ロート製薬は4月9日、社内起業家支援プロジェクト「明日ニハ」を通じ、３つの新会社を設立したと発表した。健康社内通貨「ARUCO」と呼ばれる社内クラウドファンディングを活用し、社会課題と向き合う社員を応援するという試み。2020年4月から実施した。今回設立したのは、TRESH合同会社（トレッシュ）、とよなかStyle合同会社、アイフォースリー合同会社－の各社。同社は、「社会課題に向き合い、自身の想いとアイデアをもとに起業する社員の支援を行うことで、会社の枠に捉われないマルチジョブな働き方を推進したい」としている。

◎挑戦者は「明日ニスト」としてビジネスプランを作成・提案

同社は、これまでも複業解禁をはじめとしたユニークな人事制度や社内プロジェクトに取り組んできた。今回の社内起業家支援プロジェクト「明日ニハ」は、社員が「明日ニスト」と呼ばれる挑戦者としてビジネスプランを作成し、社内提案する。その後、事業の実現可能性や収益性、事業計画の詳細、経営層へのプレゼンテーションなどを経て、事務局審査と経営層の承認を経て会社設立までの各段階へと進む。審査の過程では、初期投資費用、ロート製薬の資源活用、プロジェクト事務局による会計・法務上の知識サポート、セミナーやミートアップなどの機会が挑戦者に与えられる。また予算については、健康社内通貨「ARUCO」を活用した社内クラウドファンディングにより出資額が決定する。

健康社内通貨「ARUCO」とは、日々の歩数や早歩き時間、スポーツ実施や非喫煙など健康的な生活習慣の実施状況に応じてコインが貯まる“健康”をコンセプトとした社内通貨。獲得したコインは、ロート製薬が運営するレストラン等での野菜を中心としたヘルシーランチチケットや、健康に関する社内セミナー、自己研鑽につながる研修への参加など幅広い用途で利用されているという。

◎新会社は、食の科学、クラフトビールの醸造販売、廃プラのリサイクルなど

今回設立されたTRESH合同会社（トレッシュ）は、食の科学技術を体験できるオンライン料理教室を主としたコミュニティの構築や運営を主業務とする。一方、とよなかStyle合同会社は、豊中の新しい幸せの形を創ることを目的としたクラフトビールの醸造販売を手掛ける。アイフォースリー合同会社は、目薬瓶の廃プラスチックからリサイクルしたサングラスの企画製造販売を行う。同社は、こうした取り組みを通して、社員の主体的な健康づくりを支援し、より一層の健康経営を推進したい考えだ。