オンライン面談利用医師 利用する/しないで二極化の可能性 MCI DIGITAL調べ
公開日時 2023/03/22 04:52
オンライン面談を利用する医師と利用しない医師で二極化していく可能性がありそうだ。MCI DIGITALの医師5000人を対象とした調査によると、2022年10月のオンライン面談利用医師の割合が半年前の4月から約10ポイント減少した一方で、医師1人あたりの利用回数は微増した。特に10回以上利用しているとの医師割合は、4月10.9%、10月12.7%――と2ポイント近く伸びていた。
新型コロナの鎮静化に伴ってリアル面談が多くなっているが、今回、オンライン面談で十分と考える医師も一定数いることがわかった。顧客ニーズを踏まえた情報提供活動がより求められそうだ。
文末の「関連ファイル」に、オンライン面談の利用回数に関する資料を掲載しました(会員のみダウンロードできます。14日間の無料トライアルはこちら)。
◎オンライン面談利用経験「あり」 10月調査28.9% 4月調査38.3%
調査対象は製薬企業のオウンドサイト(自社サイト)やその他医療関係企業サイトを閲覧している医師5074人(勤務医:3885人、開業医:1189人)。調査時期は2022年10月20日~31日。分析結果は、製薬デジタルマーケティング支援会社のMCI DIGITALがまとめ、「医師版マルチメディア白書2022年冬号」に掲載されている。
直近3カ月間のオンライン面談の利用経験を聞いたところ、今回の22年10月調査で利用経験「あり」は28.9%だった。半年前の22年4月調査は38.3%だったことから約10ポイント減少したことになる。MCI DICITALは、10月調査の結果やコロナ禍も落ち着きを見せていることから、「オンライン面談はこれ以上伸びることはなさそう」との見方を示している。
なお、同社によるこれまでのオンライン面談の利用経験に関する調査結果を勤務医、開業医別に見てみると、22年10月調査は全体28.9%(勤務医32.3%、開業医17.7%)、22年4月調査は同38.3%(40.7%、30.8%)、21年10月調査は同36.3%(39.2%、26.8%)、21年4月は同34.2%(35.7%、28.6%、)20年10月調査は同32.0%(33.2%、27.8%)――だった。
◎医師1人あたりオンライン面談利用回数 10月調査は平均4.8回、4月調査は4.6回
オンライン面談を利用したことのある医師1465人に直近3カ月間の利用回数を聞いたところ、22年10月調査では医師1人当たり平均4.8回で、4月調査の平均4.6回から微増した。10月調査の中央値は2.0回だった。利用回数は、1回33.4%(4月調査比3.8ポイント減)、2回19.8%(0.1ポイント減)、3回12.3%(1.0ポイント増)、4回6.0%(0.8ポイント減)、5回5.1%(0.7ポイント増)、6回3.5%(0.4ポイント減)、7回2.9%(1.1ポイント増)、8回2.3%(0.4ポイント増)、9回2.0%(0.1ポイント増)、10回以上12.7%(1.8ポイント増)――で、特に10回以上の伸びが顕著に見られた。
MCI DICITALは、「リモート面談を利用する割合は減少傾向だが、リモート面談を利用している医師の3カ月での利用回数は半年前と比べ微増しており、リモート面談を利用する医師、しない医師は二極化していくのではと考えられる」と分析している。
◎企業別のオンライン面談利用医師数 1位はアストラゼネカ
直近3カ月間にオンライン面談を利用したことのある医師に、その相手となる製薬企業を聞いたところ、22年10月調査では半年前と比べて利用医師数が増加している企業もあれば、減少している企業もあった。
製薬企業別のオンライン面談の利用医師数のトップ20社をみると、1位はアストラゼネカ(AZ)で利用医師数は253人、4月調査から8.3%伸びた。なお、この増減率に関して、4月調査のn数は5016人だったが、10月調査(n=5074)の実数と比較するため、4月調査のオンライン面談利用医師数をn=5074として割り戻して計算したものとなる。
◎オンライン面談利用医師数が増えた企業 上位20社のうち5社
トップ20社のうち、10月調査でオンライン面談利用医師数が半年前から伸びた企業は、AZのほかに、6位のアステラス製薬(利用医師数187人、4月調査比6.2%増)、11位の中外製薬(同155人、6.4%増)、12位の旭化成ファーマ(同144人、22.7%増)、17位の協和キリン(同104人、8.2%増)――の計5社あった。
なお、オンライン面談利用医師数のトップ10社は、1位がAZ、2位がMSD(同218人、7.5%減)、3位が大塚製薬(同201人、20.5%減)、4位タイが第一三共(同197人、5.9%減)及びファイザー(同197人、27.6%減)、6位がアステラス製薬、7位が日本イーライリリー(同178人、23.2%減)、8位がエーザイ(同166人、14.1%減)、9位がヴィアトリス製薬(同160人、1.8%減)、10位が武田薬品(同158人、23.4%減)――だった。
MCI DICITALは、「企業ごとのオンライン面談リーチ医師数も企業によって半年前と比べ増加している企業もあり、企業側もオンライン面談を活用する企業、しない企業が二極化していくのではと考える」とコメントしている。