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【有識者検討会・10月12日 議論その2 医薬品の安定供給と薬価差について】

公開日時 2022/10/13 06:30
厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授)が10月12日開かれた。この日は、これまでの意見及び論点案が事務局から示され、構成員によるディスカッションが行われた。本誌は、ディスカッション後半で議論した「医薬品の安定供給」と「薬価差」について発言要旨を公開する。

遠藤座長: それでは後半部分について、医薬品の安定供給と薬価差について議論する。薬価差についてどういう視点で議論すべきか、薬価差のあることが良いのか悪いのか、薬価差が発生するところで不均衡があって不平等が発生しているとか、そういう議論なのか、何かを歪めてしまっているのか、など色々な視点があると思う。安定供給はジェネリックの話が中心になるかと思いますけれども、何かご意見ございますか?坂巻構成員どうぞ。

坂巻構成員:また最初の発言で申し訳ございません。いま話がありましたように安定供給の資料をみると、ほとんどジェネリックだ。ただ実際に2020年のロードマップ検証事業調査でいわゆる供給不足なった品目について見ると、ジェネリックは55%、長期収載品が34%という数字になっている。つまり、安定供給に関しては、決してジェネリックだけの問題ではないってことだ。それが一つ。

それからジェネリックについて着目したときに現在の安定供給の問題ははっきり申し上げますとジェネリック企業のいわゆる法令違反だ。品質データの捏造であったり、手順書通りにやっていなかったり。この問題はジェネリック産業の問題であるかもしれないが、今の供給不足の問題と切り離して考える必要がある。

医薬品産業全体における供給不足、安定供給ということを考えた場合は、例えば日本全体でどのくらいの製造キャパシティを持っているのか、海外依存がどのくらいなのか、あるいはその原材料の供給について、海外でどのくらい依存しているのか、いわゆるサプライチェーンだ。こういったものもジェネリックだけではなくて、先発医薬品、あるいは長期収載品も含めて産業全体の問題として議論する必要があるのではないかということを最初に申し上げたい。

遠藤座長:とても重要な指摘だと思う。安定供給は当面の足下の課題はジェネリックだが、本質的には先発メーカーでも大きな問題ということなので、そこまで射程に入れた議論をすべきではないかということですね。ご検討いただければと思います。はい。それでは待たせいたしました三浦構成員どうぞ。

三浦構成員:医療用医薬品とは特殊な業界で、薬価があり、薬価差や薬価差益とよく言われるが、普通流通など普通の用語で考えると、この薬価差は小売マージンだ。小売が納入価で仕入れ、それを薬価で販売していくわけなので、そういった面では普通の企業と同様でOTCや普通の商品と全然変わらない。当然、仕入れをして、在庫管理をし、患者さんに医薬品を渡しているわけですから、小売りマージンが発生して当たり前ということになる。そこから活動費と利益が出る。

ポイントやっぱり額だと思う。額が多いか少ないかはすごく大きな問題だ。OTCという商品の場合にはプロモーション費用がものすごくかかる。その一方で医療用医薬品の場合は基本的に処方箋に基づいて、在庫管理や発注をしているわけだから、そういった意味では小売りマージンの額はすごく少なくて構わないわけだ。そういった意味でその額をどうするかっていうことが一つ大きなポイントだと思っている。ましてそれは乖離率という話になってくる。乖離率も特殊な言葉だと思うが、普通に考えるとやはり小売りマージン率だと思う。

小売りマージン率が直近は7.6%だったという話で、それが多いか少ないかという話だが、日薬連の資料でもあったが、ドイツ、フランスの例として卸価格の3%とか出荷額の5%とか、仮に4%とすると、乖離率が7.6%のうち4%は当然取るべき小売りマージンとなる。公定マージンについてはドイツ、フランスも十分に研究されたと思うので簡単にはいかない感じがする。

薬価差というのは基本的に流通ワーキング的な視点で考えると、小売りマージンをどうするかという話になる。52ページの資料に薬価差を生み出す原因とあるが、これもちょっと感覚が違う感じがする。市場原理に基づくというのが正しく、市場原理では薬局も医療機関も仕入れて在庫管理して渡す、という仕事をしているわけだが、当然小売りマージンも市場原理として普通のOTCなんかと同じように小売りマージンをとって当たり前だが、私の感覚だと、薬価差の差という感じがする。やっぱり交渉力がある20店舗のチェーン店はすごい安く買い叩くわけですよね。その一方で小さな薬局なんかの場合はなかなか交渉がないから、かなり高い値段で買わされることもあったりする。その辺が規模の問題で、規模の大きなチェーン店は薬価差をたくさん享受できる。規模の小さい薬局はあまり享受できない。

競争みたいな話がある。例えば東京など競合する卸が多いと、薬局としてはものすごく買い叩くことができる。一方で僻地の方かどうかわかりませんが流通卸が少ない地域であればそうでない。何か地域別でたくさん小売りマージンを取っている地域とそうでない地域があるような気がする。

(2)の方ですが、最近、流改懇でも問題になっているが、価格代行業者が買い叩くとか、あとベンチマーク企業が買い叩くという話がある。大手チェーンなどはベンチマークとか入れながら買い叩いてやっぱり薬価差が大きい。そういう考えると何か薬価差の差みたいなものがある。

