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国立がん研究センター タイ保健省と「国境を越えたオンライン治験推進」で覚書 タイの患者が治験参加

公開日時 2023/06/27 04:51
国立がん研究センターは6月26日、タイ保健省医療サービス局と国境を越えたオンライン治験推進に関する協力覚書を締結したと発表した。オンライン治験(DCT:分散型臨床試験)を実施する中央病院(東京)の医師にタイの臨時医師免許を発行することで、タイ在住の患者がオンラインで治験に参加できる体制を整えた。今後、国際共同治験の実施体制の構築をさらに進めることにしており、まずは患者登録のスキーム構築などを手掛ける方針だ。

国際共同研究にオンライン治験を活用する動きがある中で、国立がん研究センターはAMEDアジア地域における臨床研究・治験ネットワークの構築事業の「ATLAS」(Asian clinical Trials network for cAncerS)を通じ、ASEAN諸国との治験ネットワークの構築などを推し進めている。ATLASには、すでにマレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシアから15拠点以上が参加しているという。その第一弾としてタイ保健省とオンライン治験実施に関する協力を取り付けた。最終的には、オンライン治験の実施可能国を拡大する方針で、あわせて薬剤開発ネットワークを確立するなど、PMDAと連携してアジア同時薬事承認などを目指す。

◎Cross-border DCT実現への第一歩

今回の取り組みは、国境をまたいだオンライン治験(Cross-border DCT)の実現に向けて第一歩を踏み出すものだ。越境オンライン治験の最大のハードルとされた「医師免許問題」で一つの結論を導き出した。具体的には、「タイの医師免許を持たない日本の医師は、タイに在住する患者に対してオンライン診療を行うことはできない」というタイ保健省の見解に対し、「オンライン治験を実施する日本の腫瘍内科医にtemporary medical license(臨時医師免許)を発行する」ということで双方が合意した。これまでも特別な技術を持った医師(例:外科医)であれば特例として臨時医師免許を発行するというルールがあったことから、今回はオンライン診療を行う医師もその対象に含めることで合意できた。ただ、実施にあたっては、タイの責任医師の監督の下でタイ在住の患者に対する診療の実施を許可するとした。

今回の協力覚書の締結に伴う日本側のメリットについて同センターの中村健一国際開発部門長は、「海外拠点へのモニタリングが簡略化され、試験実施のコストが大幅に減少、患者登録スピードが劇的に改善する」と指摘。タイ側についても、治験へのアクセスに加えて、「治験への協力を通じて新薬に対するタイ人医師の知見が深まる」と見通した。さらに製薬企業側のメリットについても触れており、「安価、迅速、簡便にアジア地域での企業治験が可能になるほか、日本の経験豊富な医師がオンライン診療を行うことで安全性上の懸念が払拭される」とも強調した。

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