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IQVIA・21年国内医療薬市場 中外製薬が首位奪取 製品トップはキイトルーダ 売上1000億円超に6製品

公開日時 2022/02/18 04:52
IQVIAが2月17日に公表した21年国内医療用医薬品市場データ(薬価ベース)から中外製薬が2021年国内医療用医薬品市場で、初の首位を奪取したことがわかった。5期連続で過去最高益を確保した勢いそのままに、主力品のテセントリクやヘムライブラなどが伸長し、売上高は前年比7.3%増の5168億円を確保した。一方で、前年首位だった武田薬品はフォーカスエリアへのリソース配分の見直しを進めたこともあり、前年比3.6%減の4935億円となった。なお、21年1000億円以上売り上げたブロックバスターは、キイトルーダ、オプジーボ、タケキャブ、タグリッソ、アバスチン、リクシアナの6製品で、過去5年間で最多となった。

文末の「関連ファイル」に21年の市場規模や売上上位10製品の売上データに加え、売上上位製品の四半期ごとの売上推移をまとめた資料を掲載しました(ミクスOnlineの有料会員のみ閲覧できます。無料トライアルはこちら)。

◎販促会社ベースの売上高 トップ3は中外製薬、武田薬品、AZ

「販促会社ベース」の21年の売上ランキングでトップとなったのは、中外製薬(5168億円、7.3%増、前年2位)。武田薬品(4935億円、前年比3.6%減、前年1位)、アストラゼネカ(4198億円、12.1%増、前年4位)が次いだ。前年3位の第一三共は、売上高3969億円(1.1%減)で、4位となった。

中外製薬は、がん免疫療法治療薬・テセントリク、血友病治療薬・ヘムライブラ、抗HER2抗体薬物複合体・カドサイラなどの主力品の市場浸透を着実に進めた。さらに、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)治療薬エンスプリングなど新製品も業績伸長に貢献した。抗がん剤アバスチンはバイオシミラーが市場参入したが、1008億円(前年比2.0%減)を売り上げ、製品ポテンシャルを維持した。中外製薬は21年4月実施の薬価改定で2%台後半の影響を受けたものの、製品の市場ポテンシャルを医療関係者に根づかせる活動が着実に効果をあげた。なお、今回発表された売上高には、政府が購入している新型コロナ治療薬・ロナプリーブは、売上に含まれていない。

武田薬品は、シャイアーとの統合以降、5つのビジネスエリアにリソースの再配分を進めており、製品ポートフォリオに変化も見える。ネシーナなど糖尿病薬4製品を21年4月に帝人ファーマに譲渡するなど製品戦略上のインパクトにも影響を及ぼしている。糖尿病治療薬4製品の20年度売上高は308億円となった。抗潰瘍薬タケキャブは、4.1%の薬価引下げを受けたが、前年比13.5%増の1111億円(13.5%増)を売り上げた。降圧薬・アジルバは売上高860億円(7.4%増)だった。

◎企業別3位のAZ 452億円の増収 上位20社で最大に

AZは、上位20社で最大となる、金額ベースで452億円の増収となった。抗がん剤・タグリッソや免疫療法治療薬・イミフィンジ、慢性心不全や慢性腎臓病の適応を追加したSGLT2阻害薬フォシーガが好調だった。タグリッソはNSCLCの一次治療を中心に売上高1021億円(10.3%増)に伸ばし、ブロックバスター入りした。イミフィンジは8月1日付で市場拡大再算定類似品として11.5%の薬価引下げを受けたが、31.7%の増収を達成。フォシーガは50.5%の大幅増収だった(IQVIAは製品売上トップ10製品以外の製品売上は開示していない)。

なお、第一三共は3%台の改定影響を受けたものの、最主力品の抗凝固薬リクシアナの売上1005億円(12.1%増)を確保し、同社業績を牽引するとともにブロックバスター入りを果たした。

◎AZ、ヤンセン、沢井製薬が2桁成長

販促会社ベース上位20社のうち、2ケタ成長したのはAZ、5位のヤンセンファーマ(3622億円、11.4%増、前年6位)、18位の沢井製薬(2057億円、14.0%増、前年は20位圏外)―の3社。

ヤンセンファーマは抗がん剤のザイティガやダラキューロなどのほか、炎症性腸疾患治療薬ステラーラ(52.8%増)などが好調。20年7月に合併したアクテリオン社の貢献もあったとみられる。