卸について、東京はすごい物流費が安いけれども僻地に行くとすごく高くなるという話は、これ、卸のマージンの話ですね。薬価差は基本的に小売りマージンだと思っているので、薬価差とは基本的には関係のない話だ。むしろ卸が地域によって物流がすごく高くて困るという話だとしたら、メーカーに言うべき。基本的にはメーカーがリベート、アローアンスで卸に対応しているわけだから、物流費がかかって卸が困ると言ったら、物流アローアンスのようなものをメーカーが作って、何とかしてというのが良いのではないか。地域によって違うのは、卸のマージンの中で営業費用と利益をとる。営業費用の販管費のところがすごく地域によって大変だからといって、薬価差、小売りマージンとは違う話だと思った。

私も日薬連の資料などを読ませていただいたが、乖離率7.6%、調整幅2%をゼロにするという考え方については、薬局も医療機関も仕事をしているわけですから、それをゼロにする考え方はちょっと基本的によくないかなという感じがした。この辺はもう簡単にいかない話だと思う。特許品の薬価を下げないことで日本がイノベーティブで投資しやすい環境とする。そもそも一般商品やOTCは価格が変わらない。いろいろメーカーに聞くと、最終小売価格も基本的に変えていない。ただ、もちろんプロモーションで今年はこの商品、プロモーションでちょっと値引きしましょうということで最終小売価格が上がったり下がったりすることもあるが、一般のOTC等の普通の商品の場合には、1回価格を決めるとそれを維持するという状況だ。その意味でメーカーも卸も楽なんですね。1回決まったらそれをやればいいわけだ。しかし、日本の場合には2年に1回薬価下がると全部やり直さないと駄目で、これから中間年改定も入ってくると、膨大な無駄な仕事と言っては失礼ですが、すごい負担がかかってくる。それがやっぱり流通改善に生かされてないような感じがする。

薬局チェーンのほとんどは単品単価で、総価取引をやっているという話があった。単品単価をやっている所の話をうかがうと、ものすごく大変だと言う。本当にもう寝ずにやるみたいな話がある。それはなぜかというと、毎年改定されるからだ。基本的それはずっと続くわけだから、そういう風に考えると、薬価改定がこんな簡単にできないのはもちろんわかっているわけだが、価格を一定にする。基本的には小売りマージンをとって当たり前なのでゼロにするのはおかしいという考え方ですけれども、それに基づいて薬価がずっと維持されると、メーカーも卸も小売りも仕事が楽になるっていう話があり、何かそれも何か検討いただければと感じている。

遠藤座長:ありがとうございます。他に川原構成員どうぞ。

川原構成員:厚生労働省の皆様からの御丁寧な分析とご説明ありがとうございました。私から4点ほどちょっと質問させて頂きたい。まず一点目ですが、46ページの製造コストの部分。先ほど香取構成員もこの製造コストどうなんだろう、という話があった。これは、変動費と固定費の分析がされてるのかどうかというのがちょっと気になるところだ。設備投資するとそれは固定費というふうに分類されて、1剤作る事に増えていくコストについては、変動費という形で原則的な原価計算がされている。もし変動費を超える金額で入れるのであれば、要は固定費の回収がなされるというふうになるので、要は変動費を超える価格で売れていれば作った方がいいのではないかという経営判断も一方ではある。これをまたこの製造原価の中で固定費と変動費に分けたときに果たして薬価とか、もしくは納入価といったところと、どんな関係にあるのか教えていただきたい。それがまた経営にどういうふうに影響するかというふうなところが出てくるのではないのかなというふうに思っている。

2点目が52ページですが、薬価差についてという部分で少し思うところがある。前回の検討会のときにこれも香取先生が処方権というお話をされた。イギリスにおいては医療機関に処方権があり、薬局には処方権がなく、それがどういうふうに影響を及ぼしているんだという話があったが、これにつきましても留意点のところで医療機関、薬局の法人形態、非営利と営利がどう影響を及ぼしているのかというお話ありましたけれども、この処方権がまたこの薬価差に対してどのような影響を及ぼしているのかなかなか難しい分析になろうかと思う。どのような影響を及ぼしているかについて少し検討していただければなと思う。

3点目が、51ページの薬価差の主な意見等のところの三つ目のポチのところに「過度な交渉が行われていることで」とある。やはり取引慣行の中で過度な交渉っていうのはなかなか継続的な取引で考えたときには、本来あるべき姿ではないんだろうと思っている。これが実際その卸が大手の調剤薬局や大手の病院と交渉しているときに、こういった過度な交渉があるかどうか。なかなか過度な交渉って言っても難しいと思うけれども、実際に卸がもうこれでは取引できませんと、もう別の卸と取引してくださいといった事例が営業現場であるかどうかというあたりは少し知りたいところ。

卸においても大手の売上先を確保したいと思いますので拒否権というのはなかなか発動できないと思うが、実際にその拒否権を発動する事例があるのかどうかといったあたり、そこら辺がそこの過度な交渉があるのかどうかというふうなところにつながるのかではないかといったところが質問だ。

