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薬剤師の服薬期間のフォローアップで処方変更など「成果」は95% 治療効果最大化や医療費抑制に貢献 NPhA調査

公開日時 2020/09/11 04:52
薬剤師が服薬期間中にフォローアップした症例の95%が、処方変更や経過観察などの成果につながった―。日本保険薬局協会(NPhA)は9月10日、服用期間中フォローアップによる医療貢献を検証した調査結果を公表した。「服薬状況、体調、副作用において、フォローアップ後に改善がみられた」との回答も8割にのぼった。2か月間の調査により、調剤後にフォローアップをした事例として、会内20社、282薬局から525事例が寄せられた。NPhAは、地域におけるチーム医療のなかで、薬剤師が慢性疾患患者に対して継続的な薬学的管理を担うことで、処方の適正化につながり、「治療効果の最大化や医療費抑制」に貢献できるとしている。改正薬機法が施行され、服薬中のフォローアップが義務化されるなかで、事例の共有を通じ、薬局薬剤師の基本的な業務として浸透させる姿勢も強調した。

◎2か月間で282薬局から525事例 薬剤中止の提案で症状改善も


「SSRI系抗うつ薬を増量した患者を、電話でフォローアップをしたところ、『微熱、動機、不安感がある』と聴取し、医師に電話連絡を行い、薬剤を中止したところ、症状は改善した(34歳女性)」、「認知症治療薬、抗アレルギー剤、漢方薬、下剤2種類を服用している患者は、傾眠傾向で食事摂取が十分とれていなかった。介護職員と協議し、年齢を踏まえて認知症治療薬、抗アレルギー剤、漢方薬の中止を処方医へ提案し、処方削除となった。その後、傾眠傾向が改善し、食事量も増加、以前よりコミュニケーションも図れるようになった(97歳女性)―。調査では、薬剤師が職能を発揮し、患者の治療アウトカム改善につながった事例が報告されている。

9月1日に改正医薬品医療機器等法(薬機法)が施行され、薬剤師は必要に応じて、調剤時だけでなく、その後の服薬状況の把握や服薬指導などフォローアップすることが義務化された。処方医などへの情報提供も努力義務として盛り込まれている。調査はこうした状況を受け、フォローアップの内容と、それによる医療連携や成果についてウエブ方式で報告を求めた。報告期間は2020年7月14日から8月31日までで、20社、282薬局から525事例が寄せられた。

◎減薬など処方内容の変更は5割に 疼痛治療薬は副作用発現が処方変更のきっかけに

処方医への情報提供等や連携につながった事例は384件(73%)あった。「疑義照会を行った」が110件(21%)、「トレーシングレポートにより情報提供を行った」が221件(42%)、「処方提案を行った」が70件(13%)だった。「訪問診療への同行、訪問看護師・介護士、ケアマネとの情報交換、介護施設、地域支援センター等への情報提供等」も99件(19%)あった。

フォローアップ後に、処方変更や経過改善などの成果につながった事例は、497件(95%)と大半を占めた。「処方内容の変更がみられた」のは、268件(51%)あった。このうち、「副作用の発現等により、中止や減量」が126件あった。処方変更が多い薬剤としては、神経障害性疼痛治療薬や慢性疼痛治療薬、降圧薬、鎮痛薬や便秘薬をあげた。疼痛治療薬は副作用の発現が多く、それがきっかけとなっているケースが多いと説明。降圧薬は、日々の血圧値を確認して治療薬を変更するケースがあるという。こうした、薬剤の中止や減薬、残薬調整による医療費削減効果は、「1ヵ月処方換算で109万円」として、医療費削減にも貢献できると強調した。

このほか、「副作用の発見、確認」(174件)、「服薬状況の確認」(152件)、「服薬に関する再指導」(31件)などの声も寄せられた。「患者や、医療機関より多くのお礼の言葉をいただいた」との回答も125件。フォローアップをきっかけに、かかりつけ薬剤師の新規契約に至ったケースも19件あった。

「服薬状況、体調、副作用において、フォローアップ後に改善がみられた」との回答も434件(83%)あった。具体的には、「服薬状況」が276件(53%)、「体調」が333件(63%)、「副作用の経過」が226件(43%)だった。

NPhAの首藤正一会長(アインホールディングス)は、「コロナ禍のなかでこれだけの成果が得られるということは、今後調査を行えばもっと良い数字が出るのではないか」と自信をみせた。

◎日医主張に「コロナ禍のなかで違和感」 首藤会長

日本医師会の中川俊男会長が新型コロナウイルス感染症の影響で「医科は多くの医療機関が大幅な減収だ。調剤医療費は構造的に打撃が少ない構造になっている」と述べた(関連記事)ことについての質問にも答えた。

首藤会長は、コロナ禍のなかで薬局機能を果たすために努力しているとして、「我々としては違和感を覚えている」との見解を表明。地域差や、処方箋を主に応需する診療科などで影響に差があることを指摘。「これらをトータルして、チェーン薬局のなかで努力をして出してきた決算結果。決して、状況が良かったことにはならない。コロナ禍の中で医療提供施設として、薬局も医薬品を切れることなく提供していかないといけないという機能を果たし、休まずに営業している。現場の努力も評価していただきたい」と述べた。実際、会員薬局のなかに新型コロナウイルス感染症の患者が出ていることにも触れ、「個別の数字をとって批判をするつもりはないが、我々の活動も暖かく見守っていただきたい」と話した。
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