した。そのうえで、リベルサス錠の登場で、「受け入れが高まる」ことに期待感を示した。

国内の糖尿病市場のシェアは経口薬が8割程度を占めるなか、インスリンをはじめとした注射剤に強みを持つ同社の糖尿病市場でのシェアは10%程度であるとベック社長は説明する。「注射剤では競争力を発揮できているが、経口剤ではそうではない」とも述べた。そのうえで、現在のシェアから「さらに伸ばすことができる製品群が待ち受けている。ベネフィットをより感じていただけるのではないか」と述べた。競合社が多いとしたうえで、「将来的には50%くらいにまで引き上げたい。難しさもあるが、ここ数年で15、20%までは数年でできるのではないか」と意欲をみせた。

◎新型コロナの影響「通年のインパクトがあるのではないか」

このほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響については、インスリンの供給不安もあり、「この2、3か月増加した」と述べた。週末も工場を稼働させるなどして対応してきたことを説明した。新型コロナの影響で患者の受診抑制があったことも指摘されるが、「もちろんビジネスに対する影響はある。医師と話していても平均的な来院回数は、60%減少している」と指摘した。一方で医療機関の現状として、患者は戻りつつあるが、患者の受診抑制の結果、「新規に診断される患者数は影響を受けるのではないか」と述べた。すでに5月、6月は患者数が減少しているとして、「何らかの形で通年のインパクトがあるのではないか」と見通した。


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