それとあと最後にもう一点だけ。医療機関の経営原資と52ページにある。医療経済実態調査の一般病院の集計値においては医薬品費の構成比率が大体13%弱で、乖離率は8%弱というふうに考えると13%×8%で、ざっくり言うと1%。売り上げの1%が薬価差ではないかというふうに考えることができる。期間をどうとるかで多少違うとは思いますけれども、国公立を含む全体の損益差額病院においてはマイナス7%ですとか、マイナス3%のときもあったりというところで医療法人においても1%から2%の損益差額しかないという中でこの薬価差はざっくりで1%というお話をさせていただきましたけれども、この1%というものがなくなった場合には、この医療病院における損益差額もゼロとなってしまうか、もしくは1%半減してしまう。あと調剤薬局でも同じように計算すると損益差額に近い金額全てではないですが近い金額が薬価差というふうにざっくり計算するとなるというふうなところなので、経営原資になっているというのはおそらく間違いのないところだと思う。

これを全てなくしてしまった場合には、医療機関、調剤薬局への多大な経営に対する影響があるというふうなところは認識しておいていただきたいなと思って発言をさせていただきます。以上でございます。

遠藤座長:はい、ありがとうございました。重要な経営原資になっているという、実態を踏まえたご発言でありました。それから交渉の実態について「過度な」というようなものがどういうものなのかっていうことの実態がわかれば教えて欲しいということですね。

それから最初におっしゃられたのは原価を割った設計になっているといっても、固定費と変動費を分けているのかという話。総コストになってしまうと割れても変動費を上回っていれば、いわゆる貢献利益がありますから少しずつ固定費をカバーできるという形になるはずなので、そこら辺はどうなっているのかということを調べてほしいと重要な御指摘だと思います。

ちょっと理解できなかったのは、処方元と薬価差の関係というのはどういう意味になるか。事務局が何か材料を揃えなければいけないようなので、少しわかりやすく説明してください。

香取構成員:議論を聞いていると、いまの薬価制度を前提に例えば薬価差がどうかとかという話をしているが、この意見のところに書かれていることは前回私が申し上げたことだが、そもそも薬価差が何であるかというと、公定価格を決めるから発生する。公定価格を決めなければ別に薬価差は発生しない。先ほど三浦先生がおっしゃったように、あらゆる商品は同じ価格で取引はされていない。相手によっても違う、品目によっても違う、それぞれみんな違っていて、価格のバラ付け方も全部違っている。

普通の商品ではその差はどうなるかというと、小売価格に反映される。例えばマージン15%でも7%でも、10%でもいいが、それを取って、価格を決めて小売店が商品価格に反映される。そうであれば別に何の問題もないが、それを公定価格という形で価格を決めるので、薬価差が生まれるということ。そもそも薬価差が良いのか悪いのかという議論は私は意味がないと思っている。問題にするなら公定価格やめればいいので、それこそ納入価で請求をすれば薬価差はなくなる。一方で、いまお話があった経営原資云々の話は、本来診療報酬で手当すべきものを薬価差という形で薬価に押し付けていると、そういうことができるような価格設定の仕方をしているがゆえに、現実問題として発生している。

なので、繰り返し薬価差を削って診療報酬の改定をやってきて、一応ここまで薬価差が縮まったというのがおそらくこれまでの歴史だと思う。それでは診療報酬が例えば潤沢に提供されているとなったら、経営原資として薬価差を追求するという行動をしないかといえば、当然取れるものは取りますから、そういう交渉が行われる。なぜ行われるかといえば、公定価格を作ることによって、そこに差が出るっていう構造を制度的に認めている。あるいはそういうことが成るような薬価をある意味では制度として認めているということになるので、そういう意味で言うと公定価格を決めていることから発生している問題だと僕は理解すべきだと思う。薬価差は確かに実態としてマージンや経営原資などの議論があるが、それはそれぞれが小売価格にきちんと反映されているのであればそうだが、おそらくそうではない。逆に言えば、その公定価格の決め方が卸のマージンであるとか、半分販促の管理価格であるとかいうものを十分保証する価格になっているかどうか。そういう切り口になるんだろうと思う。

その意味で言うと、ここで書いてあることで言えば、その取引条件の差によって価格のばらつきがあることは当然なわけだから、そこから仮に差が出る、しかもその差の出方は全部違うわけだ。それぞれの卸によっても違う、品目によっても違う、場所によっても全部違う。違っているものを違った、と認めるってことをしないのが公定価格なので、そこは根本的にそこに問題があるっていうことはまず基本的に考えた方がいいかとその構造があるがゆえに追求するっていう取引構造が買い手側に発生するという構造になっている。その構造的な問題があるっていうことを頭に置いて議論をすべきではないかというのが一点。

それからもう一点は55ページの表ですが、一つの公定価格はある意味決めざるを得ないということ。いまの考え方からすると、調整幅は2%になっているが、新薬創出等加算のときに新薬が平均的な乖離幅に対して大きいか小さいかっていうことで線引きをするという話があったが、それこそ、品目ごと、取引ごと、薬効群ごとにこの絵を書いたら絶対こうはなってないはずだ。個々に違うということもあるが、例えば他の薬効群と比べれば、その薬効群のボリュームや剤形であるとか、それこそ大手の医療機関が使うものなのか、がんの薬みたいな特定の病院は使わない薬剤なのか、あまねく医療費がみんな使っているのか、取引条件、販売いろいろによって全部違っているので、このグラフは違っているはずだ。