沢井製薬は、他社製品の参入のない製品の後発品での初参入などが大きく、2桁影響した。沢井製薬の伸び率は上位20社中で最も大きい。

一方、「販売会社ベース」の上位5社は、1位が武田薬品(7505億円、4.0%増、前年1位)、2位が第一三共(6279億円、0.7%減、前年2位)、3位が中外製薬(5168億円、7.4%増、前年4位)、4位がファイザー(4300億円、16.2%減、前年3位)、5位がアステラス製薬(3483億円、9.8%減、前年5位)―だった。

◎製品別トップはキイトルーダ 2位のオプジーボとは僅差に

製品別にみると、売上高トップは、免疫療法治療薬・キイトルーダ(1210億円、0.8%増)、2位はオプジーボ(1208億円、12.3%増)で、前年と同じ順位となった。

ただ、両剤の売上差は前年の約124億円が21年に約2億円まで縮まっている。四半期別にみると、キイトルーダは21年第3四半期(7~9月)に前年同期比2.8%増だったが、第4四半期(10~12月)は5.3%減だった。一方、オプジーボの第3四半期は7.7%増、第4四半期も7.5%増で成長軌道をキープしている。第3四半期以降はオプジーボの売上はキイトルーダを上回った。オプジーボは20年11月にNSCLCの一次治療の適応を取得し、新規患者の獲得を進めた。難治がんの一つである食道がんの適応などでも存在感を見せている。なお、両剤は、市場拡大再算定で21年8月1日、11.5%薬価が引き下げられている。

◎タケキャブ、タグリッソ、アバスチン、リクシアナもブロックバスターに 

製品売上高の3位はタケキャブ(1111億円、12.3%増、前年4位)、4位はタグリッソ(1021億円、10.3%増、前年7位)、5位はアバスチン(1008億円、2.0%減、前年3位)、6位はリクシアナ(1005億円、12.1%増、前年8位)、7位は抗潰瘍薬ネキシウム(924億円、1.3%減、前年5位)、8位は水利尿薬サムスカ(876億円、9.5%増、前年10位)、9位はアジルバ(860億円、7.4%増、前年9位)、10位は加齢黄斑変性治療薬アイリーア(852億円、10.2%増、前年10位圏外)。前年6位の疼痛薬リリカは20年12月に後発品が参入し、21年に10位圏外となった。

なお、売上高には、新型コロナ治療薬やワクチンは、含まれていない。ただし、ベクルリー(ギリアド・サイエンシズ)は一般流通が開始した21年10月以降はデータにも反映されている。

◎薬効別のトップは「抗腫瘍剤」 初ランクインの「診断用検査試薬」は9位に

薬効別のトップは「抗腫瘍剤」で、売上規模は1兆6532億円(11.3%増)だった。12年以降、トップを維持している。一方、今回初めてトップ10入りしたのが、9位の「診断用検査試薬」(2672億円、26.6%増)。新型コロナの感染拡大を背景に関連する検査試薬が相次ぎ発売され、「ルミパルスSARSCOV2 AG」(2位)などが影響した。

このほか、2位は「糖尿病治療剤」(6355億円、5.0%増)、3位は「免疫抑制剤」(5161億円、9.4%増)、4位は「抗血栓症薬」(4293億円、1.3%増)、5位は「眼科用剤」(3636億円、3.3%増)、6位は「制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療剤」(3516億円、1.3%増)、7位は「その他の中枢神経系用剤」(2975億円、0.4%増)、8位は「レニン-アンジオテンシン系作用薬」(2852億円、3.4%減)、10位は「喘息及びCOPD治療剤」(2651億円、2.5%減)。前年と順位に変動は見られず、前年9位の「脂質調整剤及び動脈硬化用剤」が10位圏外となった。

◎21年の国内市場は10兆5990億円 前年比2.2%増も開業医市場は厳しさ続く

21年の国内医療用医薬品市場は、前年比2.2%増の10兆5990億円だった。21年4月に毎年薬価改定が導入されたが、前年から市場は拡大した。コロナ以前の19年と比較しても、21年は19年比0.3%減で、コロナ禍以前の規模まで回復したといえそうだ。

ただ、市場別に違いもみられる。100床以上の病院市場は4兆9100億円(前年比4.2%増)で19年比でも3.4%増だった。一方、100床未満の開業医市場は1兆9860億円(1.4%減)で、19年比では7.1%減と、縮小傾向がみられた。このほか、主に調剤薬局で構成する「薬局その他」市場は3兆7029億円(同1.5%増)だった。19年比では1.0%減。
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