NPhA・首藤会長 「地域支援体制加算と基本料の紐づけに疑問」 経過措置終了で44%の薬局に影響も
公開日時 2023/01/20 04:51
日本保険薬局協会(NPhA)の首藤正一会長は1月19日の会見で、2024年度に予定される調剤報酬改定に向けて、「地域支援体制加算と基本料との紐付けに関して、おかしいのではないかという要望が現時点では一番多い」と述べた。「会(NPhA)のなかでまだまとまっていない」と断ったうえで、「こういったこと(地域支援体制加算)に絞って、我々も対応していくのではないか」と見通した。この日公表した調査結果でも、大規模チェーン傘下の薬局に対する地域支援体制加算の経過措置が23年3月で終了するが、対象となる薬局が44%あることも説明。今後、地域支援体制加算を取得するハードルが引き上げられることから、薬局経営に大きな影響となることが懸念されている。
◎経過措置終了で4000超の薬局に影響も 「規模や立地で機能評価に疑問」
NPhA医療制度検討委員会は同日、調剤報酬にかかわる届出調査(22年12月時点)の結果を報告した。22年度調剤報酬改定で新設された調剤基本料3-ハ(同一グループで処方箋受付回数が月40万回超又は同一グループの保険薬局の数が300以上の薬局で、処方箋集中率85%以下)で、地域支援体制強化加算を取得している薬局は45.0%(4192薬局)にのぼる。
地域支援体制加算は調剤基本料に紐づいており、調剤基本料1以外では要件の厳しい地域支援体制加算3、4しか取得できない。ただし、23年3月末までの経過措置として、22年3月末日まで調剤基本料1を取得していた薬局については、調剤基本料1を算定しているものとみなし、要件を満たせば地域支援体制加算1、2を取得できる経過措置が設けられていた。調査によると、調剤基本料3-ハで地域支援体制加算1を取得する薬局は13.0%(1213薬局)、地域支援体制加算2の薬局は30.9%(2879薬局)で、「大きな影響を受けることは必至」としている。
首藤会長は、「地域支援体制加算は薬局の機能に対する加算だ。それが規模や立地によって変わってくるというのはおかしいのではないかという単純な疑問だ」と述べた。
なお、調査結果によると、全国6万1074薬局のうち、20薬局以上の法人もしくは薬局グループは41.3%を占める。都道府県別にみると、富山県が最も高い割合で、石川県、京都府、栃木県、滋賀県、千葉県、埼玉県が次ぎ、いずれも50%を超える。一方で、最も低いのは鹿児島県で9.9%だった。
◎電子処方箋スタートで「用法統一」求める
首藤会長は1月26日から本格スタートする電子処方箋についても言及し、「問題も出てきているが、我々の業界でも進んでいってほしいことで、会社(アインホールディングス)をあげて、また協会をあげて取り組んでいる」と述べた。実証実験に取り組むなかで浮き彫りになった課題として、「電子処方箋の用法が統一されていない」ことをあげ、国へも対応を求めた。
用法についてはベンダーによって違いがあるほか、医療機関でカスタムしているケースおあり、「突合ができない状況にある。広く全国にたくさんのマスターが混在することになり、実際の処方箋を打ち出し入力しないと用法が入っているかどうかも確認できない状況になっている」と説明。「国の方でマスターを統一することを早急にやっていただかなければ、本当の意味での電子処方箋を活用するのは難しい。あらゆる面で、処方箋を受けられる体制を会をあげて社をあげて取り組んでいく覚悟はある。マスターの統一については我々ではどうにもならないので、国の方で一度お願いしたい」と訴えた。