そうすると、価格のばらつきというのは品目によっても、後の方で新薬とその後発品でその乖離幅は違うと書いてあるが、薬効群別であればもっとバラついているはずだ。それを全部まとめて平均2%で切っているわけだ。それは、ものすごく不合理だ。

仮にこういう形で乖離幅を決めるにしても、すごく不合理なことをやっているんじゃないか。結局、薬がどうであろうとそれこそ全部まとめて何%カットするという薬価改定をするから、何が起こるかっていうと、買う側もまとめて買うから総価とこういう取引コードを誘引しているんじゃないかと僕は思う。すごく構造的な問題が起こっているということを頭に置いて議論する必要があるんじゃないか。その意味でいうと、そもそも公定価格を決めているということに無理があることを頭に置いた上でこの乖離幅なり調整幅っていうのをどうすれば合理的なものにできるかというふうに考えないといけないんじゃないか。

もう一点は先ほど三浦先生のおっしゃったことで、薬のような安定的・長期的に供給されなければいけないものについて、取引条件が変わらない、経済状況は変わらないのに、薬価を改定するというただそれだけの理由で、日本中の卸が日本中の10万を超える医療機関と契約のやり直しをすると、これって壮大な社会的な無駄をしていることになるんじゃないかと僕は思う。何のためにやっているのか。もしかしたらある卸は薬価通り売っているのかもしれない。それぞれの人がどういう取引をしているかに関係なく、全部やり直しをさせると結構このことがそれぞれいろいろ議論はあるが、やはり薬の安定供給であるとか製造の安定性とかそのまま値決めのことも含めて市場の安定性をすごく阻害しているということになっているということはやっぱりちょっと考えた方がいいんじゃないかと。

3点目は、「処方権」の話だ。質問は、確かクレコンの木村さんの資料の中に、処方権のあるなしで、算定の考え方が違っている傾向があるというコメントがあったので、その中身はどういう意味か、ということを聞いた。ここから先は私の意見だが、DPCになると薬価差はなくなってしまう。そもそも医療費の中に全部入っちゃうから。つまり医療機関が行っている薬の処方というのは、医療行為の一環として行われていて、それは診療報酬でどういう評価をするかによって違ってくる。それこそ完全にそのマルメてしまえば、そもそも薬価はありますけど薬価差って概念はなくなるわけですね。実際の納入価でしかしか存在しないことになるので。他方で処方というのは医療行為の一環として行われている。薬局の販売はどうかって言うと文字通り薬の販売をしているわけだ。別途処方料がついている。考えると、やっぱり処方権があって、ある人たちが薬を処方して提供者に渡しているのと、薬局が渡しているのとでは、その医療行為として違うものなのではないか。しかも最終的な消費者は患者であり、お金を払っているのは保険者なので、そういう意味で言えば、医療機関や薬局チェーンは中間的に薬を扱ってる人ってことなると思う。その観点からすると、言ってみれば薬価は定価が決まっている商品だ。そう考えると、再販商品に似ているんじゃないかと思い始めて、もしそうであれば、途中の流通も含めて価格指示みたいなことについてもたぶん全然考え方が違ってくるだろうし、マージンの公定っていうのも、最終価格を定価として公定している商品であるとすれば、それは公定マージンできちんと流通過程のフィーをちゃんと保証するという発想というのは出てくるので、ちょっとやっぱり少しいまの制度を前提にしないで、少し別の角度からちょっと1から考えるっていうのはやっぱりあった方がいいんじゃないかと。そのこともあって処方権のあるなしで、考え方が日本は全く全部同じだが、諸外国と同じなのか違うのかを知りたいと思っておうかがいをした。

小黒構成員:香取構成員が言うことはよくわかるが、本質的な問題は薬価差の差益の総額がどう配分されているかという資料が抜けている。それを把握するのは、相当難しいと思う。川原構成員が言ったことも結構気をつけなきゃいけないと思うのは、確かに病院経営にもかなり影響を与える可能性もあるので、その辺を見なければいけないが、エビデンスとしてそもそもその薬価差益全体がどう配分されているかという資料がない。なので、議論できないということかなと。ただ、私個人的には出すと結構ハレーションが発生すると思うので、先ほどから言っていますが、出さない方がいいと思います。しかし、委員間では少なくともその全体像について把握しないと本当の議論はできないかなと思う。

三村構成員:いまの議論にも関係するが、基本的にいまの薬価制度というのは元々1991年にどちらかと言えば大型の新薬が中心だということを前提として、ある意味での有効性があったという感じがする。それはもう先ほどお話しましたように、新薬創出等加算や高価な新薬、あるいは後発品であったりと、完全に個々の商品特性が分かれているにもかかわらず、実は一律の薬価制度を応用してきた。

