新型コロナへのイベルメクチン投与でEMA 現時点では推奨を裏付けられない
公開日時 2021/03/26 04:49
欧州医薬品庁(EMA)は3月22日、抗線虫薬・イベルメクチンについて現時点でのエビデンスでは新型コロナの予防・治療を推奨することを裏付けることはできないとの見解を発表した。有効性や安全性の結論を得るためには、さらなる適切に設計された無作為化比較対照試験が必要であると指摘している。
新型コロナへのイベルメクチンに対する有効性が注目されるなかで、EMAは実験室研究、観察研究、臨床試験およびメタ解析などで公表されているエビデンスを精査した。その結果、実験室研究では、新型コロナ(SARS-CoV-2)の複製を阻止する可能性を見出した。しかし、これには現在承認されている用量よりもかなり多量の投与量による同剤の血中濃度を必要とするという。
ベネフィットの有無についいては臨床試験により結果がわかれ、一貫性はなかった。多くの研究は小規模で、服用量の異なるレジメンや併用療法などの制約があった。そのため、EMAは現在入手できるエビデンスでは新型コロナに対するイベルメクチンの使用を裏付けるには不十分とした。
イベルメクチンは一般的に、現在承認されている適応症や用量での忍容性は高い。ただ、新型コロナに対して有効な肺における血中濃度を獲得するためには、はるかに増量する必要がある。このため、副作用が増大するリスクがあるとした。
なお、EUでは現在、イベルメクチンは、腸管糞線虫症など一定の寄生虫による感染症および酒さのような皮膚病の治療薬として承認されている。