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中医協総会 22年度調剤報酬改定で調剤料を抜本的見直しへ 調剤設計などを薬学管理料として評価も論点

公開日時 2021/11/29 04:52
厚生労働省保険局医療課は11月26日の中医協総会に、2022年度調剤報酬改定の論点として、調剤料とその加算料の評価をあげた。対物業務の評価の象徴的な点数とされてきた調剤料だが、「患者情報等の分析・評価」、「処方内容の薬学的分析」、「調剤設計」に対人業務的な要素を含まれているとの考えを示した。診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「現状の調剤料がモノに対する業務の評価でないことをハッキリ申し上げたい」と強調。診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、これらの業務については、「薬学管理料として見直す部分があるか検討されてはどうか」と提案した。一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「調剤基本料や既存の薬学管理料で評価されているものもある」との見方を示し、評価体系を整理したうえで議論する必要性を指摘した。今後、現行の調剤料とその加算、薬学管理料との整理を含めて議論が進むことになりそうだ。

技術料に占める調剤料の割合は近年減少傾向だが、引き続き50%を超えている。一方で、対人業務を評価する薬学管理料の割合は20%程度にとどまっており、対物業務の象徴とみられてきた調剤料が多くの割合を占めていることが指摘されてきた。

◎日薬・有澤委員 「激変緩和を」 累次の改定を経て段階的に進めることを要望 

厚労省はこの日の中医協に、薬局での調剤業務の流れを示したフローチャートを示した。調剤業務を①患者情報等の分析・評価、②処方内容の薬学的分析、③調剤設計、④薬剤の調整・取り揃え、⑤最終監査、⑥患者への服薬指導・薬剤の交付、⑦調剤録・薬歴の作成-などのステップから構成されているとした。このうち、薬歴などは薬学管理料で評価されているものの、患者情報等の分析・評価(①)や、処方内容の薬学的分析(②)、調剤設計(③)は、患者の状態や処方内容に応じた、薬剤師による薬学的判断を伴い、対人的な要素を含むとした。

診療側の有澤委員は、「調剤料と一口に言っても、その行為は対物業務と対人業務が複合的に入り組んだ評価となってしまっており、対物業務と対人業務を単純に線引きしてできるものではない。“調剤料の占める割合が高い=薬局が対物業務ばかりしている”というものではない」と強調。「複合的に入り組んだ調剤料の内容を整理可能なところは整理し、調剤料における対物業務と対人業務の評価について、調剤料の加算も含めて整理していく方法が一つの方策ではないか」との見方を示した。そのうえで、「現状調剤料の評価を動かしていくことは現場への影響は非常に大きく、激変緩和を考慮しながら、その動かした評価の影響を見つつ、累次の改定を経て段階的に慎重に進めていくことが必要だと考えており、強く要望する」とも述べた。

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「トレーサビリティや品質管理の観点からの、いわゆるモノとしての薬の調整、その薬が品質上問題なく、処方箋通りであるかという監査を行う流れがあるはず。この点は明確に対物業務であり、調剤料として整理されるべき」と述べた。一方で、「個々の薬剤師が患者さんのために治療効果を最大化したり、副作用などのリスクを最小化したりというための行為は、薬学的知識を生かした医療の一環として考えてよい」として、一部業務については「薬学管理料として見直す部分があるか検討されてはどうか」と述べた。

◎内服薬の調剤料 日数に応じた点数設計に診療・支払各側から見直しを求める声

内服薬の調剤料について、さらなる見直しを求める声も診療・支払各側からあがった。2020年度診療報酬改定では、14日以内の処方で日数が増えるごとに直線的に伸びる調剤料を見直し、「1~7日分」、「8~14日分」と階段状の点数設計とした。支払側の松本委員は、「内服薬の投与日数が増えると点数が増加する仕組みが以前から問題だと健保連は以前から指摘してきた」と説明。「1週間分と2週間分で調剤が本当に大変になるのかという疑問は私も抱いている」と述べた。支払側の城守委員も、「日数に応じて変動することは医療機関の調剤料になじまない仕組みとなっている。以前から何度も指摘しているが、見直しをお願いする」と指摘。一包化加算についても、「42日分以下(7日ごと)」、「43日以上」にわかれていることについて問題視し、「精査をお願いする」と述べた。

◎敷地内薬局に厳しい声次ぐ 院内処方と同等の取り扱いも


敷地内薬局についても議論の俎上にのぼった。診療側の有澤委員は、大学病院などで敷地内薬局の誘致事例が増加しているとして、「大病院に利益を供与している実態については大変遺憾」と強調。「公費を使っている健康保険事業の適正運営という観点から、決して看過されるものではない」と述べた。そのうえで、「独立性が担保されない、機能として院内薬局と変わらない薬局であれならば、保険指定する必要はない。療養担当規則におけるルールの変更をお願いしたい」と訴えた。診療報酬上の措置については、「特別調剤基本料を算定している薬局の調剤料や薬剤料の減算を行うことや、医薬分業の推進に逆行していることから薬学管理料についての加算を下げたり、あるいは算定を不可にしたりするなどの対応、特別調剤基本料を算定する薬局を持っている同一グループに対しては何かしらの評価を低くするなどの見直し、検討も一つの方策ではないか」と述べた。

診療側の城守委員も、「制度の抜け道を一つひとつふさぐような対処方法には限界があろうと思う」との見解を表明。「報酬を医科点数の調剤料に準ずるということにして、日数に関係なく、内服薬は11点、外用薬は8点としたうえで加算についても同様にすべきだろうと考える」と述べた。そのうえで、「医療機関と薬局との関係性において複雑化している事例が散見される。構造上、同一敷地内にあるものは敷地内薬局として統一化する、一本化するという考えでいかれた方がいいのではないか。敷地内薬局という、病院の第二薬局化については、中医協ではなく、国として薬局のあり方をしっかり検討していただきたい」と要望した。

支払側の松本委員も、「地域包括ケアシステムの重要性を再認識していただくとともに、外形的に敷地内薬局であることが明白な場合は、医療機関と薬局のいずれもが院内処方と同様の取り扱いをすることも選択肢であろう」と述べた。

◎支払側・松本委員 調剤基本料「より厳しく適正化すべき」 大手チェーン視野

このほか、2020年度改定以降、同一グループ店舗数が20店舗以上の薬局では損益率が増加しているが、それ以外では損益率が減少しているとの医療経済実態調査の結果も示された。

 支払側の松本委員は、「大手の門前薬局や敷地内薬局については地域包括ケアシステムの妨げとなり、コロナ禍で患者に寄り添う薬局が求められるなかで、望ましい形からは程遠いものであるという認識だ。チェーン薬局の経営水準は高く、コロナ禍でも改善している。次の改定に向けて、現行をベースにしながらも調剤基本料はより厳しく適正化すべき」と述べた。診療側の城守委員も、「経営効率に大きな差異がある」と指摘した。

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