その過程においては、先ほどお話がありましたように、全ての品目について全て薬価調査をし、薬価改定をするということを繰り返していく。そして基本的にそれがおそらく、今回どんな薬価制度が構築されるかということは流通に大きな影響与えると思う。逆にはそろそろやるべきだと思う。一番大きな取引慣行の問題はやっぱり総価取引だ。なんと言っても総価取引を改善させることができない、それは理屈としては、先ほどのように一律の平均乖離率という形で全部総合化される形あって結果として、一時的なベンチマークの基準が使われるという、その取引を許容してきたということだと思う。ただ、いまのように薬価差がどう発生するかということを突き詰めていくと、非常に複雑で難しいかもしれない。むしろ私の印象としては、卸連や日薬連から提案があったが、基本的にはこれだけ商品特性も違うのであれば、薬をカテゴライズして分けてみたらいかがですか、と。それから変えなくても良い薬価、特別な言い方しますと、例えば先ほどの安定確保医薬品とか非常に供給者の不安視する医薬品についていちいち薬価調査をしてまた薬価改定するのかっていうのはもうあり得ないと、お話のように購入価償還でもいいかもしれないし、もうそれは、ある意味でも完全に現物を本当に供給するという感じでもいいのではないか。だからあるいい一番大きいのは現状の中で起こっている混沌としたものを、どうなんだろうかって複雑を分析するよりも、薬価制度そのものが、すでに川上の段階からこれだけ特殊さがありますっていうことを言っているわけですから、それを切り分けた形の中で、それではその取引の中できちんとこういう形で取引してほしいと。

私は流改懇の議論に続けていくならば、少なくとも新薬とか特許権については単品単価交渉が原則であると考えており、それも厳しく処理を求める必要があると考えている。ただし、
他については少しまだ緩やかにしていいかもしれませんが、安定確保医薬品、あるいは市場に特別に欠品問題を生じさせた医薬品に関しては、完全に薬価を基本的に調査して、あるいは先ほど話がありましたようにサプライチェーンの調査をして問題があるということ認識したうえで、薬価調査の対象から外す。そういうことをしてくださる過程のなかで、少しずつ整理ができていくような感じがする。ですから、まずいまの段階で薬価差がどこにどういう処理しているかということを分析するよりも、もっと透明度の高い価格調査、価格取引をやってほしいということをきちんと見せていくことから全てをスタートするかなという感じがしております。

それでもう一つ先ほどの論点として少し見ていくことであるわけですけれども、安定供給について42ページのところでこれを書いていただいています。供給リスクを評価し、どのような体質かということですが、その評価のなかで、ここ2年ほど厚労省が大変苦労されました供給不足スキームの実効性を持たせるためにどのような問題があったか、これに日薬連からの例えば提案と提言にあったと思うが、それを前提として、供給不足スキーム、安定供給医薬品を含めて作られたわけだが、すごく大きな意味を持っていると思う。その過程のなかで先ほどの話にあったが、ある程度プラットフォームをきちんと作る。それから情報共有とか必要な情報が非常に一元的に捉える仕組みを作るという、それも一緒に制度を設計してっていう形を入れていただくということで、この論点の中に入れるかどうかという形であるかもしれないが、そのことについてもきちんと議論し、そしてそれを制度設計に入れていくというような、そういう取り上げ方をしていただくといいのかなというふうに思う。

遠藤座長:重要なご指摘ありがとうございました。医薬品のタイプもどんどん変わっているのに基本的に同じような使い方をしてきているということは、いろんな視点で言えるわけですよね。重要なご指摘だと思います。堀構成員が手を挙げておられます。

堀構成員:既に多くの委員の方が言っていることに近いので短くさせていただきます。先ほど最初にお話させていただきましたが、後発品と先発品あるいはイノベーティブな薬品が本当に同じなのか、流通のあり方が一緒なのか、あるいは医師が医療と一体的な形でサービスを提供する薬と、そうではなくて、外来で薬だけを処方されて調剤薬局ですというものがそもそも本当に同じ薬価制度の中で、いまは位置づけられているが、それがどうなのか。モダリティが変わってくるなかで検討する論点案のところに、いまの薬価制度を前提に薬価改定のあり方についてどう考えるか、薬価差のとこでも62ページにもなっているが、そもそも薬価制度そのものがどうなのかということも考えていくべきではないかと思う。つまり、公定薬価で対象とするものと、そうではないものという考え方もあるだろう。DPCのように診療とセットの場合と外来やプライマリケアで中心に行われるものというのは、本来違う慣行もあるのではないかと思う。その辺を論点の案としては決着が簡単につく問題ではないと思うが、論点として挙げてもいいのではないか。

もう一点だけ。調整率2%のところだが、先ほど香取委員があの不合理だと話をされていたが何故2%でずっと維持されているのかという、そこの部分をもう少し資料としていただけるといいと思っている。

遠藤座長:他にございますか。

坂巻構成員:先ほど香取構成員から、前回のヒアリングでクレコンの木村さんの資料のなかで処方権の話があった。私も海外制度を調べているが、おそらく病院市場と院外処方とは違うという話だ。欧州の場合は院外処方について公定薬価が決まっている。病院市場に関しては基本的に公定価格の薬価とか医薬品公定価格はないということだ。そこが分かりにくかったと感じている。院外処方に関しては公定の医薬品価格であり、その工場出荷価格、卸マージン、薬局マージンもそれぞれ公定になっている。

