サノフィ 抗PD-1抗体・cemiplimabを承認申請 進行性子宮頸がんに対する単剤療法で
公開日時 2022/03/22 04:50
サノフィは3月18日、抗PD-1抗体・cemiplimabについて、がん化学療法中または療法後に増悪した子宮頸がんに対する単剤療法として日本で承認申請したと発表した。進行性子宮頸がんの治療選択肢が限られているなか、同社は、進行性子宮頸がんに対する「新たな標準治療となる可能性」があるとしている。
cemiplimabは、T細胞の表面にある免疫チェックポイント受容体PD-1を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体。がん細胞は、PD-1経路を介してT細胞の活性化を抑制している。cemiplimabはPD-1に結合することでこの抑制を解除する。
今回の申請は、進行性子宮頸がんにおける国際共同第3相試験の結果に基づくもの。扁平上皮がんまたは腺がんの女性患者(年齢中央値51歳)を対象とした。患者は無作為化し、cemiplimab 単剤投与群(350mgの3週間毎投与)または化学療法剤(イリノテカン、トポテカン、ペメトレキセド、 ビノレルビン、ゲムシタビン)から試験責任医師が選択する薬剤を投与する群のいずれかが割り付けられた。
その結果、患者全体における全生存期間中央値はcemiplimab群12.0カ月(n=304)、化学療法群8.5カ月(n=304)で、cemiplimab群は化学療法群と比較して死亡リスクが31%低下した(HR:0.69; 95%CI:0.56-0.84(p<0.001))。扁平上皮がん患者では死亡リスクは27%低下、腺がん患者では同44%低下した。有害事象はcemiplimab群で88%、化学療法群で91%に認められ、重篤な有害事象はcemiplimab群で30%、化学療法群で27%に認められたとしている。
子宮頸がんは世界の女性のがん死亡原因の4位にあたり、診断時の年齢は35~44歳が最も多い。子宮頸がんの大部分は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で、約80%が扁平上皮がん(子宮頸部の底部を覆う細胞から発生)、残る患者の多くは腺がん(子宮頸部の上部にある腺細胞から発生)が占める。進行・再発子宮頸がんの治療選択肢は限られている。