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塩野義・手代木社長 持続的成長に向けて「HaaS企業」への変革に意欲 パートナーシップの重要性強調

公開日時 2021/10/08 05:00
塩野義製薬の手代木功代表取締役社長は10月7日、IFPW(国際医薬品卸連盟)東京総会で基調講演し、でヘルスケアを提供する“HaaS企業”へと変革する姿勢を鮮明にした。手代木社長は、世界的経済の動向を踏まえ、処方薬には価格の手頃感が求められるなかで、処方薬のみでビジネスを維持することは困難だと指摘。予防、診断、重症化抑制など様々な角度からのアプローチに意欲を示した。この実現には、医薬品卸をはじめとしたパートナーシップが重要と強調した。また、地域包括ケアシステムにおけるラストワンマイルについては、「より経済的に行わないといけないというなかで、卸のビジネスに期待するところは非常に大きい」と医薬品卸の役割に期待感を表明した。

◎ビジネスモデルは変革期

「プロダクトアウト(作り手の理論や計画を優先した製品開発の考え)ではダメで、プロダクトイン(顧客や社会、マーケットのニーズを汲みとった製品開発)となったが、それですら本当に大丈夫かということで、ビジネスモデルが大きな変革期になっていると危機感を持っている」-。手代木社長が新たなビジネスモデル構築を決断した背景には、時代の変化に伴う社会変革への危機感があったことを明かした。

こうしたなかで手代木社長は、「社会とともに生きる」ことの重要性を強調。国際社会ではSDGs(持続可能な開発目標)の重要性が増し、企業にもESG(環境・社会・企業統治)が求められているが、手代木社長は、「怖いのは、SDGsはこうだろうとかデジタルをこうだろうとか、頭から勉強しに行っている感じがすることだ。いまの若い人は初めからその世界で生きている」と指摘した。手代木社長は10年後、20年後には、こうしたデジタルやSDGsネイティブの世代が社会経済の中心となることを見据え、「その世代が次のカスタマーになる。その人たちに合った製品をお届けしない限り、モノづくりの人間としては一切相手にしてもらえない」と危機感を露にした。

そのうえで、国がデータヘルス改革を進めるなかで、医療・健康データを個人が管理する時代が来ると見通し、「そこにSDGsやデジタルというツールを組み合わせて健康にアプローチするか考え直さないといけない」との見解を示した。「メーカーは素晴らしい抗がん剤だけを作っていればいいという時代は残念ながらもう終わってしまった」とも述べた。

◎アフォーダブル(手頃)な価格で提供することの意義 

もう一つの変化が、世界経済にもある。低中所得国の位置づけが大きくなり、日本をはじめとした先進諸国で少子高齢化が進み、財政状況が悪化してきているなど、社会バランスの変化に触れた。こうした状況をビジネスに組み込むためには、「できるだけアフォーダブル(手頃)な価格で提供することをどう実行するかがメーカーとしては大事ではないか」と手代木社長は強調する。感染症を例に、治療薬だけでなく、予防、診断、流行予測などのツールを揃えることが必要だと指摘した。加えて「すべて医療保険で面倒を見るのは無理だ。応分の負担に対して、応分のサービスをどう考えるのか。いま考えないと2030年は乗り切れない。そういう危機感だ」と述べ、給付と負担のバランスについても言及した。

◎HaaS企業へ トータルケアの実現に向けて積極的にリソースを投入

同社が目指すHaaS企業は、強みである創薬力を核に、多様なアプローチで疾患のトータルケアを実現するというものだ。実際、新型コロナでは治療薬やワクチンに加え、流行予測や迅速診断、重症化抑制など、トータルケアの実現に向けて積極的にリソースを投入している。

手代木社長は、医療用医薬品では特許切れ後のパテントクリフが売上に直撃することを説明。これを補う革新的新薬を上市してもまたパテントクリフが襲うというサイクルに陥るとして、「こんな厳しい自転車操業はない」と述べた。そのうえで、こうした影響を小さくするビジネスインフラ構築を構築することの重要性を強調した。

同社にとっても2028年までは安定的なロイヤリティが入ると見通したうえで、「それでもあと6年、7年しかない」と述べ、新たなビジネスモデル構築を急ぐ考えを強調した。ワクチンやOTC、CDMO(医薬品製造開発受託)など、医療用医薬品以外の製品やサービスを強化する。さらに、エムスリーとの合弁会社設立を通じて新たな情報提供モデルの検討を進めているほか、中国平安保険との資本業務提携を通じ、中国ビジネスに本格的に乗り出すなど、多様なアプローチに着手している。手代木社長は、「多様な種まきをして一つでも花開けば、パテントクリフの時に少しヘルプになるような収入があがるのではないか」と述べた。「どこまで1メーカーでやり、卸も含めたパートナーシップ、コラボレーションで実現していくのかを考えることがいま、最も求められているのではないか」と述べ、パートナーシップの重要性についても言及した。

◎医薬品卸はサービスの「テーラーメードを」 経済的観点からラストワンマイルにも期待


新たなチャレンジを続ける同社だが、手代木社長は、「メーカーはメーカーなりに次のステップに向けて何とか生き残りたい」と強調する。そのうえで、医薬品卸の役割にも言及し、地域包括ケアシステムへと動くなかで、「大都市部と地方都市部で同じ医療サービスを同じように提供するのは難しい。卸の規模が大きい小さいではなく、どういうサービスをどうテーラーメードで提供いただくか、というのはますますトレンドになっていくのではないか」と述べた。地域医療のなかで、「プラットフォームで一番存在感があり、なおかつ今すぐにキャッチできるのは卸」との見方を表明。「メーカーもその一部としてヘルスケアをどう提供するのかとうのはご一緒させていただきたい。次の時代に向けて新しい卸のあり方が今回のIFPW、卸の集まりを含めて議論されることを希望してやまない」と語った。

そのうえで、患者や医療機関に薬を届けるラストワンマイルについて、「我々メーカーでは手が届かない。各国、わが国でどう実現していくのか。より経済的に行わないといけないというなかで、卸のビジネスに期待するところは非常に大きい」とエールを送った。

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