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キョーリン製薬HD ベオーバ、OAB市場の新患処方シェアで1位 22年度売上141億円の達成に自信

公開日時 2022/11/11 04:51
キョーリン製薬ホールディングスの荻原豊社長は11月10日、2023年3月期(22年度)第2四半期決算会見にのぞみ、主力の過活動膀胱(OAB)治療薬・ベオーバがOAB市場における新規患者処方獲得シェアで9月に1位になったと報告した。8月に限定出荷を解除し、一気に処方が動いた。ただ、同社の想定以上に市中在庫があったため、同剤の22年度上期売上は55億円で、計画には9億円未達だった。それでも新患シェアは1位となり、OAB患者は冬に増えるため、通期計画の141億円(前年同期比64.4%増)は据え置いた。

荻原社長は、ベオーバの現状について、▽採用軒数は計画通り拡大▽9月に新患シェアで1位を達成▽売上予想のシェア獲得は想定通り進捗した――と報告した。22年4月の薬価改定で4.57%の薬価引下げを受けたが、同剤のOAB市場における売上シェアは22年度上期に14.8%(前年同期比5.6ポイント増)となり、9月単月では16.4%に拡大した。通期で18%を目指す。荻原社長は、新患シェアが伸びていることから市中在庫も解消されるとして、ベオーバの通期計画の達成に自信をみせた。そして「将来のOAB市場シェアナンバー1を目指す」と改めて表明した。

◎22年度上期 国内新医薬品1.9%減収 後発品4.2%増収、キプレスAG好調

22年度上期売上は491億円で前年同期と横ばいだった。内訳は国内新医薬品が327億円(前年同期比1.9%減)、後発医薬品が161億円(4.2%増)――。国内新医薬品は、ベオーバや抗アレルギー薬・デザレックスなどの主力品は伸長したが、薬価改定や後発品影響による長期収載品の気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬・キプレスなどの減収を吸収できなかった。杏林製薬として8%台の薬価改定影響があった。

後発品事業は、キプレスのオーソライズドジェネリック(AG)がけん引した。キプレスAGの22年度上期売上は54億円(5.4%増)で、期初計画から8億円積み増した。同社は“後発品市場内でのAGシェア50%以上の維持”を目標に掲げており、キプレスAGの後発品市場内でのシェアは66%、ナゾネックスAGは80.8%、ウリトスAGは60.5%――だった。

◎慢性咳嗽薬・リフヌア 呼吸器専門医を中心に情報活動

4月に発売した世界初の難治性慢性咳嗽治療薬・リフヌアの上期売上は1億円、通期では5億円を目指す。臨床試験では、患者の65.4%(447/683例)に味覚異常の副作用が確認されている。荻原社長は、呼吸器専門医を中心に製品特性の理解促進を図る考えを示すとともに、「副作用のリスクよりもベネフィットが上回っていることを訴求し、売上伸長を目指したい。世界初の医薬品ということで、当初は慎重になりながらも、堅実に進めたい」と述べた。大学病院やエリア基幹病院への採用は計画通りで、その後、開業医市場に展開する方針。

22年度上期の営業利益は8億円だった。前年同期は1億円の営業損失だったため、今期は9億円増とした。薬価改定影響や後発品の売上増加で売上原価率は1.6ポイント上昇したが、前年計上した導入品に係る契約一時金の反動減や他社へのロイヤルティ支払いの減少など主に一般経費の減少により販管費(研究開発費除く)を18億円減とし、黒字化した。

◎耳鼻科領域の治療用アプリ開発に参入 「治療薬に限らず、様々なソリューションを提供」

同社は11月9日に、デジタル医療を推進する研究開発型企業のサスメド社と、耳鼻科領域における治療用アプリ(プログラム医療機器)の共同研究開発及び販売に関する契約を締結したと発表した。サスメドが持つアプリ開発のノウハウやPMDAとの交渉経験と、杏林製薬が強みとする耳鼻科領域での人的ネットワークや臨床試験の経験・ノウハウを融合させて耳鼻科領域の治療用アプリを開発し、保険適用を目指す。杏林製薬が治療用アプリに参入するのは今回が初めて。

契約に基づき、サスメドに契約一時金1億円と開発の進捗に応じたマイルストン(現時点判明分で6億円)のほか、上市後には売上高に応じた一定率のロイヤルティを支払う。

荻原社長は会見で、耳鼻科領域のアンメットメディカルニーズに対して、「治療薬に限らず、様々なソリューションを提供することで苦痛を緩和する新たな方策として、デジタル治療も進めることにした」と述べた。治療用アプリで手掛ける具体的な疾患や開発スケジュールは非開示としたが、「耳鼻科における主要な疾患で、皆さんが困っている疾患に対する治療用アプリを開発する」と意欲を示した。

【22年度上期の連結業績(前年度比) 22年度予想(前年度比)】
売上高  490億9300万円(0.0%) 1120億円(6.1%増)
営業利益  7億7700万円(-) 55億円(9.8%増)
親会社帰属純利益 12億4200万円(921.1%増) 45億円(14.4%増)

【22年度上期の国内主要製品売上高(前年度実績) 22年度予想、億円】
フルティフォーム 57(63) 120
デザレックス 30(26) 80
ベオーバ 55(43) 141
ラスビック 10(8) 30
リフヌア 1(-) 5
ペンタサ 65(71) 125
キプレス 27(36) 68
ムコダイン 15(16) 29
ナゾネックス 6(7) 18
ウリトス 4(7) 7
ジェネリック計 161(154) 367
うち、キプレスAG 54(51) 107
うち、ナゾネックスAG 11(10) 36
うち、ウリトスAG 4(4) 5
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