共和薬品 業務停止命令の期間満了 5月1日から三田工場が業務再開 改善計画書を関係自治体に提出
公開日時 2022/05/09 04:49
共和薬品は5月2日、業務停止命令処分の停止期間を満了し、5月1日から三田工場の医薬品製造業を再開したと発表した。同時に行政処分を受けた第二種医薬品製造販売業については4月8日から業務を再開した。同社は、業務改善命令に対する改善計画書を作成し、4月27日に大阪府、兵庫県、鳥取県に提出したことを明らかにした。角田礼昭社長は、「行政当局の指導及び特別調査委員会の提言を踏まえ、再生への取り組みを開始した。法令遵守を徹底し、確かな品質の製品を供給することで、皆様からの信頼回復に誠心誠意努めたい」と強調した。
業務再開にあたり同社は、「不備事項の改善が確認され、かつ医療上の必要性が高いと考えられる安定確保医薬品等から、順次製造・出荷を再開している」と説明。今後も不備事項の改善を早急に進め、品質を確保した製品の安定供給を図るとした。
◎改善計画書 責任所在の明確化、組織間の情報共有 課題への迅速対応などで組織改編
改善計画書では、法令遵守体制の強化として、4月1日付で責任の所在の明確化、組織間の情報共有促進および課題対応へのスピードアップ等を目的とした大幅な組織改編を行ったことを報告した。責任役員による製造現場の課題認識の強化では、責任役員を含めた経営陣への自社工場での事例に関する教育を実施したが、理解を深めるため 2022 年度以降も定期的に教育を実施し、製造現場の課題の理解を深め関連法令を遵守できる基盤を固めるとした。
◎総責、品質保証責任者、安全管理責任者の「三役会議」 コンプラ強化推進室が監視
第1種、第2種医薬品製造販売業における改善計画骨子では、総括製造販売責任者(総責)が定期的に自社製造所を訪問し、直接的に確認し把握する。さらに、総責、品質保証責任者、安全管理責任者の「三役」連携が適切に行われていなかった反省から、22年3月から「三役会議」での情報共有を強化し、コンプライアンス強化推進室が三役会議に出席(または議事録の確認)し、活動を監視するなどの措置を行っているとした。一方、薬事部における変更管理への対応力強化として、「過去に作成した軽微変更届出や一変申請において、記載漏れや誤記載が生じていたこと、承認書の記載変更内容について承認書と製造実態の相違が発生した事例があったことを鑑み、薬事部に加え、変更起案部門や関連部門が変更内容を確実に確認する手順を徹底する」との方策を明示した。
◎責任役員がグループディスカッションに参加 現場の課題と改善で認識共有も
医薬品製造業における改善計画骨子では、法令違反行為または不適切対応・事象の根本原因 として13項目を列挙。責任役員は、直接工場職員と向き合うことが必要とし、22年度からは工場で実施されるグループディスカッションに積極的に参加し、製造現場の課題と改善状況に関する認識をさらに深める取り組みを行う。過密な勤務については、製造作業前の準備等に要する時間などを考慮した適切な標準作業時間及び試験時間をリードタイムとして設定し、生産計画を策定するように変更する。生産計画については、工場の現実的なキャパシティを考慮したリードタイムを設定し、生産 計画の変更が生じにくいような運用を検討する。
◎承認書との齟齬 製造再開後の初回ロットは製造管理者が承認事項と相違ないことを確認
承認書との齟齬(薬事対応と GMP 文書)については、GMP 文書を適切に改訂し、改訂が完了したものから製造を再開する。さらに製造再開後の初回ロットに関しては、製造管理者が、承認事項との相違がないことを含めた文書改訂が適切に行われていること、並びに文書改訂に関する作業者への教育訓練が実施済であることを確認。また、製造管理者は、製造所 QA による製造作業の立ち合いチェックが行われたことも確認するように徹底した。
◎社内に「コンプライアンス推進委員会」を発足
法令遵守を優先する企業風土を醸成するための方策では、改めて企業行動憲章及び品質方針を全役職員に周知し、各本部長が職員に対して行動憲章を遵守する宣言を行うとともに、同社作成のコンプライアンスハンドブックの理解を徹底する。社内に「コンプライアンス推進委員会」を発足し、各本部の遵守状況や問題点の共有及び改善に関する協議を行い、コンプライアンスの徹底及び意識向上に努める。従業員に対するグループディスカッションも行い、得られた意見や結果は、随時、責任役員を含む幹部職員へフィードバックし、改善活動における新たな課題にも迅速に対応するとした。