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エーザイ・小川臨床開発部長 レカネマブ治験の死亡例「リスク因子があり薬剤に起因しない」

公開日時 2022/12/01 04:52
エーザイのAlzheimer's Disease and Brain Health日本・アジア臨床開発の小川智雄部長(理事)は11月30日、アルツハイマー病治療薬候補・レカネマブの継続投与試験において脳出血による死亡が2例報告されたことについて、「いずれも重大な合併症および大出血や死亡の一因となる抗凝固薬使用などのリスク因子を有していたため、レカネマブに起因する死亡ではないと評価した」との見解を示した。米サンフランシスコで開催中のアルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で同日(米国時間29日)、レカネマブの大規模第3相臨床試験「Clarity AD」の結果が公表されたこをと受けた説明会で報告した。

Clarity AD試験では、脳内アミロイド病理を確認された早期アルツハイマー病患者(アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度アルツハイマー病)患者1795例が登録された。レカネマブ群898例(体重1 kgあたり10mgを2週に1回静脈投与)、プラセボ群897例にランダムに割り付け、治療結果を比較した。有効性の主要評価項目は、ベースラインから18か月後のCDR-SBスコアの変化を据えた。CDR-SBは、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会の活動、家庭および趣味、身の回りの世話の6項目のスコアの合計点からなる。

ITT集団における解析の結果、主要評価項目であるCDR-SBスコアの変化はレカネマブ群(859例)1.21点、プラセボ群1.66点で両群間の差は-0.45 で、27%の悪化抑制を示し、統計学的な有意差を示した(p=0.00005)。CDR-SBの重症度評価において、より後期の疾患ステージへの進行リスクをプラセボ群と比較して31%低減したとのデータなども紹介した。

◎死亡例は「いずれも重大な合併症や抗凝固薬使用などのリスク因子を有していた」

安全性については、レカネマブ群(898例)で最も多かった有害事象は、静脈注入に伴う反応で26.4%。抗アミロイド抗体に関連する有害事象であるARIA-H(アミロイド関連画像異常(ARIA)による脳微小出血、大出血、脳表ヘモジデリン沈着)は17.3%、ARIA-E(浮腫/浸出)は12.6%だった。小川部長は「ARIA発現プロファイルは、第2相試験(201 試験)結果を踏まえ、総じて想定内だった」との見解を示した。

二重盲検試験期間中(コア試験)における死亡例はレカネマブ群 0.7%、プラセボ群 0.8%だったが、レカネマブやARIA発現に関連する死亡例はなかった。コア試験における脳出血による死亡はプラセボ群の1例だった。

コア試験後の非盲検継続投与試験を含めレカネマブ投与後(1608例)に脳出血による死亡が2例報告された。小川部長は、「いずれも重大な合併症および大出血や死亡の一因となる抗凝固薬使用などのリスク因子を有していたため、レカネマブに起因する死亡ではないと評価した」としている。

なお、抗凝固薬とレカネマブを併用した被験者における脳出血の発現率はコア試験で2.4%(2例/83例)、コア試験+継続投与試験で3.6%(5例/140例)だった。これらを踏まえ、「臨床医、患者、介護者は静脈注入に伴う反応やARIA-E、まれに見られた脳出血等のモニタリングや管理について理解する必要がある」との見解も示した。


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