薬価差のことについてもう少し私の意見を申し上げる。大きく分けると、先ほど薬価差を現行制度の流れで考えることに意味があるのかという話があったが、大きく分けると、「薬価差否定論」と「薬価差肯定論」があるのだろうと思う。ヨーロッパの制度を見ると、薬価差否定論ではないかと思う。やはり薬で儲けるっていうことは好ましくない。そうは言ってもその薬価差が発生するこれらのヨーロッパの国々でもあるわけだが、こういう場合には薬価差が発生した場合には、そこはなるべく少なくするか、あるいは実際に発生した場合でも、それは返せと。ある団体が提案されているが、クローバック方式みたいな形で金を返す。つまり基本的に薬で儲けないということが前提であって、だからこそ医薬分業が定着しているという部分もある。

ちょっと余計なことを言えば、国が薬局を国営で運営するってやり方、これは実際にスウェーデンでは数年前まで仕組みだったわけですね。これは薬価差否定論という立場。一方でやはり薬価差容認論もある。薬価差の根拠として、1990年代ぐらいに議論されたものだが、経営原資論、コスト論、取引条件論、薬価マージン論といったものが提示されていた。いずれにしても、三浦構成員が指摘された部分だと思いますが、どこにその根拠があるとか、提言してあるんだったらおそらくこれは本来、診療報酬代替論なんだと思う。損耗廃棄が発生するのであれば、そのデータはきちんと出すべきだ。

薬価差は誰のものだという議論があったが、元々は保険料・税金なので国民のものだと思う。国民のいないところで薬価差をどう取り合うという議論はあまり品のいい議論ではない。おそらく薬価差肯定と否定のちょうど中間に妥協策があるわけだが、妥協策の議論としては、きちんとしたデータを基づく議論が必要だと思う。

もう一点だけ。この薬価差に基づいて市場実勢価に基づいて薬価改定されるわけだが、一番重要なのは、この市場実勢価でジェネリック企業はもちろん、新薬企業の経営が成り立つのか、いつまでもつのかというとこだと思う。最初に書いてあったが、そのことを前提にしてそれぞれジェネリックメーカーの原価の内訳だとかっていうところを見ていく必要があると思う。私はその薬価差のところから派生してジェネリックメーカーが生き残っていけるのか、毎年薬価改定がどうあるべきなのかっていうところをもう1回議論していただきたいというふうに思う。以上でございます。

遠藤座長:ありがとうございました。では、三浦構成員お願いいたします。

三浦構成員:坂巻構成員が言った、良いか悪いかという話で、数を減らさないと駄目だっていう感じはしている。香取構成員がまとめていただいたように、やはり公定価格があるわけで、かなり大きな小売りマージンを取ってしまうので、それが問題で、どうするかという話だ。私は、実際小売りマージンだと思う。たぶんNPhAだと思うのですが、薬価差で利益と、たぶん営業費用だと思うのでそういうのを調べていただければと思う。

先ほどやっぱ三村構成員が言ったように、やはり流通に関しては総価取引が一番大きな問題だ。流通改善しない。先ほど皆さんからありましたように、多分かなり大きな薬価差、小売りマージンをとっている可能性があるので、そこを総価でなくて単品単価にすべきだ。ある薬局チェーンは、ほとんど総価が多いが、単品単価でやっている。それは小売りマージンをとっていて、それをちゃんと自分の営業活動費にしているわけなので、そういうふうに考えると価格代行業者も色々あるが、そこも総価が多い。実際多くのマージンを取られているわけですからやっぱり単品単価で情報システム作っていくとか、何かそういうふうなことを考える必要がありまして、そのためには何かやはり資料としてなかなか出さない方がいいという話もあるわけだが、公にしないまでも、何かその辺がどういうふうに使われているかみたいな、何かデータがあるとなんか嬉しいと思っている。

遠藤座長:ありがとうございました。ご意見として承りました。はい。それでは成川構成員、それから香取構成員の順番でお願いします。

成川構成員:ジェネリックについて2点コメント、質問する。一つは短期的な話で、今回の資料の49ページに足下の物価高騰という論点も書いていて、製造原価率が特に高いジェネリックについては、何か少し短期的なことも考えないといけないかなと思っている。
6ページでは不採算品目がだいぶあるという話がある。最初にグラフを見たときは非常に驚いた。ただ、もう少し詳しく調べないといけないと思っていて、一つは香取構成員も言っていましたが、これは大手の1社データなので、複数の会社の事情を把握しておく必要あるだろうと考えている。これが一つ。

あとはやはり不採算と言ってもジェネリックでもどんな医薬品が不採算なのか。もし何か特徴があるのか、それがもし基礎的医薬品とか安定確保医薬品にすごく多いとか、もう少し詳しいデータがあったら示していただきたい。ただ、今回の薬価改定、中間年改定で、やはりそこは何かやはり対応する必要があるのではないかなということがコメントの一つであります。

