日本新薬 23年度は増収増益見通し ビダーザに後発品参入もビルテプソ、ウプトラビ伸長で
公開日時 2023/05/12 04:48
日本新薬の中井亨代表取締役社長は5月11日、決算会見に臨み、23年度の業績予想について、売上高は0.5%の増収を確保し、営業利益は6.5%の増益となる見通しだと発表した。22年6月に後発品が参入した骨髄異形成症候群治療剤・急性骨髄性白血病治療剤ビダーザおよび、がん疼痛・慢性疼痛治療剤トラマールの減少を、自社創製のデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬ビルテプソや肺動脈性肺高血圧症治療薬ウプトラビの伸長でカバーする。
◎22年度 売上高は4.9%増も8.8%の減益 米国市場にも自信「引き続き成長できる」
22年度(23年3月期)業績は、売上高が前期比4.9%増の1441億7500万円、営業利益が8.8%減の300億4900万円だった。ビルテプソの22年度売上は、国内で2.0%増の41億3900万円、米国で176.3%増の102億100万円となった。米国での売上については、中間期(22年11月公表)に期初予想の82億5000万円から102億円に引き上げた経緯があるが、中井社長は「それにほぼ沿った形で着地でき、大変うれしく思っている」と述べた。23年度は日本で48億円、米国で135億円を見込む。
米国市場での見通しついて「引き続き成長できるだろう」と自信を示した。米サレプタ社の遺伝子治療薬がFDAの承認審査中で、競合する可能性があるが、「仮に承認されて、世に出てくるような状態になっても、すぐにビルテプソをはじめとするエクソンスキッピング薬の売上が大きく影響を受けるとは考えていない。長期的にどうなるかは現段階で具体的に回答することは難しい」と話した。
◎ウプトラビ 国内売上高は25.5%増の105億4300万 適応拡大顔順調に伸長
ウプトラビの22年度の国内売上は、25.5%増の105億4300万円。23年度は140億円を予想する。佐野省三営業担当常務取締役は「21年8月のCTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)の適応拡大により、非常に順調に売上が伸びている」と説明した。米ジョンソン&ジョンソン(J&J)によるウプトラビの海外売上に伴うロイヤリティ収入を含む工業所有権等収益は、7.5%減の307億1400万円だった。中井社長は「コロナで少し売上が伸び悩んだ時期もあったが、それも落ち着いてきて、再び成長軌道に乗ってくると見込んでいる」と話した。なお、J&Jの23年1~3月期決算を見ると、ウプトラビの売上は前年同期比12.4%増の3.62億ドル、うち米国で13.1%増の3億400万ドルとなっている。
このほか、中井社長は、「新製品としてドラベ症候群に伴うてんかん発作治療薬フィンテプラや鉄欠乏性貧血治療薬モノヴァーも発売して間もないので、成長に寄与してくれるものだと考えている」と期待を示した。
22年6月に後発品が参入したビダーザの22年度売上は13.0%減の159億5100万円となった。23年度は105億円を見込む。中井社長は「後発品に侵食されていくという大きな流れは変わらないと考えている」とコメントした。
【22年度連結業績 (前期比)23年度予想(前期比)】
売上高 1441億7500万円 (4.9%増)1450億円(0.5%増)
営業利益 300億4900万円(8.8%減)320億円(6.5%増)
税引前利益 304億8900万円(8.4%減)325億円(6.6%増)
親会社所有者帰属当期利益 228億1200万円(8.7%減)250億円(9.6%増)
【22年度国内主要製品売上高(前期実績)23年度予想、億円】
ビダーザ 159.51(183.38)105
ビルテプソ 143.41(77.50)183
日本 41.39(40.59)48
米国 102.01(36.91)135
ウプトラビ 105.43(84.00)140
トラマール・ワントラム 53.58(67.70)43
ガザイバ 49.04(53.00)49
シアリス 29.38(25.32)25
ザルティア 28.26(41.06)20
アドシルカ 26.49(45.63)21
エリザス 26.40(23.30)25
デファイテリオ 25.24(21.28)30
共同販促収入 95.24(89.34)93
工業所有権等収益 307.14(332.07)350