製薬協 「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」改定版公表 誤解招く内容と正確性重視の改定
公開日時 2023/10/03 04:53
日本製薬工業協会(製薬協)は10月2日、「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」の改定版を公表した。今回は、医療関係者に誤解を招く恐れのある内容および、より正確に伝えるための内容を改定したもの。基本的留意事項では、学会等の診断・治療ガイドラインを引用する場合は「原文のまま記載」や、承認外の記載が含まれる場合は記載しないなど明確化した。誤解を招く恐れのある表現では、「医療関係者等の肖像写真を主体とした紙面構成の資材は作成しない」とした。専門誌(紙)掲載広告は「Webサイトでの掲載を含む」とし、記事体広告についてはタイアップ記事(広告)についてもこれに含まれるとした。
作成要領の改訂版は10月1日付。製品情報概要の基本的留意事項では、記載内容は「科学的根拠」に基づくとし、例えば「自社医薬品の承認外の記載が含まれる場合は掲載しないこと」など明確化した。有効性と安全性のバランスにも配慮し、安全性の記載にあたっては「有効性の結果を示す本文と同じかそれ以上の文字サイズで記載する」とした。「効能または効果の対象に一定の条件が付されている場合(しばり表現)」には、承認された効能または効果がその条件を含めて正確に伝わるように記載する。さらに、副次的にもたらされた結果は「参考資料」として明確に区別して記載し、「効能または効果を誤解させるような表現をしないこと」した。
◎「事後解析」であっても情報が重要な場合、掲載理由を明記し「控えめな表現を用いる」
図表を含むデータについては、統計解析結果について記載する場合、「事前規定された解析」かつ科学的妥当性のある結果を除いて記載しない。また、「事後解析」であっても情報が重要な場合、掲載した理由を明記した上で、「控えめな表現を用いること」とした。メタ解析は「システマティックレビュー」がされていることを条件とした。さらに、臨床成績の記載については、①国内での承認審査過程で評価された試験成績、②電子添文改訂時の評価資料、③原著論文として学術雑誌に掲載されたもので、厳正な査読を受けた試験成績、④再審査申請資料として評価された成績-と明記。リアルワールドエビデンスの条件についても示している。
◎通常広告は「広告用DI」を伴うとし、副作用等の安全性に関わる情報も記載
専門誌(紙)掲載広告のうち、通常広告については「広告用DI」を伴うとし、副作用等の安全性に関わる情報も記載するとした。他剤(他社品)との比較試験成績や症例紹介を記載しない。文字サイズの指定されているものについて遵守を求めた。このほか薬効分類名(製品タイトル)を製品名から離してキャッチフレーズ的に記載しないことも明記している。
◎記事体広告 有効性に関する臨床成績の記載 承認範囲内とし「参考情報」は記載しない
記事体広告の作成上の留意事項では、有効性に関する臨床成績の記載に際し、承認範囲内での記載を求め、「参考情報」は記載しない。主要評価項目が設定されている試験では、「主要項目の結果について記載すること」とした。「比較を強調するようなタイトルを避ける」など、他社および他社品の中傷・誹謗とならないようにする。
◎プレゼンテーション用コンテンツ 「視覚効果」を利用 有効性や安全性を過度に強調しない
その他の資材のうち、「プレゼンテーション用コンテンツ」について、「視覚効果」を利用して有効性や安全性を過度に強調しない。特徴(性)を記載する際には「コンテンツ内に根拠データを記載する」とした。またDIを容易に参照できるように求めている。自社主催・共催の後援会・研究会記録集については、資材表紙には「会の名称、開催場所および開催日を記載し、製品ロゴは記載しない。「学会発表データ、自験例等」の論文発表されていない成績は、承認時に評価された成績を除き記載しないこととした。
◎文献別刷 メール、案内状(紙資材)、外部サイト等で「積極的に誘導しない」
学会発表要旨・記録集については、「演題の選択」にあたって、自ら積極的に提供する資材と誤解されないよう、学会全体より公正に選定する。さらに自社品の承認外使用の推奨につながる恐れのある演題を選定しないことも明記している。文献別刷については、メール、案内状(紙資材)、外部サイト等で「積極的に誘導しないこと」と明記した。