もう一つは別の視点ですが、共同開発について関心を持っている。元々この共同開発というのは新薬の開発について導入された制度で、開発リスクや経済的な負担をシェアする。あるいはそのノウハウをお互い共有するという目的で共同開発という制度が認められた。これがジェネリックに拡大されたのが2015年ぐらいだと、その時の経緯はよく覚えてないんですけれど、それまで新薬でしか共同開発ができなかったのが後発品もできるようになった。いい意味での共同開発もあるが、いろんな方の話を聞くと単なる品揃えといいますか、そういうすごく短期的な目的で共同開発をやっているケースもある。それが結果的に品目数の増加に繋がって、前回のヒアリングでも、回答ありましたけど、卸の物理的な負担につながっていたり、過当競争を煽ったり、あるいは生産効率を下げるとかもある。いろんなところで品目との増加というのが影響を与えているというふうなことを思っている。坂巻構成員も数年前にご提案されていたと思うんですけど、要するに、どの品目が共同開発か外から分からないのは問題だというふうに思っている。また、同じところが作っているんだけど価格が違ったりするケースは多分あると思う。そのあたりは何か少し工夫するという必要は将来的にあるんじゃないかなという問題意識を持っている。

遠藤座長:もしあの事務局用意することができるようなものもあれば、いただければと思います。はい香取構成員。

香取構成員:さっき薬価差の帰属先って話があったが、薬価差の帰属先は極めて明らかではないかと思う。薬価差の定義は何でしょうか? 納入価と請求の差ですよね。そこは誰に帰属しているか。薬局という医療機関ではないかと思います。問題は卸の立場からすれば、例えば納入価とあるいは仕切価あるいはいろんな取引状況の差コストが反映させた形で、納入価に反映させることができてない。マージンがちゃんと取れて言えばねっていう話なのであって、薬価差が誰に帰属しているかという議論を言えばそういう話だと僕は思います。それをどう説明付けるかっていう理屈を言っている。本質的にはそういうことでもう一度申し上げますけど、何でその先の議論になるかといえば公定価格を決めるからで、これがなければ、別に殺しは自分のマージンを乗っけて医療機関に納入すればいいし、医療機関なり薬局には何がしかのコストがあるんであれば、それを乗っけて請求すればいい。医療機関とか薬局のマージンとか経営原資を考えないのであれば、要は納入価で償還すれば薬価差が消えるんですよ。現にDPCはそうなるわけだから。これが多分原点だと思う。それでも何がしかの形で公定価格を決めなければいけない、保険の側からすればそうなるので、そこからできている矛盾をどういうふうに解消するかというふう多分考えないといけないんじゃないかというふうに思う。これが一点。

それとちょっと論点が変わるんですが、後発品の話です。後発品メーカーの話ですけど、後発品メーカーの製造工程がありましたよね。39ページ。安定供給ができなかったら出荷調整するなんですかっていう質問があったときに、一つのラインでいろんなものを作っているからこういうことが起こるという話があって、それはそのときの説明で取っ替え引っ替え同じラインでいろんなものを作るので、途中で洗浄工程があり、稼働している時間が極めて短くなる。これってファクトかといえば、そうなんだと思うが、これってこのままでいいんですかっていうのが私の疑問。つまり、そもそも、これから例えばバイオになったときに、これって成り立たなくなりますよね。どんどんバイオの消費が増えてきたときに、こういう製造モデルっていうのを当局として容認するのか。このままでいいと考えるのかということにもなるし、特許切れの医薬品は儲かるので、それを言えば追っかけているわけですよね。つまり言葉悪いですけど取っ替え引っ替えそうやって作っている薬を変えてって、商売をしていると、そういうビジネスモデルだと。なので、たくさんの生産ラインを持って安定的に流すのでなく、ラインは少なくして、取っ替え引っ替え作るっていうモデルになっていている。大手メーカーもそうだし、中小メーカーにとってもっとそうだと。
そういう会社が何百社もあるとかこういう世界ですよね。安定供給のことを考えたときに産業政策的な所で考えたときにそういう製造モデルでいわば2桁品目を作っている会社がいっぱいあって、全体として供給力がこれくらいって議論しているんですけど果たしてそれでいいのか?それぞれ経営の判断があるのでそうなんでしょうけども、安定供給であるとかGMP違反の話もあったが、そういう視点から考えるとこのままでいいのか。薬価の問題とかじゃなく、や流通とか安定供給の話から産業政策っていうコンテクストでいえば、それはちょっと考えないといけないんじゃないかという気がする。コメントしておく。

遠藤座長:ありがとうございました。何かコメントありますか。

城審議官:一言だけ申し上げずそこも含めてビジネスモデルのあり方というのをどうしてほしいかというのをちゃんと我々出していくというのが必要になってくると思っています。先ほどの特許切れに集中するという話もそうですし、こういう多品種少量生産をぐるぐる回していくビジネスモデルとしてどうかというご議論をいただければと思っております。

