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アステラス製薬・安川社長CEO 「イノベーションを破壊し、遅らせる社内要因を根絶する」 組織変革断行

公開日時 2022/06/30 04:52
アステラス製薬の安川健司社長CEOは6月29日、メディアのグループ取材に応じ、グローバルでイノベーティブを実現する組織変革に着手したことを明らかにした。これまで意識決定まで10階層近くあった深い構造を「最大6階層」に減らす。これにより時間軸やコスト面での改善を図る。一方、従業員の目標設定も部門横断のクロスファンクションで共通目標を設定。同時にボーナスは、これまでの「全社指標、部門指標、個人指標」を、「全社指標、個人指標」に改めた。部門間で生じる不均衡を是正し、社員全員で同じ成果責任を目指すような職務評価を実施する考えを社内に刻み込む。このほか、「Ignite」と呼ばれるリーダー研修を3000人が受講するなど、「経営計画2021」を実行できる人材強化に努めているとした。

◎「何がアステラス製薬のイノベーションを妨げているか徹底して聞いてきて欲しい」

「全世界の様々なポジションの従業員に会って何がアステラス製薬のイノベーションを妨げているかを徹底して聞いてきて欲しい」-。安川社長CEOは同社の開発本部、研究本部、技術本部のフロントラインから3人(日本人2人、米国人1人)の精鋭を選び、特命の指示を与えた。

「CSP2021(経営計画)の作成は2020年頭に開始した」と振り返る安川社長。「イノベーションが連続して起きないと新薬は簡単にできない。それを大切にやっていく」と、次期経営計画への信念を語る一方で、社長就任時から気になることがあったと安川社長は振り返る。「他部門への文句、個人に対する文句。受け身で聞いているとマイノリティの問題なのか、メジャーな意見なのか。愚痴なのか分からない」-。続けて「雑音の多くは、受け身で聞いていても判断ができない。よってCSPを作り直すときに徹底して調査することにした」と明かしてくれた。

◎調査期間は9か月 最初の半年で全世界を調査、残り3か月で問題点洗い出し


調査期間は9か月。最初の6か月をインタビューに充て、残りの3か月で問題点の洗い出しを行った。当初20項目程度の課題が報告されたが、これを9項目に絞り、社内で議論を継続した。安川社長もこの時の様子を「アステラスの次の経営計画の中では、アステラスのイノベーションを破壊する、遅らせるものを根絶するとの宣言をまず行った」と強調した。その結果が実り、21年5月26日に発表した「経営計画2021」のトップページには、「戦略目標」と肩を並べて「組織健全性目標」が掲げられることになる。

◎部門目標の設定と報酬体系に問題意識

この日のグループ取材は安川社長自身がホワイトボードを用いて、イノベーションを実現する組織変革プランを解説した。安川社長が示した最初の問題意識は、部門目標の設定と報酬体系だ。「過去の目標設定は(部門別に)ボトムアップで行い、経営陣が押し返して何度かやり取りする。そして1年経ったら検証。それで報酬を決めていた。こんなことを15年間もやっていると、普通にやっても達成できる目標が設定されるようになってしまう」と述べ、「これでは劣後してしまうと危機感を感じた」と語る。一方で、人事面の不公平感も調査から明るみとなり、「同じ部長職でも責任範囲が異なっても“グレード20”となる。同じグレードも米国と日本で責任範囲が違うし、給与体系もバラバラだった」と述べ、ジョブグレードの統一が必要と判断したという。結果的に部長職以上で、共有の報酬構造を実現したほか、地域間の水準格差を段階的に縮小するなどの手立てを講じている。

このほか部門間の“サイロ化”が進んだことで、開発本部、研究本部、技術本部など部門ごとに目標が設定され、「いつか全社の目標とグループの優先事項が狂ってくる。そこばかりやっているとボーナスをもらえるから、そこばかりに目が行ってしまう」と指摘。むしろ、「新薬の開発プロジェクトは開発本部以外に研究や技術本部も関わる。開発後期には営業部門も入って一大チームとなる」と述べ、むしろプロジェクトベースのクロスファンクションで部門横断の共有目標を設定することが望ましく、報酬体系も全社業績に応じて決めることに改める判断をしたと明かしてくれた。

◎営業部門 かつて地域・エリア重視、いまはグローバルでポートフォリオの統一戦略

営業部門にもこの考え方は生きている。安川社長は、過去は地域・エリアという概念があったために支店や営業所という単位で目標設定していたと説明。その上で、「いまはグローバルでポートフォリオが統一化されてきた。イクスタンジ、ゾスパタ、パドセフなどグローバルで統一の戦略を立て、国別に味付けして国ごとの販売戦略に落とし込む。昔のMRにように、どの地域の担当ではなく、プロダクトで持つようになる。むしろ本社の指示がダイレクトに届いて、フィードバックできるようになる。PDCAサイクルがもっと早く回るようになった」と語ってくれた。なお、4月からは全国119営業所も廃止され、国内のMRのエリア担当制を見直し、固形がん、血液がん、関節リウマチ、スペシャリティケアの4領域の製品担当制に改めたところだ。

◎イノベーティブな組織変革で安川社長が参考にした「3冊」の本

安川社長は今回のイノベーティブな組織変革を検討する際に参考とした3冊の本を紹介した。1冊目は、サフィ・バーコール著「LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする」。「アステラス製薬をイノベーティブな組織にしたかった」と語る安川社長の“ネタ本”だそうだ。

2冊目は、ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授著の「The Fearless Organization (恐れを知らない組織)」。安川社長も「もっと大きなイノベーティブになるために大事なもの」と表現するように、チームや組織における段階的フレームワークを紹介している。

3冊目は、Liz Wiseman著「Multipliers」。「すべての人の才能を開花させるのがボスの役割だ。それが分かると資源がないとは言わない。その精神が書いてある」-、と安川社長は解説してくれた。
 
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