BMS TYK2阻害薬・ソーティクツ錠 乾癬性関節炎の適応追加を一変申請
公開日時 2025/06/10 04:46
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は6月6日、TYK2阻害薬・ソーティクツ錠6mg(一般名:デュークラバシチニブ)について、乾癬性関節炎(PsA)の適応追加を一変申請したと発表した。承認されると、ソーティクツは日本でPsAに対する唯一のTYK2阻害薬となる。
PsAは乾癬に合併する関節や腱付着部、指に炎症をきたす疾患。関節の破壊や変形が不可逆なため、これらを予防し進行させないよう、早期に診断し治療を開始することが重要となる。日本人では、乾癬を発症した患者の10~15%に発症するとされる。30~50歳代に多く、男女比はほぼ同じ。
TYK2(チロシンキナーゼ2)は、細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素(キナーゼ)群のひとつであるJAKファミリーの分子で、乾癬を含む自己免疫疾患の病態に寄与するIL-23、IL-12、I型インターフェロンなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流にシグナルを伝達する役割を担っている。ソーティクツはTYK2に対するアロステリック阻害作用により、これらのシグナル伝達経路を抑える。現在、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で承認されており、1日1回の経口投与で用いる。
PsAの適応追加申請は、疾患活動性を有するPsA患者を対象とした国際共同第3相POETYK PsA-2試験と海外第3相POETYK PsA-1試験の結果に基づく。POETYK PsA-2試験は、生物学的製剤未治療、もしくは過去にTNF阻害薬での治療を受けたことがある疾患活動性を有するPsA患者約730例を対象としたもの。POETYK PsA-1試験は、生物学的製剤未治療の疾患活動性を有するPsA患者670例を対象としたもの。
BMSによると、POETYK PsA試験では、ソーティクツ投与群はプラセボ群と比較してPsAの症状の改善ならびに患者QOLの向上において「優れた有効性が確認された」。安全性は、実施中又は実施された乾癬を含む複数の免疫介在性疾患を対象とした臨床試験における9000人年以上、および2万人年以上の曝露期間を通じて、「安全性および忍容性のプロファイルが確立されている」としている。
BMSのアンジェラ デイビス研究開発本部長は、「乾癬性関節炎は、その複雑かつ不均一な性質ゆえに、安全で効果的な経口治療薬に対する大きなニーズが依然として高い状況にある」とし、「ソーティクツを通じて乾癬性関節炎に苦しむ患者さんのアンメットニーズに応える」と話している。