アトピー性皮膚炎治療薬市場 26年に1000億円突破へ 年平均成長率は15%程度
公開日時 2021/03/18 04:51
新薬上市が相次ぐアトピー性皮膚炎治療薬の市場規模が2026年に1000億円を突破する見込みだ。富士経済の市場予測によると、19年の市場規模は394億円だったが、26年に1031億円になると分析した。予測の最終年の28年までの10年間に年平均成長率15%程度で推移し、28年には1300億円を超えるとした。新製品が少なく薬価改定の影響もあって市場縮小が続いていたが、18年にヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセント皮下注(サノフィ)が発売されて市場拡大に転じた。20年にはアトピーに対する外用や経口のJAK阻害薬が登場し、治療選択肢が広がっている。
この市場予測は、富士経済の専門調査員が参入企業や関連企業・団体などへのヒアリングのほか、関連文献調査、社内データベースを併用してまとめたもの。調査期間は20年7月~10月。
富士経済によると、アトピー治療薬の市場規模は、20年490億円(前年比24%増)、21年544億円(同11%増)、22年624億円、(同15%増)、23年672億円(同8%増)、24年782億円(同16%増)、25年886億円(同13%増)、26年1031億円(同16%増)、27年1246億円(同21%増)、28年1376億円(同10%増)――と推移する。
富士経済は、「新製品の発売に伴い、参入企業が積極的に啓発活動を進めるとみられ、治療患者数の増加が予想される」と分析。さらに、「新製品の登場で治療方針が大きく変化することから、以前よりも高い薬価の製品が使用され、1人当たりの治療費の上昇が想定される」、「経口JAK阻害薬では複数の製薬企業によるフェーズ3の開発品があり、製品化による市場拡大が期待される」とし、右肩上がりの成長が続くと予測した。
アトピーに対する新薬はデュピクセントのほか、20年6月に外用JAK阻害薬コレクチム軟膏(鳥居薬品)が登場し、同年12月には経口JAK阻害薬オルミエント錠(日本イーライリリー)が「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の適応を追加した。また、富士経済の調査時点でフェーズ3だったとみられる経口JAK阻害薬のリンヴォック錠(アッヴィ)は20年10月にアトピーの適応追加を申請し、同年12月にはファイザーが経口JAK阻害薬アブロシチニブ(一般名)を承認申請した。
デュピクセントやオルミエントはステロイド製剤やコレクチムで効果不十分な場合の治療選択肢で、難治例での処方獲得が進んでいる。