遠藤座長:他にどなたかございますか。はい。それでは菅原構成員お願い致します。

菅原構成員:多岐にわたる論点をきれいにまとめていただき、事務局には感謝申し上げる。幅広な論点がたくさんあるのでなかなか難しいなどお話をうかがっていた。まず総論のところであまり細かい話は言えないが、医療費と薬剤師の割合11枚目、12枚目のスライドだが、医療費、薬剤費の定義、作り方が11枚目と12枚目で若干違っているので一様に話をするのは難しいと思ったが、昔から素朴に思うのは、わが国の薬剤比率は医療費の中で相対的に高いわけで、そういう意味では医療費財源の中で薬剤に振っている割合、他の国に比べて安定的に11枚目のスライドでは21%から22%を振っている。他の国が17%、18%、ドイツ、フランス、イギリスなどもずっと低い。言い方は悪いが、日本の薬剤マーケットは伸びていなくて大変だという話をしているが、医療費の総額の中で見る薬剤費に対する案分割合は他の国よりも高いわけで、医療費そのものが実際伸びているわけで逆に言うと、日本に他の国に比べて新薬の到達が遅れるのか、危機的な状況等にあるのか、トータルの資源配分の枠組みで言うと、なかで起こっている薬剤の使い方、中でつけているアロケーションのあり方がおかしいのではないかと言うことが言えるのではないかと思う。どこがおかしいのかというのが、いまのこの図だけではわからない。他の国と比べて薬剤費が全体の中で高い、その中身の中でどこがトータルの薬剤費を膨らませているのかということをもう少し掘り下げられているといいなと思った。それが第一点目だ。

そこがわかると、次に問題意識の中で、長期収載品の割合が出ている。他の先発品メーカー、PhRMA、EFPIAのようなものでも実際には20%位あるという話がある。おそらく画期的な新薬や先発品メーカーの中にも、わが国では20%位は長期収載品頼らないと、やっていけないような構造になっているということも示されていたというふうに思う。そういった意味では、このあたり、他の国の中でも長期収載品に依存しないとやっていけないような、どういう構成になっているかということもわかるといいなと思った。それと同時に、先発品、画期的な新薬のピーク時の売上高が何年目にきていて、どれぐらいの期間で回収できているかということがある程度見えてこないと、長期収載品依存というものを是正して、なるべくアロケーションを前倒ししていくという話にはつながっていかないのかなと思う。もう少し深掘りされると議論がやりやすいなと思った。それが二点目だ。

細かい話は流通など色々あるが、最後の薬価差の論点は非常に重い話で、私自身薬価の問題というのは、川原先生が非常に踏み込んだ発言をされたと思うが、医療機関に一定程度の経営原資になっているということで、マイクロな話の薬価差益の問題、ここの医療機関や調剤薬局のなかで明らかに薬価差益が一定の役割を果たしているということは事実だと思う。それと同時に、もう少しマクロに考えると、薬価差益を追求するなかで次回の改定で改定財源が生まれてきて、改定財源を原資として、これは医療機関だけではないが、他の社会保障財源の手当てになっているということは事実だ。二重になっているということだ。

ちょっと穿った見方をすると、医療機関や保険薬局が自らの差益を追求することによって、新たなマクロな改定財源が大きくなって、その改定財源が大きくなることで診療報酬にさらに財源が回っていくというような構造になっているということは事実だ。基本的にはこの構造を放っておくと、ある意味では薬価は循環的に低下せざるを得ない。利益の追求の方向のベクトルが合っているのでそういう方向にしかベクトルが働かないという構造的な問題があると思う。医療機関が悪いとか、保険薬局が悪いとかいう話ではなくて、当然の経済原理でこういう仕組みで、そのようになるのは当たり前のことだ。ミッシングリンクを外すのであればそれに対する手当をするという話になるが、非常に微妙な問題であるのはわかるが、今最初に言ったように、どれくらいのものが、医療機関や保険薬局の形を支えるための原資になっているかというきちんとしたものが出ていないし、その原資になったものがどこに手当てをされているかということも、小黒先生も指摘されていたが、出てこない限りは、薬価制度の抜本改革を議論するのは難しいというのが私の個人的な見解だ。非常に難しい問題だという事は理解しているが、そのあたりの臭いだけでもと言ったら変だが、こういう状況だということがわかることで、もう少し議論が進みやすくなるのかなと考えた。

遠藤座長:重要なご指摘だと思う。事務局には必要な資料等々があれば、ということであったので対応していただければと思う。

芦田構成員:もしあれば、ということで事務局に資料をお願いしたいものがある。先ほど香取先生のご発言のなかに、後発品メーカーのビジネスモデルの話も出てきた。ヒアリングのなかでも、後発品の品目数が多いというような話が何回か出てきたかと思うが、確かに1成分あたりの品目数というのは何かデータがあればいいなと思った。もちろん各成分で一定の品目数があるということは必要だと思うが、必要以上にあることによって全体の品目数が増えているということが後発品メーカー自身や卸、さらに言えば薬局の在庫管理の圧迫になっているという可能性もある。何が適正かと言う議論は難しいかと思うが、1成分当たりどの程度の品目数があるかということが適正なのかということもわかればいいかなと思う。

もう一つ、菅原先生のご発言の中にPhRMAやEFPIAも長期収載品に依存しているのではないかというようなご発言があった。おそらく中身を見ていたほうがいいかなと思うのは、長期収載品といっても、低分子化合物なのか、バイオ薬品なのかと。これによってもかなり違うのかなと思っている。ですので、わかれば、長期収載品の内訳まで踏み込んでデータがあればいいかなと思う。

遠藤座長:どこまで可能かわからないが、調べていただければと思う。
成川構成員:事務局に色々お願いして申し訳ないが、いま長期収載品の話が出たので、この割合が国際的に比較できるような情報があれば見てみたい。お願いしたい。

遠藤座長:首をかしげているが、努力はするようだ。

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