国がん・間野理事長「創薬エコシステムをリード」 プラットフォーム構築で日本を創薬の魅力ある地に
公開日時 2025/05/27 04:48

国立がん研究センターの理事長・総長に就任した間野博行氏は5月13日、東京都内で就任会見に臨み、「海外のスタートアップなどに積極的にアウトリーチ活動をし、彼らが臨床試験をするときに日本を対象として考えてくれるような世界をつくっていきたい」と抱負を述べた。また、多様な施設を擁する同センター内での連携をさらに強化し、「創薬エコシステムをリードして日本の患者さんに新しい医療、新しい医薬品、新しいがん予防を届けることが私のもつ一番のミッションだと思う」と力を込めた。
間野氏は就任にあたり、「社会と協働し、全ての国民に最適ながん医療・がん予防を届ける」と理念を掲げた。日本人のおよそ2人に1人ががんになる時代背景を踏まえ、「国立がん研究センターが日本人に最適な最新のがん医療がん予防を届けることは我々の社会的な課題あるいは使命だと考えている」と強調。また、細胞療法や核酸医薬といった高度先駆的医療を自ら開発するとともに最新のものを日本へ導入することなど、同センターの使命を9つ掲げ、「世界のがん研究でリーダーシップをとっていけるような若手の人材育成に注力したい」と、人材開発への意欲も示した。
さらに、創薬の主軸が海外のスタートアップへと移る中、がんゲノム情報管理センター・C-CATによるデータ収集の強みを生かし、「海外の製薬企業は日本で臨床試験をする一つの理由にもなる」と説明。「理事長になったことによってこのドラッグラグやドラッグロスに真正面から取り組み、解消に全力を傾けたい。日本に魅力的な創薬開発プラットフォームを作り、世界の早期の薬を日本に導入したい」と、改めて決意を示した。
間野氏は、東京大学医学部医学科を卒業後、自治医科大学ゲノム機能研究部教授や東京大学医学部細胞情報学分野教授などを歴任。2016年国立がん研究センター研究所所長、18年同センターがんゲノム情報管理センターセンター長を務め、25年4月1日より現職に就任した。