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京都大・武藤教授 がんゲノム検査「初回治療開始前の適切なタイミングで実施可能に」 中外製薬セミナーで

公開日時 2023/05/31 04:49
中外製薬は5月24日、「がんゲノム医療メディアセミナー」を開催した。講演した京都大学大学院医学研究科腫瘍薬物治療学の武藤学教授は、がんゲノムプロファイリング検査(CGP検査)を初回治療開始前の適切なタイミングで実施できるように見直す必要性を強調した。現在は、標準治療がない、あるいは終了した(終了見込みを含む)患者に保険適用が制限されていることを問題視し、「特に標準治療が終わった後でしか実施できないことが一番大きな問題となっている。がんと戦い切った最後にこの武器がありますよと言われても、もうこれ以上戦えないという戦意喪失の状況ではないか。治療薬へのアクセスが10%以下と低いことも大きな課題だ」と指摘した。

武藤教授は、中外製薬のがん遺伝子パネル検査「FoundationOneCDxがんゲノムプロファイル」を用いて、初回治療法選択におけるCGP検査の臨床的有用性を検証することを目的に、先進医療B として実施した臨床研究(FIRST-Dx試験)の研究代表者を務めた。同臨床研究は、全身化学療法未施行の切除不能進行・再発固形がん(消化器、肺、乳腺、婦人科、悪性黒色腫)患者を対象とした。23年3月9日の厚労省の先進医療技術審査部会で、その総括報告書の評価結果が取りまとめられている。

それによると、同臨床研究の主要評価項目である「actionableな遺伝子変異(がんに関連する遺伝子変異)を有する症例の割合」は、解析した172人中、100%(172/172人)となった他、副次評価項目の「エキスパートパネルで推奨治療がある症例の割合」は61.0%(105/172人)、「実際に治療に結びついた症例の割合」は19.8%(34/172人)などとなった。こうした結果を踏まえ、同部会は「従前に比べて標準治療開始前に一定数の症例が標準治療以外の最適と考えられる治療法にアクセスできる状況が示されている」と評価した。

また、23年3月28日に閣議決定された政府の第4期がん対策推進基本計画には、がんゲノム医療について「必要な患者が、適切なタイミングでがん遺伝子パネル検査等及びその結果を踏まえた治療を受けられるよう、既存制度の見直しも含め検討する」ことが盛り込まれた。武藤教授は「これまで適切なタイミングでがん遺伝子パネル検査を実施できるようにしてほしいと要望してきたが、標準治療終了後にしかできないという制限が撤廃されずにきた。先進医療が走っている段階で制度を変えることはなかなかできないということだったと思うが、その結果が3月9日に間に合ったということで、おそらくこの文言が追加されたのではないか」と指摘した。

武藤教授は、CGP検査を初回治療開始前の適切なタイミングで実施できるようにするとともに、コンパニオン診断(CDx)とCGP検査を分けずに、包含して診療報酬算定できるように見直すことで、「薬剤へのアクセスは20%、もしくわ30%ぐらいに上がるのではないかと期待できる」と語った。また、将来的にCGP検査回数の複数回化を認めることを求めていく他、エキスパートパネルの負担軽減策として、開催要件の緩和や、がんゲノム医療中核拠点病院(全国13か所)と拠点病院(同32か所)だけでなく、自立できる連携病院(同202か所)でも自施設で実施できるようにすることなどを要望していくとした。


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