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アステラス製薬・安川社長CEO 「経営計画2021」公表 株式時価総額7兆円以上の企業を目指す

公開日時 2021/05/27 04:51
アステラス製薬の安川健司社長CEOは5月26日、オンライン会見に臨み「経営計画2021」(21年度~25年度)を発表した。期間中の売上収益については、イクスタンジおよび重点戦略製品が貢献し、売上は年平均8%成長を見込む。一方で販管費は20年度実績の対売上比率31%から25年度には21%まで圧縮、同様に研究開発費の対売上比率は18%から19%とし、コア営業利益30%を目指す考えを明らかにした。安川社長CEOは会見で、期間中に設定した「戦略目標」と新たに策定した「組織健全性目標」が達成されれば、「その時には株式市場から時価総額にして7兆円以上の会社であるとの評価を受けるだろう」と意気込んだ。

◎「株式市場から3つの懸念を持たれている」安川社長CEO


「我々はアステラスの価値に関して、資本市場から3つの懸念を持たれていると認識している」-、安川社長CEOはこう発した。その懸念とは、一つはイクスタンジンのパテントクリフを越える製品があるか。二つ目は、パイプラインの価値、特に後期開発品が本当に生み出されるかどうか。三つ目は、利益率、特に販管費の削減余地があるかないか―。安川社長CEOは、突き付けられた懸念を払拭するためには、「2025年の姿が実現され、2030年に向かって上市される新薬を示すこと」が経営者としての責務だと言い切った。その時の成果目標こそが「株式時価総額7兆円」の企業であることの証になるとの考えを語り、その戦略プランを今回の「経営計画2021」に刻んだことを強調した。

◎イクスタンジ ピークセールス2000億円積み増し 6000~7000億円に挑戦

売上収益の根幹をなす重点戦略品について安川社長CEOは、「イクスタンジ、ゾスパタ、パドセフについては、より早期のステージのがん患者を対象とした適応拡大について第1国と同様のサイクルを回していくことで製品価値を最大化する」と強調。その筆頭格のイクスタンジについては、「発売後に蓄積した臨床試験に基づく豊富なデータと販売経験を活かし、他の治療オプションとの差別化を図りながら第1選択薬としてのポジションを強化する」と強調した。非転移性去勢感受性前立腺がん(M0CRPC)については、期間中に適応追加を見込んでおり、「ピークセールスは2000億円引上げ、6000億円~7000億円とした」と述べた。

◎選択的NK3受容体拮抗薬・fezolinetant ピークセールス3000~5000億円期待

血管運送症状の治療選択薬としてファーストインクラスとなる選択的NK3受容体拮抗薬・fezolinetantについて安川社長CEOは、「潜在的な患者数、アンメッドメディカルニーズの大きさを再考慮し、あわせて臨床試験結果を考慮してピークセールを1000~2000億円引上げ、3000~5000億円とした」と期待感の高さを滲ませた。さらに、PADCEV (エンホルツマブ ベドチン)は、「より早期ステージでの尿路上皮がんの患者の第1選択薬としてのポジショニングを確立できる。このストーリーからピークセールスを3000億円から4000億円とした」と強調した。ほかにもゾスパタは、「再発難治性AML治療における血液内科医、がん専門医からの高い評価、学会推奨などを受け、ピークセールスを従来の目標から引上げ、1000億円から2000億円とした」と説明。ゾルベツキシマブも「HER2マイナス、かつCLDN 18.2+の患者において、第1選択薬として確立できるというメインストーリーを描き、ピークセールスを1000億円から2000億円とした」と述べるなど、いずれの重点戦略品とも売上収益を伸長させるドライバーになると意気込んだ。

このほか2025年度末までに“Primary Focus”のパイプラインから新たな後期開発品ポートフォリオを構築する方針だ。細胞医療プラットフォームでは、11種類の細胞分化プロトコルを確立済だという。遺伝子治療および細胞医療プラットフォームにおける10 AAV技術の有機的活用なども盛り込んでいる。

◎販管費「絶対額で維持」するも投資拡大案件と見直し案件に峻別


一方で販管費については「絶対額で維持」するものの、投資拡大するものと見直すものを峻別する方針。重点戦略品の上市や適応拡大に備えた発売準備や販売促進活動、さらには新規モダリティのためのコマーシャル組織体制の確立、現状のビジネスに変革をもたらすためのITデジタル投資は重点化するが、営業体制の変革や新たな働き方への適応などは「効率性を追求するための取り組み」に入っている。こうした取り組みを通じ、販管費は20年度実績の売上比率31%から21%まで圧縮し、コア営業利益30%を目指す方針を明示した。

◎RX+ビジネス 2025年度まではブレークイーブン 30年度は「3桁億円半ば」期待


RX+ビジネスの可能性にも言及している。2025年度までにデジタルヘルスで5以上のプロジェクトを事業化する計画を盛り込んでいるほか、デジタルセラピューティクスも複数のプロジェクトを予定している。さらに2030年に向けて、医薬品/医療機器コンビネーション、バイオエレクトロニクスでも事業化の計画が進んでいるところ。今回の経営計画2021では、「2025年度までは成長への投資を継続し、Breakeven達成」-。2030年度までに「3桁億円半ばの収益到達、2030年代に屋台骨の一つとなることを目指す」との方針を明示した。なお、「3桁億円半ば」との表現について同社は、200~500億円規模と見通した。

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