中外製薬・田熊製薬本部長 バイオ医薬品の連続生産は「20年代後半に向けて治験薬から」
公開日時 2022/06/07 04:50
中外製薬の田熊晋也執行役員製薬本部長(兼中外製薬工業社長)は6月3日に開いたバーチャル工場見学会で、バイオ医薬品の連続生産について、「投資がうまくいけば、2020年代後半に向けて、治験薬の段階から適応していくことが可能ではないか」との認識を示した。現在、浮間工場(東京都北区)で進んでいるパイロット設備での技術検証は、22年度末までに完了する予定。実現化すれば、製造コストの低減が期待できる。
連続生産は、製造プロセスが稼働している期間中、連続的に原料や混合物を製造工程内に供給し、生産物を継続的に生産する方法。従来の方法に比べ、スケールアップ、スケールダウンが容易であることから、開発期間の短縮や、需要量に応じた柔軟な生産量管理が可能となることが期待されている。
田熊本部長は、同社の連続生産の状況について、「小スケール用連続生産設備の技術開発はかなり進んでおり、スケールアップなどの確認を行っている段階だ」と紹介した。そのうえで「バッチ生産のように大きくスケールアップしなくても、連続稼働する時間で調整できることがメリット」として、現在は治験薬を対象としているが、将来的な商用への活用にも含みをもたせた。その先にコスト削減を期待する声もあるが、「効果が出るくらいの数字を達成できればと取り組んでいる」とコメントした。