モデルナとIBM 製品設計の改善に向けた生成AIの探求などで合意
公開日時 2023/04/28 04:50
モデルナとIBMは、mRNAの研究及びサイエンスの進展・加速に向け、量子コンピューターや人工知能(AI)などの次世代技術を探求することで合意した。モデルナ日本法人が4月27日に発表した。両社の科学者は、mRNA医薬品設計向け量子コンピューティング・スキルの開発のほか、最先端の製剤発見のスキルと生成AIを組み合わせ、最適な安全性と性能を持つmRNA医薬品の設計を目指す。
量子コンピューターは、量子力学の原理を利用して、古典的なコンピューターには複雑すぎる問題を解決する、急速に成長している変革的な技術。モデルナの科学者は、古典的なコンピューターでは解決できなかった問題に量子技術をどのように適用するかに関する知識や経験を身につけていく。IBMは量子コンピューティング・システムへのアクセスや専門知識を提供し、モデルナが量子技術を活用した最先端のライフサイエンス分野のユースケースを探求することを支援する。これらの取り組みにより両社は、モデルナの科学的課題に対する量子技術の応用の可能性を探る。
また、両社の科学者は、分子の特性を予測するのに役立つAI基盤モデルであるMoLFormerを適用し、潜在的なmRNA医薬品の特性を理解できるようにする。モデルナの目標は、体内を移動するmRNAを包み込んで保護する脂質ナノ粒子と、病気と戦うための細胞への指令として機能するmRNAの最適化にMoLFormerを活用すること。このイニシアチブのもと両社は、最先端の製剤発見のスキルと生成AIを組み合わせ、最適な安全性と性能を持つmRNA医薬品の設計を目指す。
◎「モデルナは複数年にわたるIBMの治療薬向け生成AIに関する研究成果を活用する」
モデルナのステファン・バンセルCEOは、「IBMとの協業のもと、mRNAサイエンスを発展させる画期的なAIモデルを開発し、量子コンピューティングの時代に備え、これらの既存の概念を変える可能性のある技術にモデルナのビジネスを対応できるようになることを嬉しく思う」とコメント。さらに、「モデルナは、量子コンピューティングを活用した多数の画期的な進展を目指しており、この技術の活用にむけた準備を万全にするため、量子人材の開発に投資していく」としている。
IBMのダリオ・ギル・シニアバイスプレジデント(IBM Research ディレクター)は、「現在、AIと量子コンピューティングの驚異的な進展によって、コンピューティングの世界では革命が起きている。モデルナは、複数年にわたるIBMの治療薬向け生成AIに関する研究成果を活用することで、科学者が分子の挙動をよりよく理解し、まったく新しい分子の創出を促進できるようになる」と話している。