バイエル薬品 慢性心不全治療薬・ベリキューボを発売 標準治療で効果不十分な患者の新たな選択肢に
公開日時 2021/09/16 04:50
バイエル薬品は9月15日、慢性心不全治療薬・ベリキューボ錠(一般名:ベルイシグアト)を発売した。効能・効果は「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」。ACE阻害薬やARB、β遮断薬など標準治療を受けても心不全が増悪するなど、効果が不十分な患者に対する新たな選択肢として期待される。
◎処方はLVEF低下例に限る 臨床試験では標準治療薬3剤以上投与が6割占める
添付文書上の効能又は効果に関連する注意としては、「左室駆出率(LVEF)の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること」、「臨床成績の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率、収縮期血圧など)を十分に理解した上で適応患者を選択すること」が求められている。
なお、同剤の承認の根拠となった日本人を含む国際共同第3相臨床試験 「VICTORIA」では、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に対して心不全増悪イベント後にベルイシグアトを開始している。ベースラインの患者背景でも、3剤併用療法(β遮断薬、ACE阻害薬・ARB、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI))をしている患者が6割を占めている。
同剤は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)に作用して、心血管系の重要なシグナル伝達経路であるNO-sGC-cGMP経路を活性化させることで、作用を発揮する。一酸化窒素(NO)受容体であるsGCを直接刺激する作用と、内因性NOに対するsGCの感受性を高める作用の2つの作用機序により、環状グアノシン一リン酸(cGMP)の産生を増加させ、cGMPシグナル経路を活性化して慢性心不全の進行を抑制する。
通常、成人には、「1 回 2.5mg を 1 日 1 回食後経口投与から開始し、2 週間間隔で 1 回投与量を 5mg 及び 10mg に段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する」こととしている。薬価は、2.5 mgが131.50 円、同錠5 mgが230.40 円、同錠 10 mgが403.80 円。